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自己満足の果てに・・・

オリジナルマンガや小説による、形状変化(食品化・平面化など)やソフトカニバリズムを主とした、創作サイトです。

2014年05月 | ARCHIVE-SELECT | 2014年07月

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妖魔狩人 若三毛凛 if 第14話「千佳の覚醒 -前編-」

「中国妖怪、火山猫。お前さん……こいつと融合するんじゃ!」
 ここは、柚子村から外れにある、犬乙山の麓。
 緑色の肌をした中国妖怪の老婆、嫦娥は、中型犬サイズの燃えるような赤い逆毛の動物を召喚し、千佳に向かってそう告げた。
「ウ……ウチが…、妖怪……と……融合……!?」
「そうじゃ、お主…もう身体が消えかかっているじゃろ? それは人間と妖怪の魂……いわゆる生体エネルギーが互いに打ち消し合っているからに他ならぬ。
 もし、生き残りたければ、エネルギーバランスを崩すしか方法は無い」
 千佳にとっては何とも冷酷な宣告だった。
 だが、嫦娥の目つきを見るからに、とても虚言とは思えない。
「も…もし……、その妖怪と融合したら……、ウチの姿……やっぱり化け物に、なるっちゃか……?」
 呼び名の通り、猫のような姿をした動物型妖怪ではあるが、当然…人間とは似ても似つかない。
「それは、結果次第じゃ……。この妖怪の支配力が強ければ、人間にとって醜い化け物の姿になるじゃろう。
 じゃが、お前さんの支配力が優れば、もしかしたら…それなりの外見を残す事はできるかも知れぬ」
「それじゃ生き延びても、凛と一緒にいることは、できなくなるかもしれない…ちゃ……」
 想像するだけで身の毛もよだつような思いに、千佳はガタガタと震えていた。



 翌日、いつも通り学校へ通った凛。
 しかし、二日連続で休んでいる千佳・・・。
 担任の教師からは、風邪で休んでいると知らされた。
 だが、それは約二ヶ月前のあの時と同じ。
 あの時・・・、千佳が妖木妃によって妖怪になり、多くの人々を襲ったあの事件。
 あの事件は、妖怪獏の力によって、関係者の記憶を消している。
 完全に浄化されず、妖気と事件の記憶が残っていた千佳は、きっと今悩んでいるに違いない。
 学校に出てこれないのも、そのせいだろう。
 凛は放課後、千佳の見舞いと称し、様子を見に行くことに決めた。
 集落から少し離れた山沿いにある、別名『斎藤御殿』。
 ここへ来るのも二ヶ月ぶりだ。
 あの日、凛はここで妖怪化した千佳と戦った。
 そして、千佳が凛に対し、友情以上の想いを持っていることも知った。
 まるで昨日の事のように思い出される、あの戦い。
 凛は複雑な思いで、インターホンのボタンに指を触れようとした。
 その時・・・
「この家の娘に用があるんかい……?」
 背後から聞き覚えの無い、年老いた声が聞こえた。
 振り返ると、そこには一人の老婆が立っていた。
 まるで草のような緑色の肌、その肌は多くの吹き出物で覆われている。
 ギョロリとした大きな目、そうまるで蛙のような老婆である。
「あなたは……?」
「儂の名は嫦娥。お前さんが敵対している妖木妃様の幹部の一人じゃよ。のぉ……黒い妖魔狩人!」
 その言葉に凛は、すぐさま霊装し、弓を向けた。
「思ったより気の短い娘っ子じゃの……。それよりお前さん、この家の娘に用があるんじゃろ?」
「千佳をどうしたの!?」
「この先でお前さんを待っておるよ。 もし儂とここで戦わず付いて来るなら、案内してやるがの?」
 嫦娥はそう言って、不気味に微笑んだ。
「わかったわ、案内して!」
 凛はそう頷くと、弓を下ろした。
 それを見た嫦娥は踵を返し、裏山にある森に向かって歩き出した。
 後を追う凛。
 その様子を、子どもの姿をした妖怪セコが、偶然目撃していた。

 森を抜けると、そこは野原のような広い平地であった。
 周りに古びた柵らしきものがあることから、以前は牛の放牧地として使われていたに違いない。
 草に覆われた平地の中央あたりで、嫦娥は足を止め振り返った。
 少し離れて凛も足を止める。
「千佳は、どこにいるの?」
 凛の言葉に、嫦娥は不敵に微笑むと
「ホレ……、すぐそこにおるじゃろ!?」
 と、凛のすぐ脇を指さした。
 目を向けると草陰の中で、人らしきものがうずくまって寝ているように見える。
「ち……千佳……?」
 凛が声を掛けてみた。
 すると、その声に反応したのか? 
 うずくまったその物体が、ゆっくりと起き上がる。
 その瞬間、まるで灼熱のような熱気が、凛に降りかかった。
 それは全身毛で覆われ、その毛は真っ赤な炎のように逆立っている。
 背丈は凛と同じくらいだが、両手に生えた鋭い爪・・・・。
 少し前に突き出た、肉食獣特有の口元に、鋭い牙・・・・。
 猫のように縦長の瞳孔・・・・。
 その姿は、真っ赤な獣……いや、まさしく真っ赤な獣人!!
「り……凛……?」
 なんと! 驚いた事に獣が言葉を話した。
 それも、聞き覚えのある声で・・・!?
「ち…千佳……なの?」
 恐る恐る、声を返す凛。だが・・・・
シャアアアアアア!!

妖魔狩人 若三毛凛 if 第14話(1)

 千佳は獣特有の甲高い声を上げると、その鋭い爪を凛に向かって振りかざした。
 咄嗟にかわす凛。
「千佳っ! わたしがわからない!?」
 凛は再度、呼びかけてみた。
 だが、獣人と化している千佳は、まるで耳に入らないように、再び凛に向かって襲いかかる。
「無駄じゃよ、その娘は完全に妖怪に心も身体も支配された。何を言っても届きはせんわい!」
 嫦娥は、高みの見物と洒落こんでいる。
「いったい…千佳に何をしたのよっ!?」
 凛は千佳からの攻撃を避けながら、少しずつ距離を開ける。
「千佳・・・今、元に戻してあげるからね!」
 そして一定の距離を取り、弓を構え弦を引いた。
「言っておくが、それは止めておいたほうがいいぞ!」
 凛がそう来るだろうと、待ち構えていたように、嫦娥が口を開いた。
「その娘……妖樹から妖怪化したのと違って、妖怪との融合によってその姿になっておる」
「……?」
「結論から言うと、お前さんの矢が当たったその時、その娘の身体は消滅する」
「どういうこと……?」
「今までの戦い、覚えておらんか? たしかに妖樹から妖怪化した者は、浄化によって元の人間に戻ることができた。
 だが、元から妖怪だった者は、心身共に浄化され、地上から消滅していったことを・・・」
 た…たしかに……!!
「妖樹を通しての妖怪への転生は、実際には本当に生まれ変わっておるわけではないのじゃ。
 人間の身体という器に、妖怪の魂や妖力を継ぎ足したものだと思えばよい。
 その影響によって、身体や性格、習性、凶暴性が変化しただけのもの。
 だから、お前さんの浄化によって、妖怪の魂や妖力だけを消し去って、元の人間に戻る事ができたのじゃ」
「そういうこと……」
「だが、最初から妖怪として産まれた者は、細胞の隅々まで妖怪としての妖力が染み渡っている。
 よって、お前さんの矢は、その細胞まで浄化し消滅させてしまう」
「じゃ…まさか……」
「千佳という娘は、妖怪火山猫と細胞レベルで融合されておる。つまり、その娘の肉体は、生まれながらの妖怪と殆ど変わりないんじゃ!」
「なんで、そんな酷いことを・・・!?」
「その娘が望んだのじゃ・・・!」
「!?」
「説明すると長くなるので省くが、その娘……不完全な浄化のせいで、肉体が消え去ろうとしておった。助かるには、妖怪と融合することで、身体と魂そのものを変化させるしかなかった」
「や…やっぱり……わたしの浄化のせいで……」
「消えたくない。
 生き延びて、これからもお前さんと一緒に生きていたい・・・、そう望んだんじゃ!」
 嫦娥の言葉に、凛はガックリと膝をついた。
「わたしが……、千佳の人生を狂わせた……」
 凛はそう呟き、顔を上げ千佳を見つめた。
 荒々しく息を吐き、人間らしさが残っていない、獣と化した千佳の姿を・・・・
「憎いでしょ……わたしが。 いいよ……その爪で、わたしを殺して……」
 全てを諦め、身を投げ出す凛。
 千佳は、そんな凛に容赦なく襲い掛かろうとしていた・・・
「それは、私が許しません!」
 凛とした声と共に、一筋の白い風が間に割って入った。
「お前さんは……!?」
 それは、もう一人の白い妖魔狩人、優里の姿だった。

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 今回はいつもより、かなり長めになっております。ww
引き続き、下のスレ「中編」を御覧ください。

| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 14:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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妖魔狩人 若三毛凛 if 第14話「千佳の覚醒 -中編-」

「大丈夫かい、凛……!?」
 すぐ後を、金鵄も飛び寄ってきた。
「優里お姉さん……、金鵄……、どうしてここが……?」
「セコが精霊を使って、僕に伝えたんだ。そして僕が優里を連れてきた!」
 金鵄の言葉に、セコが草陰から姿を現す。
「話はある程度、把握いたしました。たしかに千佳さんには同情いたします。でも……だからと言って、凛ちゃん貴方を殺させはいたしません!」
 優里は眼光鋭く、千佳と嫦娥を睨みつける。
「でも……千佳はわたしのせいで……」
「凛ちゃん!」
 優里はそう言う凛を制すると
「貴方の最大の弱点は、その優しさです。 その優しさがある限り、奴らはずっとそこに付け込むでしょう」
 冷静に言い放った。
「・・・・・・」
 凛は黙って項垂れる。
 そんな凛を見て、優里は密やかだが、優しく微笑んだ。
― でも、そんな優しい凛ちゃんだから、私も金鵄さんも、全力で守りたいと思うんだけど…… ―
 優里は再び目線を千佳に戻すと、薙刀を構え、千佳との間合いを測る。
「千佳さんとは、私が戦います!!」
 一気に千佳の間合いへ飛び込んだ!
 獣妖怪としての本能か? 優里の一閃を紙一重でかわし、間合いを開ける千佳。
 そして、口から炎の玉を吐き出した!
 咄嗟に薙刀で炎の玉を切り裂く優里。
 それでも次々に炎の玉を吐き出す、千佳。
 飛び交う炎の玉を、負けじと撃ち落としていく優里。
 そして、隙を見て、一足飛びで間合いを詰めると、薙刀を横払いした。
 微かだが、手応えはあった!
 千佳の胸元に、かすり傷であるものの、明らかに一筋の血が流れている。
 千佳の息が更に荒くなった。
 そして……
「もっと…速く・・・、もっと…速く動かないと・・・・」
 微かだが、そんな呟くような声が聞こえた。
「あ……、千佳の足がさっきより赤く光って……?」
「え? どういう事だい凛……?」
「う…うん、よくわからないけど……、千佳の足の力が増したような……」
 凛が言葉を終える前に、今度は千佳が爪を振りかざし、攻撃を仕掛けた。
 優里に負けない速度で、間合いに入り込む千佳。
 その鋭い爪を振り下ろすが、優里が薙刀で弾き返す。
 それでも、二振り…三振りと、腕を振り回す。
 さすがの優里もその勢いに、数歩引き下がった。
― 少し……動きが速くなった……? ―
 優里は冷静に見定める。
「もっと…っちゃ……。もっと速く動かないと……、攻撃が当たらない…ちゃ……」
 先程よりも、ハッキリとした声が聞こえた。
「更に、千佳の足の力が増している!!?」
 追うように、凛が叫んだ!
「ほぅ……、様子が変わってきているようじゃの……?」
 様子を見ていた嫦娥がそう呟いた時・・・
「コソコソと何をしているのかと思って来てみれば、こういう事か……」
 背後から声が聞こえた。
 そこには、色白で長髪の青年と、褐色で大柄な髭男の姿が。
「白陰……、ムッシュ……! なぜ…お前さんたちがここに!?」
「吾輩が案内したのですよ。どうも最近……マダムの様子が可怪しいのでね」
 ムッシュがそう言いながら、自慢のカイゼル髭を摘み上げる。
「あの娘、妖怪と融合したのか……? 融合の術は条件が揃わなければ成功しない、相当高度な術。 そんな手間隙掛けて、なぜこんな事を……?」
 そう問いかける白陰に対し、嫦娥は目線を千佳たちに戻すと、
「あの娘、消滅して消え去る運命じゃった。だったら…最後に使い道は無いかと、試してみただけじゃよ……」
 そう言い捨てた。
「なるほど、もっともですな!」
 まるで嘲笑うように、ムッシュはまたも、髭を摘み上げた。
 すると・・・・
「懐に入ったぁぁぁぁぁっ!!」
 同時に、嫦娥が叫び声を上げた!!
 見ると、優里の振り払った一撃を避け、その胸元に千佳の鋭い右腕が入り込んでいる!!
 そのまま右腕を突き上げ、優里の胸を貫くっっっ!!?

キンッッッ・・!!
 
 まるで金属が弾けるような音が聞こえた。
 それは、突き上げた鋭い爪・・・右腕は、優里の胸を貫くどころか……、その胸に備え付けられている『鎧』に弾き返されていた。
「す……すごい……」
 凛が、思わず溜息を漏らす。
 優里の戦闘服や鎧。 それらは霊獣麒麟が寿命でこの世を去る前に、自らの霊毛を使って仕立てあげた物。
 一見、軽装だが、その防御力は凛のソレを上回り、特に胸元の鎧部分は、銃弾すら弾き返す強度がある。
「危なかったわ……。 でも、これで勝負あったわね!」
 優里がそう言い放った。
「参ったのぉ……、こりゃ…決まりじゃわい!」
 嫦娥もそう呟いた。
 たしかに、獣化した千佳の動きは、最終的に優里の速さを上回った。
 だが、肝心な攻撃力が通じない。
 すなわち、優里を倒すことはできないということだ。
 それを理解したのか、千佳も肩で息をしながら、攻撃の手を止めた。
「千佳………」
 凛も心配そうに見守る。
「負けない……ちゃ・・」
「えっ!?」
「ウチは絶対に……負けないっちゃ! 絶対にアンタを倒すっ!!」
 誰もが耳を疑った。
 獣人化した千佳が、ハッキリと言葉を・・・、自分の気持ちを言葉で現した!
 見ると、たしかに姿形は獣化したままだが、その瞳は獣の瞳でなく、光を持った人間の瞳・・・。
「優里お姉さん・・・、千佳・・・・」
 なにやら考え事をしていた凛だが、一大決心をしたように口を開いた。


凛の言葉は・・・・・・・?
 ① 優里お姉さん、最後まで千佳と戦って・・・
 ② 千佳、もう勝ち目はないよ。諦めて・・・!

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『-後編-』へ続く。

そのまま、下のスレをご覧ください。

| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 14:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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妖魔狩人 若三毛凛 if 第14話「千佳の覚醒 -後編-」

 ① 優里お姉さん、最後まで千佳と戦って・・・


「優里お姉さん、千佳と最後まで戦ってあげてください!」
 優里に向かってそう叫ぶと、
「千佳……! 最後まで諦めないで! 頑張れっ!!」
 今度は千佳に向かって、応援するように声を掛けた。
「凛・・・!?」
「凛ちゃん……?」
 金鵄も優里も驚いた。
 まさか、あの優しい凛が、こんな戦いを続行させようとするなんて。
「ほら……千佳、わたしの声聞こえるでしょ!? 最後まで…頑張れっ!」
「何を考えているのだ……、あの娘……?」
 白陰も不可思議な表情で眺める。
「凛………?」
 その言葉が届いたのか、肩で息をしていた千佳は、再び体勢を立て直し、優里を睨みつけた。
 そして・・・・

アアアアアアアアアアアアアアアアアアっ・・・・!!

 と、絶叫するように声を張り上げた!
 すると、どうしたことだろう?
 獣人化していた千佳の身体に異変が起き始める。
 全身を覆っていた体毛も、突き出た獣の口元も・・・全て退化するように消えていく。
 その代わり、右腕だけが小刻みに震えだし、やがて…一回り、二回りと大きく変貌していった。
 二回りほど大きくなった右腕は、その指自体も刃物のような爪と化し、まるで灼熱の炎のように赤い。
 いや、その爪先に止まろうとした一匹の蜻蛉が、一気に燃え尽きてしまった。
 そう……実際にその爪は、激しい高熱を放っている。
「なるほどのぉ、素早い動きに必要な分の妖力以外は、、全て右腕一本に集中させたのじゃな……」
 嫦娥のその言葉の通り、赤く逆立った髪はそのままだが、あとは大きく変貌し、武器と化した右腕以外、元の人間の姿に戻っていた。

 そう……体毛も無くなり、産まれたままの、スッポンポンの全裸で・・・・

「きゃぁぁぁぁぁっ!!」
 全裸になった千佳に気づき、凛は悲鳴を上げた。
 優里も思わず、目を覆う。
「うん!?」
 しばし呆然としていた千佳だが、自らのその状況を知り、身を隠すように草陰にうずくまった。
 それを見た嫦娥は、やれやれ・・・と立ち上がり、千佳に向かって歩みだした。
「一応、こんな事もあるかと思って、用意しておいたぞぃ!」
 そう言って、懐から一着の衣類を取り出した。
 出された衣服を、慌てて身につける千佳。
「その衣(ころも)は、火山に住む『火鼠』の毛で編んだもの。強度な防御力に、お前さんの灼熱の爪にも焼き焦がれない、耐久力を持つ」
 嫦娥がそう言い終える頃には、千佳は衣類を身にまとっていた。
 ノースリーブパーカーに、ボンテージパンツ、巻きスカート。配色は赤と黒が基準の、いわゆる人間界で『パンクルック』と呼ばれる類の服であった。
「この国の娘の戦闘服というのは、こういう物なんじゃろう?」
 嫦娥は極当たり前のように、素の表情で言い切る。
 それを聞いた凛は、
― 金鵄にしろ、いったいどこで、そういう誤った情報を仕入れてくるのよ!? ―
 と、ツッコミたいのを抑えていた。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第14話(2)

「まるで見てくれは、妖魔狩人・・・そのものだな」
 白陰が呆れたように呟いた。
「たしかに・・・・」
 ムッシュも頷く。

「それじゃ……続きを始めるっちゃよ!」
 武器化した右腕を、誇示するように構えると、千佳は優里を睨みつけた。
 それに応じるように、薙刀を構え直す優里。
 千佳は、大きく息を吐き……気持ちを集中させたかと思うと、一気に優里の懐に向かって飛び込んだ!
 素早い動きで薙刀を払う、優里。
 だが、先の戦いで優里のスピードを上回った千佳は、紙一重でソレをかわし、優里の胸元狙って、右腕を突き出した!!

ザクッ!!
 鈍い音が響く!
 優里の鎧は灼熱の爪に切り裂かれ、軟らかい肌からも鮮血が飛び散った!
 そう、ついに千佳の攻撃が、優里を捉えたのだ。
 胸元を抑え、一歩二歩と引き下がる優里。
「優里…お姉さん……」
 さすがの凛も驚きを隠せなかった。
 優里が血を流す姿も、引き下がる姿も、初めて見たからだ。
「こうなってくると、この勝負……逆転もあり得ますな」
 静観を決め込んでいたムッシュが、珍しく真剣な表情で呟いた。
 それを聞いた白陰、すかさず……
「たしかにスピードは千佳という娘が上回っているが、それだけで白い妖魔狩人を抑えられるとは思えんが……?」
 と、反論する。しかしムッシュは・・・
「仰るとおり戦闘経験、技……殆どは、白い妖魔狩人の方が上ですな。しかし、ポイントは…あの『間合い』にある。
 薙刀は、その長い獲物のお陰で間合いが広い。だが反面その長さゆえに、懐に入られると為す術がない。
 一方あの娘は、右腕の爪のみに絞ったため、間合いも狭いが、逆に懐に飛び込んでも、動きが鈍る事はない。
 そうなると、動きの速さが大きな決め手になるというわけですよ」
 と理論的に返した。
 そして、そのムッシュの言葉が正しいように、徐々に千佳が優里を押し始めていた。
 防戦一方の優里だが、千佳の動きは予想以上に速く、更に二撃目を喰らってしまった。
「凛ちゃん、ごめんなさい……」
 突然、優里が凛に語り始めた。
「あの千佳さんっていう子、かなり強いわ。こうなると、本気でやり合わないと、私も危ない……」
 優里の言葉を聞いた凛は、一瞬言葉に詰まったが、
「お姉さん……お願いします、本気でやってください」
と答えた。
 凛の言葉に無言で頷いた優里は、再び薙刀を構えた。
 それは切っ先が水平な状態で、一直線に千佳に向けられている。
「ほぅ……、一発逆転の大技でも繰り出すつもりですかな?」
 ムッシュが興味深そうに、視線を向けた。
 一方…千佳も、そんな気配を感じ取ったのか、まるで間合いを測るように、右腕をまっすぐ伸ばした。
 タイミングを測るように、ゆっくりリズムカルに息を吐く優里。
 そして、その息が止まった瞬間!
 最大限に突き出した薙刀で、千佳に向かって突進した!
 それは今まで以上の閃光のような速さ!
 さすがの千佳もかわすのは不可能と察したか、武器と化した右腕を盾のように突き出し、傷つくのを承知で、薙刀を弾き返した。
 宙に浮く、薙刀!
「もらったっちゃぁぁ!!」
 その瞬間を逃さず、千佳の鋭い灼熱の爪が、優里の喉元を狙った!
「優里っ!!?」
 見ていた金鵄が、悲鳴のような声を上げる。
 千佳の右手の爪は、優里の喉元を貫いて・・・・・
 貫いて・・・・・?
 いや、貫かれる寸前に、その爪を両手で挟み込み動きを封じていた。
 それは、武術で言う……『真剣白刃取り』と同じ形。
「ま…まさか……、アンタ…コレを狙って……!?」
 千佳が驚きの声を漏らす。
「そうよ! 広い間合いが不利ならば、いっそ獲物を捨て、間合いを縮めてしまえばいいだけ!」
 優里はそう言って、不敵に微笑んだ。
 だが、喜んでばかりはいられない。
 千佳の爪は、蜻蛉を一瞬で焼き払うほどの高熱を放っている。
 その爪を素手で押さえ込んでいる優里の手からは、肉の焼けるような匂いが立ち込める。
「くっ……!」
 優里の額に汗が滲む。
 だが優里は、その腕を捻るように身体を回転させると、その反動を利用し、千佳を倒れこませた。
 そして、両足で右腕の付け根を挟み込みながら、腕を引き伸ばす。
「あ・いてててててて・・・・・・っ!!」
 千佳が絶叫を上げた。
 それは、プロレスでもよく見られる、本来は柔術の技・・『腕ひしぎ十字固め』
 実戦型武術を習っていた優里は、獲物を失った時でも身を守れるように、ある程度の柔術の技も極めていた。
 一見、そんな技で・・・? と思われるだろうが、真に関節技を決められた時の痛みは相当なものである。
 妖怪と融合したことで筋力も上昇している、物理ダメージを軽減する戦闘服を着ていてる。
 それでも、関節を捻られる痛み……骨をへし折られるような痛みをやわらげる事はできない。
 優里のように武術の達人から決められたなら、一般人では二秒と我慢できないだろう。
「ぐぅっっ・・・」
 それでも千佳は必死に耐える。額には玉のような汗が吹き出していた。
「千佳・・・・」
 凛も静かに見守るしかない。
 既に二分程経過し、もう…痛みを通り越して、意識が遠のきそうになる。
「参った・・・・」
 ついに、千佳が負けを認めた。
 思わぬ幕切れに、呆然とする……白陰、ムッシュ。
「優里お姉さーん……千佳ーっ……!」
 凛が二人の元へ駆け寄ってきた。
「お姉さん…大丈夫!? 怪我は……!?」
「う……ん、ちょっと…手、火傷しちゃったみたい……」
 優里の両手は焼けただれ、所々…皮も剥げ、肉が見えている。
「わたしが……わたしが、大変な事をお願いしたばかりに……」
「気にしないで、凛ちゃん。これくらい本当に平気だから」
 そう言って微笑む優里だが、額には玉のような汗がいっぱいである。
「凛……ウチ……」
 そんな二人に千佳が割って入った。
 すると凛は、千佳の肩を優しく抱きしめ
「おかえり、千佳・・・」
 と微笑んだ。
「怒らないっちゃか…?」
「なんで怒るの? こうして千佳が無事に帰ってきてくれたじゃない」
「いや…だって、ウチは化け物になったし……、それに凛も、そして隣のお姉さんも、殺そうとしたったよ!?」
 そう言う千佳に、優里が反応した。
「でも、戦いの後半……、特に最後の手刀は本気でなかったでしょ?」
「え……!?」
「キレが甘かったから……。人間の心を取り戻して、手加減してくれたの、わかったわよ」
 優里の言葉に、千佳は素知らぬ顔で頷いた。
「千佳……!」
 そんな千佳に凛が声を掛けた。
「ん……?」
「これからも、ずっと一緒にいようね!」
 その言葉に千佳は、灼熱の髪に負けないくらい赤面し、しばし…目も合わせられなかったが、やがて恥ずかしそうに上目遣いで見つめると、こう返した。
「ありがとう・・・」
 その様子を見ていた金鵄は、内心驚きを隠せなかった。
― まさか凛……、君は彼女が人間の心を取り戻せると信じて、戦いを煽ったのかい……!? ―

「フン……! とんだ、茶番だ……」
 黙って様子を眺めていた白陰は、そう叫ぶと懐から瓢箪を取り出した。
「どうするおつもりですかな?」
 ムッシュが問い返す。
「一番手ごわい白い妖魔狩人が負傷している…今! 黙って見過ごす気は無い!」
 そう言って、瓢箪の栓を抜いた。
 立ち込める白煙の中から、十数の人影らしきものが見える。
 それは山精。中国河北省に伝わる妖怪。
 身長一尺ほどの一本足で、角が無い鬼の姿をしている。
「妖魔狩人を殺してこい!」
 白陰は、単刀直入に命じた。
 十数匹の山精が、凛や千佳たちに向かっていく。
 いち早く気づいた優里、直ぐ様迎え撃とうとするが・・・
「く…っ!!」
 酷い火傷の両手では、薙刀を握ることすら出来ない。
「その怪我はウチのせいっちゃ。 だから、ここはウチにまかせてや!」
 そう言って立ち上がった、千佳。
「私も一緒に戦うから、優里お姉さんは休んでいて!」
 凛もそう言って弓を構えた。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第14話(3)

 千佳は、襲い来る十数匹の山精の集団に、真正面から飛び込むと、一匹目の山精を、その鋭い右腕の爪で貫く!
 更に二匹目の攻撃をかわして、爪で横払いに切り裂いた。
「高嶺さんに比べれば、スピード、防御力……、てんで雑魚っちゃ!!」
 千佳は次々に山精を撃退していった。
 だが、一瞬の油断か!? 背後から迫る一匹の山精に気づかない。
「やばっ……!?」
 千佳が気づいた時には、山精の鋭い爪が眼前に迫っていた。
 その時、山精が青白い光の粒子と化して、蒸発するように消えてなくなる。
 振り返ると、矢を放った体勢の凛が、微笑んでいた。
「凛、ありがと!!」
「千佳、貴方の後ろは、わたしが守るよ!」
 凛はそう言って、次々に援護の矢を放つ。
「さすが、幼なじみ……、初めての共闘なのに、いい連携ね」
 優里は、安心しきった笑顔で呟いた。
 次々に山精を撃退していく、千佳と凛。
 もはや、凛と千佳の勝利は明らかであった。
「バカな……、山精の戦闘力は、妖怪化した人間より上なんだぞ……!?」
 白陰は、信じられないといった表情で眺めていた。
「あの二人の連携攻撃は、それを上回っている。簡単な数学ですな」
 ムッシュは鼻で笑うように答えてやった。
「ところで・・・・」
 いきなり口調と表情を変えると、囁くように嫦娥に話しかける。
「吾輩、レーヌ(女王)妖木妃とは、直にお会いしたことがないので事の真意はわかりませぬが、マダムは本当にレーヌに忠誠を誓っておられるのかな?」
「どういう意味じゃ?」
「いや…いや、深い意味は無い。ただ…何か思うことがあるのではないかと、思いましてな!」
「くだらん……」
 嫦娥はそれ以上、答えなかった。
 それで満足したのか? ムッシュは不敵に微笑むと、
「十分楽しませて頂いたので、吾輩……ここいらで失礼する。オ・ルヴォワール!」
 と言って去っていった。
「ちっ……、こちらも一旦引き上げよう……」
 全ての山精が倒されたのを見届けると、まるで苦虫を百匹程噛み砕いたような顔をして、白陰もその場を去った。
 嫦娥もそれに続いた。

― 凛、不思議な子だ。彼女の本当の強さは、霊力とかでなく……、友や知人を思いやる心にあるのでは……? ―
 いくつか訪ねたい事もあるが、あえてこの場は、抑えていた。

 三人と一匹と一羽になった平原。
 そこから少し離れた森の中から、一つの人影が潜んでいた。
「これで、『赤い妖魔狩人』も加わったわけね・・・・」
 そう言って、踵を返したその後姿は、『青い衣』を身につけていた。


 第15話に続く

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第14話 あとがき

こんにちわ

ちょっとリアルで思いっきり凹む出来事があり、すべてのやる気を失いつつも、唯一の楽しみであるサイト更新でもするか・・・てな感じで、第14話を公開した るりょうりに です・・orz



ま、それは置いておいて・・・・(´д`;


※これから先は、14話のネタバレ内容です。


まずは、第14話ご覧頂き、ありがとうございます! m(_ _)m




最初に、正規ルートでは、ついに千佳が仲間入りいたしました!

元々、千佳というキャラは、妖魔狩人にする予定ではなかったんです。
本来は、ゲーム作成で予定していた当作品で、一モブキャラである友人が、ある日妖怪化し、凛をクリーム化させ、シュークリームにして食べるというイベントの為に作られたキャラでした。
その内容は第5話で登場しましたが、その為…名前も外見も、いかにも『モブキャラ』ってぽく作ったんです。

ところが、よく覚えていないのですが、5話を公開した辺りで、「千佳って、そのまま仲間になるかと思っていました」というお話を聞いたんですね。

「あ……それ、いいかも!」

これが、千佳が妖魔狩人として仲間になる構想のきっかけでした♪

その当時、妖魔狩人にする予定だったのは、凛と優里の二人だけでしたので、千佳の再設定が始まりました。
元々妖魔狩人は、『ふたりは◯リキュア』のように二人だけで、そのためカラーリングも『黒』と『白』で設定してました。
では、千佳は何色にしよう?
そして、凛が弓による後方支援&トドメ。優里が薙刀による前衛攻撃という中で、千佳はどのタイプに当てはめる?

そこで思いついたのが、電光石火のように素早い動きで戦う、近接戦闘要員。
攻撃的キャラになるので、赤をカラーリング。 意外と早く決めましたwww

武器である右腕は、素早い動きということで、昔プレイしていたゲーム『RO』のアサシン風のカタールでいくか!
って思っていたのですが、あの武器はインドの武器。
それじゃ…イメージが違うなぁ~と、手甲に爪の付いた武器でいくか!
色々模索した結果、自らの爪が武器というデザインがカッコ良く描けたので、そういう形にしました。

デザイン決定後、これって……『ぬ~べ~』じゃね? …と、後から気づいたのですが、まぁ…いいや!www

ちなみに、デザインを描いている最中は、『ぬ~べ~』の事はまるで頭に無く、どちらかというと『禁書』の『上条さん』をイメージしてまいしたwww

他にも再設定しなおした性格とか色々あるのですが、それはまた後日。

こうして、『赤い妖魔狩人 千佳』の登場となったわけです。


優里は凛を実の妹のように可愛がり、守りぬくと誓っているキャラ。

千佳は、百合属性からくる凛への(ちょっと壊れかけている)愛から、やはり守りぬくと決めたキャラ。

今後、凛にとって頼もしいフォローキャラになると思いますwww


バッド・エンド

今回、個人的に一番楽しんだのが、こちらですww

もちろん、正規ルートも非常に重要なポイントで、千佳の仲間入りはなによりも楽しみにしてました。

それだけに、実はプロット制作直前までバッド・エンドルートの展開がまるで頭にありませんでした。

敵を誰にするか? どんなバッド・エンドにするか?
分岐ポイントは、どこにするか?

まるで構想に無く、皆さんから頂いたバッド・エンドネタを再度見直し、それから構想を練ようとしても、なんか今回の話に合うのがない。

結局、こんな時のための『ムッシュ』www

ムッシュの血で、更に変貌した千佳に対し、為す術もなく敗北する凛。
それを調理して食べてしまおうという案に決めつつありました。

でも、どんな料理にしよう?
平面化からの料理は前回やったので、連続してやりたくは無い。
ならば、軟らかくこね回してから、お好み焼きとか…パンケーキ風でいくか!?

では、凛が軟らかくなってしまう理由・・・?


ここからです!
まるで、神でも降ってきたように、色々ネタが浮かんだのは・・・!!w

千佳はムッシュの血で更に変貌するが、短期間で多数の変化があり過ぎたため、細胞構成が狂い、原型を維持できなくなるくらいにグニャグニャのゼル状になってしまう。
その体液を浴びた凛も、グニャグニャになってしまい、料理の材料になる!

いや、待てっ!!?

体型を維持できない液状化した千佳だが、そこから再構成が行われ、別妖怪になる!?

ムッシュの血を飲んで最終変化したわけだから、ムッシュっぽい妖怪?

そうだ、千佳はお菓子作りが得意だった! だからパテシエ妖怪!!

パテシエは男性の菓子職人だから、パティシエール!  そう……パティシエール・サイトー!!!!

パティシエール対ムッシュの菓子対決!!!

もう、マジで興奮しましたwwww

それからは、どんなお菓子にするか?

フランスの菓子を色々検索して調べ、ローティーンの凛は、シンプルで素朴な味がいいな・・・
ハイティーンで完璧超人の優里は、出来る限り高貴は菓子がいい。

こうして見つけたのが、白い食べ物と呼ばれたブランマンジェ。
コレ、本当に大昔は肉や魚を煮込んで作っていたそうです。
肉を使って複雑な味わいで、しかも見た目が高貴っぽくて白い。まさに優里向け!

もう一つは、ガレット・ペルージェン。
素朴な調理方法だけど、シンプルで調理の仕方次第では、クリーミーな味わい。これは凛向け!

こうして、調理人妖怪同士の菓子対決という運びになりました♪

お陰で、正規ルート。バッド・エンドルート。
どちらも、詰め込んだ内容となり、本当に長くなってしまいましたwww

パティシエールのキャラも、物凄くセリフが作りやすく、たった一話だけのキャラで終わらせるのは勿体無いキャラでした。

でも、正規ルートでは、千佳が妖魔狩人として覚醒したため、現状においてはパティシエールの再登場はありません。

ホント、楽しく掛けた・・・第14話でした。


次の第15話は、新たに妖魔狩人になった千佳と、凛の活躍がメインです。

バッド・エンドは、現在『赤子化』を予定してます。
赤子化は、みら!エンでも書いた事のないシチュエーション。

マジで初体験になりますが、思いっきり恥辱敵な赤子化が書ければと思っております。


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リンク報告!


本日、じょーすけ様の新規サイト、 「Gクルス!!」をリンクしております。

このサイト、じょーすけ様が今まで描いてこられた イラストやコミック、動画など・・・
過去の作品を一挙公開した、集合サイトです。

他にもパチンコ情報などもあるようです。(俺っちは、パチンコしないのでよくわからないのですがw)

元々、じょーすけ様が描かれた「博麗霊夢のラーメンマンのアレ」を見た時、それが物凄くツボにハマり、以来ファンとなっていたのですが、こうして集合サイトを公開したことは、本当に嬉しい事です♪

今後も楽しみなサイトです♪



では、本日はここまで。


今日も閲覧頂き、本当にありがとうございました!

| あとがき | 14:16 | comments:14 | trackbacks:0 | TOP↑

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妖魔狩人~14話 公開予定日&予告!

こんにちわ。

やはり来たぜ! 川内さん改二実装
次女・神通、三女・那珂ちゃんが改二になっているから、そろそろ来るだろうと予め充分なレベル上げをしておきました。
結果、実装メンテが終わったその日に、川内さん…改二に昇格!! ヽ(`▽´)/ オメデト!

お、綾波ちゃんもかい?

綾波はまるでノーマークだったね。
よしよし! 早急にレベル上げの準備をしよう。 まずは演習に出撃させ・・・・


させ・・・・・



あれ・・・・・?



綾波ちゃんが・・・いない?



ええっ!?



艦娘図鑑は・・・・

ちゃんと表示されている。
てことは、間違いなく入隊している。

自慢じゃないが、我が……藻屑隊は、未だ一人も撃沈者を出していない!


それでは・・・・・

知らぬ間に、近代化改修の素材にしてた・・・・・・!?







ノォ~~~~~~~~~っ!! (/□\;)




というわけで、もう一度・・綾波ちゃんを探さなきゃな!

と思ったら、翌日ドロップできましたwwwwww

さぁ、レベルアップするぞぉぉ!!    そんな、 るりょうりに です! (前置き長っ!?)



さてさてww


今日は、第14話の予告です。

ちなみに14話、本日一応完成いたしました!! ( ^ー゜)b

後は、もう少しだけ熟成させて~~

まぁ、少し間を置いてから、読みなおして手直しするといったところです。
これをした方が、フト…いい表現法を見つけたりできるんですよ。

そんなわけで、公開予定日は・・・・・


6月28日 予定です!! ヽ(`▽´)/


では、今回も予告を少し!

まず、前回……自身の肉体が消滅しかかっているの友人『千佳』が、嫦娥の言葉に乗り、妖怪と融合することになります。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第14話 予告1

人間の記憶も感情も殆ど失っているとはいえ、幼いころからの友人千佳に、攻撃ができない。

そんな凛の代わりに、自ら汚れ役を引き受けた、優里

襲い掛かってくる千佳より、やはり一枚上手の優里・・・・
ついに千佳追い込むが。

ここで、正規ルートバッド・エンドルートでは大きく変わってきます♪

正規ルートでは、更に覚醒した千佳優里第二戦!

ぶっちゃけ、少年バトルマンガのノリですwww


バッド・エンドルートでは、まさかのお菓子対決!?


ムッシュに挑む、謎の菓子職人??

妖魔狩人 若三毛凛 if 第14話 予告2

さぁ、どちらが勝つか!?
こっちは後半、グルメマンガのノリ?w


てか、こんな作品だから、菓子の材料は・・・・?(^_^;)

こんな感じですね。


でね、一番大切な事をお話しておきます!!


それは・・・・・・・







長いんだよぉぉぉ!!






ムチャクチャ・・・・・・




おそらく、妖魔狩人シリーズ最長だと思いますw

特に、バッド・エンドルート。
後編だけで、初期の妖魔狩人一話分あるかも・・・・。


したがって、気合入れて読んでくださいww


挿絵は全部で 七枚。

状態変化絵は、三枚ですね。


かなりのボリュームでしょう!?


なのに・・・・

今月初めに、『黒紫色の放課後』を公開して。
それから一ヶ月もしないうちに、ムチャクチャ長い第14話完成。


すごく早いペースです


信じられないくらい


もうじき、死ぬんじゃないかな…俺っち?


でも、ホント…創作活動に関しては、すごく充実しております。

14話のあとがきでもお話すると思いますが、なんか…神が降りてきたんじゃないかと思えるくらいwww


これが、仕事や実生活でも生きてくれれば・・・・orz


そんなわけで、14話を少しだけ期待してお待ちください! 


では、今回はここまで。

今日も、閲覧頂き……本当にありがとうございました。m(_ _)m

| 閲覧者様との交流 | 23:04 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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近況報告

こんにちわ!

浦風ちゃん、ようこそ我が隊へ!! 我々は君を歓迎する!ヽ(`▽´)/

ついに駆逐艦浦風が我が艦隊に入隊いたしました。

コレに関しては・・・・・・

ペパーさん、ありがとうございます! m(_ _)m

おかげ様で、ボスまで辿りつけました。
まだ、ボス攻略はできておりませんが、目標の一つでもある浦風ちゃんを入手できました♪
あそこのボス海域は、他にも入隊していない駆逐艦ちゃんや、やはり大鯨ちゃんがいるので、何度も挑戦し続けます!
本当に、ありがとうございました!!

ということで、意味の分からない人には、さっぱりの… るりょうりに です。


さて、本題へ!

前回の近況報告で、『妖魔狩人~第14話』については、「前話(黒紫色の放課後)のあとがきでお話したいと思います」って言っていたにも関わらず、すっかり忘れておりました・・・orz

ホント、申し訳ありません。(^^A

そこで、今日は第14話について、軽くお話させて頂きたいと思います。

14話は現在執筆中です。
そのあと、一番時間のかかる挿絵作業が残っておりますので、やはり公開予定は早くて、来月初旬になると思います。
それでも、黒紫色の放課後の公開が早かったので、元々の予定より、半月くらい早くなっております。

14話は、千佳の妖怪との融合がメインの話になります。
妖怪と融合したことで、姿も……そして本質も変わり果てた千佳。
凛は彼女を元に戻せるのか!?

という話です・・・

そこでまず、正規ルート

ここは、少年誌のバトルマンガ風の展開になります!

優里と千佳の壮絶な戦い!

果たして勝者は?

本当なら、マンガで表現したい内容なのですが、そこはご勘弁を。
ホント、昭和のバトルマンガの雰囲気を思いっきり詰め込んでみましたので、それ系が好きな方は、少しだけ楽しみにしてください。

バッド・エンドは、これも対決!

なんと、お菓子対決!?

ムッシュ対◯◯! …て、誰やねん!?

新キャラか? それとも・・・・!?

まぁ、そういう訳で、バッドの状態変化は、お菓子化という事になります。


正規もバッドも詰め込んだ展開になってますので、後編に関しては、今までの作品の中で一番長くなるかも・・・?

こちらも、少しだけ期待してお待ちください。

==============================

リンク報告

今回、4箇所リンクさせて頂きました。

→のリンクから、飛んでいってください♪

① ギオP様の ギオの巣

こちらのサイトは、前回もご紹介させて頂いたとおり、ゲームなどにおける状態変化を取り扱った、情報サイトとなっております。
動画や、画像がありますので、わかりやすく…ムチャクチャ楽しめるサイトになっております。
また、ギオP様自身もイラスト等を描かれますが、可愛い絵柄の作品が多く、これらもリンクによってPixivでご覧頂けるようになってます。

② マスカレイド様の マスカレイドのホームページ

ゲーム「ガールフレンド(仮)」のキャラクターに関連した、二次創作小説サイトです。
開設したばかりですので、今後が期待できます。

③ 狼雲様の Pixiv 狼雲様のページ

狼雲様が描かれる、状態変化イラストのページです。
この方の描かれるキャラや絵柄、結構好きです!!
だって、可愛いもん!!(///ー///)

変化内容も多彩で楽しめる物が多く、個人的にかなり気に入っております♪

④ shiomaru様の Pixiv shiomaru様のページ

学園物、状態変化小説を書かれております。
特に平面化に拘りをもっておられるようで、なかなか必見です。



では、今回はここまで!

今日も閲覧、本当にありがとうございました。m(_ _)m



| 閲覧者様との交流 | 14:10 | comments:12 | trackbacks:0 | TOP↑

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新シリーズ(?) 発表!

こんにちわ!

えっと……、つい先日近況報告で、新作は来週発表と書いたばかりなのに・・・・・



あの後、「明日(ちなみに今日…8日)は、仕事は夕方からだから、午前中はゆっくり寝ていられるなぁ~」と、深夜…挿絵作業をしておりました。

結果、全部…完成しましたwwwwww


そこで急遽、新作を 今日!! 発表することにしましたwww

ホント、行き当たりバッタリやねぇ……

タイトルは『黒紫色の放課後

正式には、上記はサブタイトルで、メイン・タイトルは『てんこぶ姫』が付くのですが、あえて外しております。


先日の近況報告でも記しましたが、この作品はダークファンタジーで、『暗く重い』です。

しかも、暴力的な表現や、性的表現もあります。(だけど、エロ作品ではないよ!)

そういう訳で、元々このサイトは『18歳以上推奨』でしたが、この作品に関しては完全に『18歳以上限定』にさせて頂きます。


あと、先日もお話しましたが、この作品は『状態変化』『カニバリズム』を、重視しておりません。

ある事は、あります!!

ですが、あくまで主役の境遇や心境がメインで、それに補足された程度でしかありません。

また、内容はもちろん、挿絵に至っても…『みら!エン』や『妖魔狩人~』程のコミカル描写はしておりません。

ですから、ただでさえ未熟な絵柄に、より一層……変な不気味さが加わって、作者の俺っちから見ても、ちょっと『痛々しい……』挿絵となっております。
(コミカル描写に慣れすぎ・・・;)

そういった面を踏まえて、閲覧して頂けると、本当に幸いです。

まるっきり、初体験?の分野ですが、よろしくお願いいたします。


また、後ほど……『あとがき』で。

| 閲覧者様との交流 | 14:47 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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黒紫色の放課後 ― 前編 ―

「もう……辛い。私……何か悪いことした……?」
 空が赤から黒に変わる時間、橙(ゆず)は混みあった歩道を夢遊病者のようにさまよっていた。
 視線も虚ろで、おそらく本人でさえ、今……どこを歩いているか? わかっていないだろう。

 香坂 橙(ゆず)、現在23歳。

てんこぶ姫 第一話(1)

 見た目は、細面で、清楚な雰囲気。だが根は明るく、活発系だと自負している。
 昨年、私立高校で国語教師として就職が決まり、早くも今年から、二年生の担任としてクラスを受け持つこともできた。
 念願のクラス担任、毎日がバラ色になるはずだった。
 だが、二ヶ月程過ぎた今では、毎日…毎日が、暗黒の日々になっている。 
 今日もそうだった。
「……というわけで、クラスのみんなで決めて頂きたいと思います!」
 朝のホームルーム、橙は教室の隅々まで行き渡るような声で話した。
 だが、その声はクラス全員の耳に届いていないだろう。
 クラスの半分近くが橙を見ておらず、各々好き勝手に話をしている。
 中には机の上に立って、奇声を上げている男子生徒すらいる。
「聞いてますか!?」
 再度、声を張り上げてみるが、やはり何も変わらない。
「もう! 聞く気がないのなら、教室から出て行ってください!!」
 我慢しきれなくなった橙は、感情をぶち撒けるように怒鳴ってしまった。
 一瞬固まったように静かになる。
「あ……? なんでアタシらが出て行かなきゃ、なんないのよ!?」
 こう口火を切ったのは、このクラスでも中心となっている、深紫 和榮(こきむらさき かずえ)。
 ややツリ気味でパッチリした目の、今風の女子高生。

てんこぶ姫 第一話(2)

 表立った不良というわけではないが、裏ではかなり酷い事をしているとの噂もある。
「橙ちゃ~ん、なんか勘違いしてない? ここは俺らのクラス。なんか気に入らねぇーんなら、お前が出て行けば~!?」
 追い打ちをかけてきたのは、自称和榮の彼氏、佐竹 幸久。
 大柄でガッチリした体格の金髪坊主頭。
 生まれついての強面で、その素行は中学時代から評判は良くない。
「出てけ! 出てけ! 出てけ! 出てけ! 出てけ!・・・・」
 日頃、和榮たちと一緒につるんでいる、中村光子、大関武雄も囃し立てる。
「出てけ! 出てけ! 出てけ! 出てけ! 出てけ!・・・・」
 更に他の生徒たちも混ざり、クラス中…出てけ!コール。
「ほらっ、早く出て行けよ!」
 佐竹幸久が橙の細い二の腕を掴むと、そのまま引き摺るように教室の扉へ向かった。
 勢い良く扉を開けると、橙を廊下へ放り出す。
「ちょ…っ!」
 教室へ戻ろうとする橙を遮るように、幸久は力いっぱい扉を閉めた。
ガチャ!!
 内側から鍵を掛ける音が聞こえた。
「ねぇ! 中に入れてよ! ねぇったら……!!」
 懸命に扉を叩く橙。
 だが、中からは、嘲笑うような笑い声しか返ってこない。
 それでも懸命に扉を叩いていると・・・
「何しているんですか、香坂先生?」
 たまたま通りかかった学年主任の向田が声を掛けた。
「いえ、生徒たちに教室から閉めだされて・・・」
 橙の言葉に向田は大きく溜息をつくと、
「いい加減にしてくださいね。あまり騒がれると、他のクラスにも迷惑ですから」
 それだけ言い、何事もないように立ち去っていった。
― なんで……? 私が悪いの……? ―
 毎日がこんな調子だ。
 学年主任の向田や、ついには教頭……校長にも、これら生徒の素行を話した。
 だが、「いずれなんとかしましょう」か、挙句には「騒ぎが大きくなると、入学希望者に影響がでるんですよ!」「我慢できないなら、退職するしかないですな!」とまで言われた。
 はぁ…もう、やだ……。学校へ行きたくない……。
 日も暮れ、辺りも心も暗くなり、彷徨うように歩いていると、目の前に見慣れた建物が現れた。
 見渡すように大きく広がる建物は、それは…まさしく学校!?
 でも、うんざりする職場である私立高校ではない!
「こ…ここは……!?」
 橙は、確かめるように校門に記された学校名を見直した。
 私立聖心女子大学・・・
 そうだ、母校だ! 
 教員免許を取るため……、仲の良い友達と会話するため……。
 去年まで通っていた、私の母校。
 楽しかった学生生活を思い出したのだろう、橙の目から涙がこぼれ落ちていた。
 橙はそのまま、見えない何かに引き寄せられるように、門をくぐり抜けていた。


「懐かしい・・・・」
 断りもなく校内へ入ったものの、そんな罪悪感すら忘れてしまう心地よさが、そこにあった。
 どこも見慣れた校舎内。まるで昨日までここに通っていたような気分だ。
 懐かしさいっぱいで薄暗い廊下を歩いていると、奥から小さな赤い光のような物が二つ、こちらに近づいてきた。
「えっ!?」
 我が目を疑った橙は、再度焦点を合わせ前方を見直す。
 だが、もう赤い光は見当たらない。
― 見間違えだったかな…? ―
 そう思った瞬間・・・!
「うふふ……、こんばんわ……」
 すぐ耳元から、甘く可愛らしい声が聞こえた!
 あまりに突然の出来事に、橙は身構えるように身を引いた。
「あら……、ごめんなさい。驚かせてしまったかしら……」
 声の主は、変わらぬ甘い口調で言葉を続けた。
 気を取り直して、声の主を確認する。
 それは、小柄な女の子・・・・。
 身長は橙より結構低い。おそらく150㎝ちょっと……。
 更に細く華奢な体つきで、下手すれば中学生でも通るだろう。
 オカッパを綺麗に伸ばしたような、しなやかで長い黒い髪は、まるで一昔…二昔前の、お姫様のよう……。
 大学には少し不釣り合いなデザインの、鮮やかな緑色のワンピース。だが…それが不思議なくらい、よく似合っている。

てんこぶ姫 第一話(3)

「あなたは……?」
 橙がそう問いかけようとした時……
「あ……姫ちゃん、また明日ね~~♪」
 この大学の学生だろう。一人の女学生が急ぎ足で脇を通り過ぎた。
「うふふ……、ごきげんよう……」
 小柄な、お姫様のような女子は、愛くるしい笑顔で軽く手を振った。
― ごきげんよう……って、現実でそんな事言う子……初めて見た! …て言うか、この子、姫ちゃんっていうの!? すごく名前と雰囲気がピッタリ合う子……!? ―
「ここでは『姫』と呼ばれているけど、本名は八夜葵(はやき)都(みやこ)と言うのよ」
 まるで橙の心を読んだかのように、姫と呼ばれた少女……都は言葉を付け加えた。
 そのタイミングの良さに、言葉が詰まった橙だったが、
「あ……、ごめんなさい。私は香坂 橙。この学校の卒業生……」
「初めまして、香坂先輩」
 見惚れるような都の涼やかな笑顔に、少し落ち着きを取り戻した。
「でも、姫ちゃんって可愛いアダ名ね、あなたによく合うわ!」
「うふふ……、ありがとう。ワタクシ……この呼名、凄く気に入っているの。ちなみに生まれ変わった地では、『てんこぶ姫』と呼ばれていますわ」
― 生まれ変わった地・・・・? てん・・こぶ・・姫・・? ―
 一瞬ちょっと理解に苦しんだが、再度気を取り直し
「てんこぶ……って、たしか私の地元の方言で、『大きな蜘蛛』の事を言っていたような……」
「ええ、大きな蜘蛛……、そういう意味よ。可愛いでしょう♪」
― 可愛い……? ま、まぁ……好みは人それぞれだから…… ―


「姫ちゃんは、ここの学生よね? 学部はどこなの?」
 二人は、ティールームと表示された全面ガラス張りの喫茶室で、紙コップを手に向かい合って座っていた。
「教育学部ですわ」
「あ……、完全に私の後輩だ~~♪」
「改めて、よろしく……先輩」
― 少し変わったところもあるけど、この子…素直で可愛い! こんな子が私の生徒だったら…… ―
 そう思った橙だが、すぐに現実を思い出し、一気に心が鉛のように重くなった。
「先輩、なにか…お悩み事でも……?」
「え……? あ、いや……」
 橙がそう言って顔を上げると、すぐ眼前に都の目が・・・
「ひ…姫ちゃん……?」
「ジッとして、先輩……」
 それこそ、目と目が触れ合うような距離・・・
 それにしても、都の瞳・・・なんて涼しそうな瞳なんだろう。
 蒼く澄んでいて、それでいて…深みがある。
 まるで湖のようだ……。
「先輩の人生の色・・・、深く…濃い灰色なのね」
 都がポツリと言った。
「人生の・・色?」
― また、なにか変わったことを……? ―
「な…なんなの、それ……?」
「目を見ているとわかるの。その人の人生が、今・・・どんな状況か?…が」
「私の……人生……灰色……?」
「心が救われるのなら、話を聞きますわ」
 いったいこの子は、私から何を感じ取っているのだろう?
 まるで、心が透かされているような気分だ。
 でも……
 でも……、言うわけにはいかない。
 私のプライドとか、見栄とかでなく、この子も教育学部なら、将来教師になることを目標としているのかも知れない。
 そんな子に、あんなに酷い生徒たちの話とか、とてもできないし、するべきでない。
「だ、大丈夫……心配しないで姫ちゃん」
「うふふ……、それならいいけど」
 都はそう言って、ニッコリ微笑んだ。
「ねぇ…姫ちゃん、また会ってくれる? なんか、あなたといると、少しだけ安心できる気分になれる……」
「ええ、いいですわよ」

 それから二~三日、橙は都と大学で待ち合わせした。
 一緒にお茶を飲んだり、食事をしたり。
 橙は、その時間だけ嫌な学校の事……、嫌な生徒たちの事を忘れることができた。
 そう、あの日が来るまでは・・・・。


 その日、全ての授業が終わった放課後。
 橙が図書室で次の授業に使う文献を調べていると、クラスの女生徒、吉川が駆け寄ってきた。
「香坂先生、大変です! 早く来てください!!」
「どうしたの、吉川さん?」
「田上くんと・・・・井川さんが・・・! 早くっ!!」
「田上君と、井川さん……?」
 どちらも橙のクラスの生徒。
 共通しているところといえば、二人共真面目で大人しく、クラスでもあまり目立たないといったところか。
 吉川に引きずられるように橙が向かった先は、体育館裏の体育倉庫。
 閉じられた扉の隙間から、中を覗いてみる。
 そこには深紫和榮と、共に行動しているいつもの面々。
 佐竹幸久、中村光子、大関武雄。
 四人は何かを取り囲むようにしている。
 そしてその中心には、田上と井川の二人の姿が。
― な……なんなの……これは!!? ―
 橙は思わず両手で、目を塞ぎそうになった。
 二人共全裸で、仰向けに横たわっている田上に、井川が覆い被さるように上に乗っている。
 体勢は数字の6と9の形で、頭部は互いの股間にある。
 それは、明らかに性行為だ。
 だが、その表情は涙ぐんでおり、とても欲情に任せた行動には見えない。
「深紫さんたちが、無理やりやらせているんです。それも、ここ…二~三日連続……」
 吉川が訴えるように言った。
「二~三日……、なんで私や両親に言わないの!?」
「言ったら、録画した動画を……動画サイトにアップするって……」
 録画……? 今、中村光子が携帯を向けているけど、アレのこと?
 田上と井川の、クラスメートから強要させられた性行為・・・
 冷ややかに見つめる、深紫和榮。 ナイフを片手に大笑いしている佐竹幸久。
 携帯の動画機能を使って、録画している中村光子。
 ヘラヘラ笑いながら、時折叱咤するように蹴りを加える、大関武雄。
 橙の目には、狂気の沙汰としか思えない光景であった。
 橙は力任せに扉を開けると、
「や…や………、やめなさいっ!!」
 全てを吐き出すように怒鳴り声を上げた!
 一瞬、時間が止まった。
 涙目の田上と井川の二人も・・・、強要した四人も、全ての視線が体育倉庫の扉に集中したまま、止まっていた。
「あ…あなた達、学校で…何をさせているの!?」
 息を荒げ、絞りだすように、声を放つ。
 最初に時を戻したのは、やはり中心人物である、深紫和榮だった。
「アンタさぁ……、いくら教師だからって、生徒同士の恋愛の邪魔して、いいわけ?」
 言っている意味は正論だ。だが、それが純粋で正しい心が発しているとは限らない。
「な…な……、なにが恋愛よ!? あなた達が二人に淫らな行為を強要させているのは、わかっているのよ!」
「ふ~ん……、アタシたちがこの二人に強要ね……」
 和榮はそう言いながら、軽く溜息をつくと、
「ねぇ、田上……井川。アンタ達が好んでエッチしているんだよなぁ?」
 問いかけた。
 抱き合ったまま、放心状態の田上と井川の二人。
「ホラっ! 和榮が聞いてんだろ! しっかり答えろや!」
 佐竹幸久が、手にしたナイフで二人の頬を軽く叩いた。
「ぼ…ぼ……僕達が……」
 震えながら、口を開きだした田上。
「僕達が……やりたくて、エッチしてました……」
「だ・と・さ、センセ!」
 和榮は不敵な笑みを浮かべた。
「あ……っ、橙ちゃん…、ホントはエッチ~ぃの見て、興奮しちゃったんじゃないの!?」
 佐竹幸久が、馬鹿笑いしながら問いかけた。
「へぇー、そうなのかい…センセ?」
 ソレを聞いた和榮は、そう呟くと、全員に目で合図を送った。
 直ぐ様、幸久が橙の二の腕を掴み、強引に倉庫の中へ引きずり込む。
 合わせて、大関武雄が倉庫の扉を閉めきった。
「な……なんなの……これは……!?」
 予想もしない出来事に、橙の声も……そして、足も震えていた。
 再び幸久が橙の腕を引き、倉庫奥で引きずり倒す。
 尻もちをつき、見上げた顔の先には幸久のナイフが……。
「あ………」
 この瞬間、心の奥底から恐怖を感じた。
「センセ、いいよ……ここで自慰しちゃっても」
 和榮がすまし顔で近寄ってきた。
「生徒のエッチ見て、興奮しちゃったんだろ? アタシ達には気にしないで、自慰っちゃいなよ!」
「そ…そんなバカなこと……」
 そう言った瞬間、頬に冷たい鉄の感触が・・・・
 恐怖で身体を動かすことができず、目だけで追ってみる。
 幸久が、ナイフを頬に当てていた。
 更にそのナイフは、ゆっくり動き……、刃先が目の前に移動してきた。
「ひ…ひぃ……」
「ほら、まずはブラウスとスカートの中に手を突っ込んで・・・」
 今にも眼球を突き刺さんばかりに、ナイフが小刻みに前後する。
 橙は言われるまま、ブラウスのボタンを開け、スカートに手を入れた。
 だが、だからと言って、こんな状況でそんな行為ができるはずがない。
 ソレを察して、和榮は冷ややかに、こう指示した。
「田上くんと井川さん、センセ…やり方がわかんないみたいだから、手伝ってやりなよ!」
 戸惑う二人に、幸久が睨みを利かせる。
 二人は恐る恐る、橙の身体に触れた……。
「ほら、井川はセンセの胸を……。田上はアソコを舐めてあげなよ……♪」
 大関武雄が気を利かせて、橙の衣服を剥ぎ取り、ストッキングとベージュの下着を引きずり降ろした。
 二人の震える舌が、橙の胸と股間に触れる。
「だ…だめ……」
 その状況を、和榮は冷め切った目で見下し、中村光子は嬉しそうに録画している。
 恐怖。恥辱。無力さ。全てを実感し、橙はただ涙するしかできなかった。
「それじゃ~ぁ、そろそろ本番タイム、入りまぁ~ス!!」
 幸久が大はしゃぎでズボンを脱ぎ、その男性自身を橙に見せつけた。
「や…や……、やめ…て………、おねがい……!!」
 後ずさりする橙を横目に、和榮は苦笑しながらも続行を命じ、武雄は大興奮、光子は更に嬉しそうに携帯を向けた。
 
 その日、橙は『処女』を失った。
 それを知った和榮は、「この歳で~~!?」と大笑いし、幸久は満面の笑みで「ごちそうさま」と答えた。

 当の橙は、もう……涙すら出なかった。

| てんこぶ姫 | 14:42 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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黒紫色の放課後 ― 後編 ―

 日はすっかり暮れ、街灯や建築物の灯りが眩い中、橙は宛てもなく歩いていた。
 目に映るもの全て、そのまま反射し・・・耳に入るもの全て、聞き流し・・・
 それは正に死人(しびと)。
 死人が時の河を流されるように彷徨っている。そんな感じだ。
 気が付くと橙は、丘福市の中央を流れる一級河川、那賀川に掛かる、丘福大橋の歩道に立っていた。
 高欄越しから見下ろすと、昼間は大きく綺麗な川だが、この時間ではまるで巨大な黒い生物が流れているようにも見える。
「ここから飛び降りたら…死ねるかな……?」
 橙はポツリと呟いた。
 それは乾いた笑いが混ざった、まさしく「どうでもいいや……」程度の口調であった。
 どれだけの時間(とき)が過ぎたのだろう?
 数分か・・・数十分か・・・
 光を失った眼差しで、川の流れを眺めていた橙。
「もう……、こんだけ頑張ったんだから、楽になってもいいよね・・・・?」
 そう呟くと、高欄を飛び越えようと、身体を浮かした。
 その時・・・・

「うふふ……こんばんわ、香坂先輩」

 すぐ耳元から甘い声が聞こえた。
 呆然と目で声を追うと、そこには街灯に照らされた、お姫様のような愛らしい笑顔が。
「姫・・ちゃん・・?」
「そこにおられては危ないですわ、さぁ…手を……」
 都はそう言って、優しく手を差し伸べる。
 橙は、全ての力が抜けたように、歩道に腰を下ろした。
「姫ちゃん……わたし……」
 橙がそう言うと、都は両手で橙の頬を優しく支え、瞳を近づけた。
 都の湖のような、蒼く澄んだ…それでいて深い瞳が、橙の全てを受け入れるように見つめている。
「先輩の今の心の色……、底が見えない程…深く暗い黒ね」
 都の仕草、言葉の一つが、橙の心の闇を切り開くように入ってくる。
「姫ちゃん……」
「何がありましたの、先輩…?」
 橙の意思とは関係なく、涙が溢れだしてきた。
 水門が開放さえたダムのように・・・・

 橙は、今日あった事を全て、都に話した。
 恥も外聞も無く、ただ……ただ……話していった。
 そして都は、その全てを受け入れていた。

てんこぶ姫 第一話(4)
 
「姫ちゃん、私……どうしたらいいの!? もう……生きていたくもない!」
 それまで黙って聞いていた都は、ゆっくりと口を開いた。
「先輩が、今…一番望んでいることは、何……?」
「私が……一番望んでいること・・?」
 橙は軽く息を吸うと、一点を見つめるように考え込んだ。
 そして・・・

「あの子たちに、復讐したいっ!!」

 更に急き立てるように……
「あの子たちをあの世に送れるなら、私の命は……くれてやってもいい!!」

「うふふ……わかったわ、先輩」
 一瞬、今までとは違う……都の別の笑顔が見えた!
「姫ちゃん!!?」
 すぐに立ち上がって辺りを見渡したが、都の姿はどこにもなかった。


 深夜の高校の敷地内で、中村光子と大関武雄は、ノートパソコンを用意していた。
「よし、これで準備OK~♪ 武雄、しっかり頼むわよ~~♪」
 中村光子は、パソコンに接続したカメラを調整しながら話しかけた。
「深夜の学校、謎の怪物に襲われる現役女子高生。こんなのヘラ生で流すわけ? しょうもねぇー。」
 武雄は苦笑しながら答える。そして、
「どうせなら、今日録画した橙センセと田上、井川の絡みをアップした方が、絶対に需要があると思うけどな……」
「あたしもそう思ったけど、和榮が許可しないのよ。炎上するのは目に見えているらしいし、それに・・・」
「それに・・・?」
「あたしにDVDを五十枚程焼けって言っていたから、おそらく裏で売買するんじゃないかな?」
「そんなの売って、大丈夫かよ!?」
「ネットに比べたら需要は少ないけど、レンタルビデオ店で口コミを利用したルートだから、安全性は高いんだって!」
「なるほどね。 それじゃ俺は向こうで準備するから」
「ほい、放送が始まったら、タイミング見計らって出てきてよ!」
 光子はそう言ってパソコンのキーボードを叩き始めた。
 画面には、ヘラヘラ動画生放送と表示されている。
 武雄は校舎裏へ行くと、バッグから怪物の覆面を取り出し、頭に被った。
 フト、裏門の方から小さな赤い光が二つ近づいてくるのが、目に入った。
「なんだ…?」
 確かめようと覆面を外し、光から目を離した瞬間、背中から腹部かけて激痛が走った。
 恐る恐る目をやると、自身の腹部から、女性の腕のような物が突き出ている。
「え……え……!?」
 それが何だったのか確かめる間も無く、視界が暗くなり…眠るように崩れ落ちた。

「もう……武雄の奴、何やってんのよ!? 間を持たせるのも、大変なんだから……」
 カメラの前で生放送中の光子は、いつまで経っても乱入してこない武雄を待ちきれず、一旦休憩という形でパソコンから離れ、校舎裏へ足を運んだ。
「!!?」
 そこには血だらけで息絶えている武雄の姿が・・・・
「だ…だれか……」
 助けを呼ぼうと踵を返した瞬間、
 シュッ・・・・
 細い糸のような物が、首に巻き付いた。
 首を締め付ける糸を必死で引きちぎろうとするが、緩む気配もなく、それどころか、身体がゆっくりと釣り上っていく。
「他の仲間はどこ?」
 不意にすぐ脇から、甘い声が聞こえた。
 目で追うと、小さな赤い光が二つ、光子の耳元で光っている。
 よく見ると、それは光子と同じ年頃の少女の瞳。
 血のように赤く光る瞳の少女……都は、再び質問を繰り返す。
「貴女の仲間、和榮と幸久はどこにいるのかしら?」
「た…多分……、晴吉二丁目にある、レンタルビデオ屋……」
「そう、ありがとう」
「ね……ね…、たすけ……」
 そう言い切る前に、光子の身体は一気に宙に釣り上げられた。
 まるで、等身大の…てるてる坊主のように。


 晴吉、場所的には丘福市の中央あたりに位置している。
 だが、古くは遊郭が栄えた地であり、現在でもその名残らしきものがある。
 その一角に、小さなレンタルビデオ店があった。
 看板には店名らしい表示もなく、窓という窓は全て目張りされ、どう見ても一般客は入りにくい雰囲気だ。
 今、その店内には、和榮が立ち寄っていた。
 一緒に同行してきた幸久は、外で待たされている。
 あまりに退屈な時間、幸久は暇つぶしになるような物はないかと、辺りを見回していると、
「うふふ……お暇なら、10分千円でいかがかしら・・・?」
 と、甘い声をかけられた。
 小柄でオカッパのような、長いお姫様ヘア。愛くるしく、涼しげな笑顔。
 何度かここへ足を運んだが、初めて見る子だ。
 10分千円は安いし、それに好みのタイプでもある。
 どうせ、和榮はあと10分~20分は戻ってこないだろう。
「いいじゃん! やっちゃうよ♪」
 幸久は、少女の後についていった。
 ゴザだけ引いた路地裏で、少女…都は衣類を全て脱ぎ、全裸になった。
 小柄な身体の割には、それなりに成熟している胸。
 美しい黒髪同様、黒くしなやかな恥毛。
 大喜びで服を脱いだ幸久は、その男性自身を都の眼前で奮い立たせる。
 都が幸久の男性自身に手を触れる仕草をした……その時。
 細い糸のような物が、男性自身に巻き付いた!
 糸は強く…きつく、男性自身を締め付ける。
「い……いてぇ……、なんだ……これは…!?」
 必死で巻きついた糸を解こうとする幸久。だが締め付けた糸は、まるで解けそうにない。
 血が行き届かなくなった男性自身は、徐々に徐々に、紫色に変色していく。
「早くしないと、腐って使い物にならなくなりますわよ」
 その滑稽な様子を眺め、都はクスクスと微笑んでいる。
 焦った幸久は、脱ぎ捨てたズボンのポケットからナイフを取り出した。
 橙や、田上、井川を脅した、あのナイフ。
 そのナイフで糸を切り解こうとした。
 だが、手が震え思うようにいかない。
「手伝ってあげますわ♪」
 都は手の平から糸を放出し、ナイフを持つ手に絡み付けた。
 そして、その糸を軽く引いた・・・・・
 あたり一面が血の海になったという表現は、決して大袈裟ではなかった。


「待った!?」
 商談が終わり、満足した表情で店を出た和榮。
 だが、そこには待っているはずの幸久の姿が見当たらない。
「まさか……先に帰った?」
 脳まで色欲で犯されている幸久は、商談の邪魔になる。
 そう思っていつも店先で待たせているのだが、さすがに不貞腐れて帰ったのだろうか?
 あんな奴でも深夜の帰り道では、いいボディーガードになる。
 ちょっと困ったな……そう考えたその時、路地裏から物音が聞こえた。
「幸久……、いるの~?」
 和榮は路地裏に足を踏み入れた。
 街灯も、あまり届かない路地裏。
 恐る恐る進んで行くと、その奥で見覚えのある人影が横たわっている。
「幸久・・・・?」
 更に歩を進めた瞬間! 
 何かに捕らわれたように、一歩も身動きがとれなくなった。
 まるで、目に見えない粘着物が、体中に纏わりついているような・・・・
 いや、見えなくはない。
 細い糸のような物が、無数に張り巡らされている。
 それは巨大な蜘蛛の巣・・・・
 今……和榮は、蜘蛛の巣に捕らわれた、虫のような状態であった。
「な……なんなの…これ……!?」
 十六年生きてきたが、こんな巨大で人間すら捕らえてしまうような蜘蛛の巣なんて、見たこともないし、聞いたこともない。
 必死に振りほどこうとするが、動けば動く程…糸は身体に絡みついてくる。
「幸久……、ねぇ……幸久! 助けてよっ!!」
 和榮は目の前で横たわっている幸久に、必死に助けを求めた。
「残念ね、彼……もう亡くなっておりましてよ」
 頭上から、甘く澄んだ声が聞こえた。
 見上げると、蜘蛛の巣を伝わって、二つの赤い光が降りてくる。
 それは、自分と殆ど歳が変わらなそうな少女。
 長くしなやかな黒髪、愛らしい顔立ちだが、血のように赤く光る瞳。
 だが、こんな蜘蛛の巣を自在に行き来できるなんて、どう考えても普通の人間ではない。
「な…何者なの……アンタ!?」

「ワタクシは、てんこぶ姫・・・・」

「てん・こぶ・・ひめ・・?」
「そう、貴方達が理解できる単語で言えば・・・・」
 都は更に目を細め、ニッコリ笑うと……
「妖怪ですわ……!」
 そう言った瞬間、愛らしい都の上顎から、鎌のような鋭い牙が飛び出した!
「きゃああああああ!!」
 その姿を見て、大きく悲鳴を上げる和榮。
 都は和榮の目の前まで降りてくると、その身体をじっくり見定める。
 その目は、獲物を目前とした、絶対捕食者の目だ。

てんこぶ姫 第一話(5)

「貴方のその体、美味しくいただかせてもらいますわ…」
 そう呟くと、その鋭い牙を和榮の首筋に突き立てた。
「お…おねがい……やめ…て……」
「貴方は、自分より弱い者がそう言ったら、止めてあげました?」
「ひぃぃぃぃぃ…」
 泣き叫ぶ和榮。
 だが、それも長くは続かなかった。
 首筋から、なにか冷たい物が身体の中に流れ込んでくるのがわかる。
「あ…あ……ああ……」
 その冷たい物が全身に行き渡った頃、痛みも恐怖の薄れていくのが感じ取れる。
 それどころか、フワフワと身体が宙に浮いてしまうのではないかと錯覚するくらい、軽くなっていく気がする。
― あ…恍惚……… ―
 和榮の意識はそこで終わった。
 自身の身体がどうなったのか、知らぬまま・・・・
 そう、実際に『身体の中身』が、都に吸い尽くされたことを・・・。

 それは蜘蛛の食性。
 消化液を獲物の体内に注入し、液状にして吸い尽くす。これを『体外消化』という。
 食べられた獲物は、中身が空っぽになってしまう。
 
 すっかり中身を食べられ、アニメでよく見る…ペチャンコにされた人物のように、ヒラヒラの皮だけとなった和榮を巣から引き剥がす。

てんこぶ姫 第一話(6)

 ポカリと開いたその口に、都は手の平を押し当てた。
 手の平から、細い糸が放出され、皮だけとなった和榮の体内に流れ込む。
 更にその皮を伸ばしたり、縮めたりすると、それはすっかり形を変え、一枚の布切れのようなものになった。
「うふふ……、貴方の人生の色は、何色だったのかしら?」
 都は嬉しそうに、布切れに霧のような息を吹きかける。
 すると、どうしたことだろう!? 見る見るうちに、黒紫色の布地へと変化していった。
「黒紫色を象徴する言葉は『神秘・高貴・威厳・絶望・孤独・恐怖』。貴方にピッタリね!」
 都はそう言って布地を手に、その場から姿を消した。


 翌日、橙は自宅アパートで朝を迎えた。
 都と別れたあの後、どうやって自宅に戻ったのかは記憶に無い。
 ただ、悔しさと悲しさ……寂しさで、眠れない夜を明かしたのは間違いない。
 呆然と働かない頭のまま、習慣でテレビの電源を入れる。
 この時間、朝のワイドショーを放送しているが、丁度最新ニュースが流れ、橙の目は釘付けとなった。
 佐竹幸久、中村光子、大関武雄の三人が昨夜殺害され、深紫和榮が行方不明になっていると・・・。
「これは……?」
 食い入るように画面を見つめていると、コン…コン…と、部屋の扉を叩く音が。
 扉を開けると、そこにはニッコリと微笑む、都の姿があった。
「うふふ……、おはようございます、先輩」
「姫ちゃん……?」
 驚く橙に、都は一つの紙袋を手渡した。
 橙が中身を取り出すと、それは鮮やかな黒紫色のスーツだった。
「これ……って?」
「先輩を苦しめた、あの女の身体で仕立てたスーツですわ!」
 言っている意味が理解できなかった・・・・。
 だが、あの三人が殺害され、和榮は行方不明・・・・。
 それも、橙が都に全てを打ち明けた…すぐその後だ。
― 姫ちゃん……、あなた…もしかして…… ―
 都はいつもと変わらぬ、涼しい笑顔。
「先輩が昨日言った言葉、一番望んだ気持ちに後悔が無いのであれば、そのスーツを着てみて?」
 私が言った言葉・・・、望んだ気持ち・・・・
 それは、復讐・・・・道連れ・・・・
 ジッと目を閉じ、考える・・・・
 色々な思いが頭をよぎる。
 橙は、意を決したように、渡されたスーツをその身に着込んだ。
 その瞬間、大粒の涙が、ポロポロと溢れだした。
 喜びの涙なのか・・・・
 それとも、辛かった日々の反動か・・・・
 何故かは、わからない。
 だが、涙が溢れるのと同時に、心が温まっていく……
 そんな気がした。
「先輩・・・・」
 耳元で、甘い声が囁かれる。
「よろしくて……?」
 都の言葉に、橙は黙って頷いた。
 首筋に鋭いものが突き刺さり、冷たいものが体内に入り込んでくるのがわかる。
 しばらくすると、まるで天に舞い上がっていくような錯覚を感じる。
 天国に行くって、こんな感じかな……?
 それが橙の最後の思考だった。
 
 全ての物事が終わると、都は新たに手に入れた、一枚の大きな布地を広げた。
 それは、まるで太陽のように明るく眩い…オレンジ色の布地。
「触り心地、色具合、これは最高級の布地ですわ」
「オレンジ色を象徴する言葉は、『家庭的・元気・自由奔放・活力・陽気・温もり』。先輩の本当の色は、この色でしたのね」
 都は布地を頬に当て、その柔らかな感触を味わう。
「丁度…今から暑くなる季節。サマードレスに仕立てたら、素晴らしい物になりますわ!」
 都は、布地を大切そうに折りたたむと、アパートを後にした・・・。

てんこぶ姫 第一話(7)

つづく?

| てんこぶ姫 | 14:38 | comments:8 | trackbacks:0 | TOP↑

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あとがき

改めて、こんにちわ。

今回も閲覧、ありがとうございます。

さて、『黒紫色の放課後』、いかがでしたでしょうか?

今回、初の本格的(?)ダークファンタジーに挑戦してみました。

まぁ、ダークファンタジーというジャンルは、昔から好きでしたが、なかなか書くネタやキャラがなく、見合わせておりました。
もちろん、妄想や想像を『文章で表現する』というスキルが足りないというのが、本音ですがwww

今でも、人様に自慢できるほどの表現力があるとは、夢にも思っておりません。
ただ、お陰様で『妖魔狩人~』シリーズを多くの人に閲覧していただけるようになったので、本当に『挑戦』という形でやらせていただいた次第です。

さて、前置きは置いておいて・・・


てんこぶ姫こと…八夜葵 都、ついに主人公として登場です。

都の原型は、言わなくてもご存知とは思いますが、改めて紹介させて頂くと、MT様が書いてくださった『妖魔狩人外伝―魔のものの暗躍―』に登場する、名も無き……大蜘蛛の化身
それが、都の原型です。

あの話を初めて読ませていただいた時、その世界観の中で、本当に『怪しく光る』キャラだな~と感じました。
それで、なんとかこのキャラを『妖魔狩人~』に登場させたいなーと思うようになり、MT様コンタクトを取りました。

MT様は、快く承諾してくださったので、調子に乗って、名前……生立ち、デザイン。妄想を膨らませ、一気に考えましたねww


まぁ……、当時MT様は、きっと……


「何考えてるんだ……こいつ!?」


って、思ったことでしょうwwww

そうして出来上がったのが、都というわけです。

すると、そこまで出来上がってきたら、ただの妖魔狩人の敵役では、もったいないな~って気がしてきました。
…かと言って、味方……?っていいうのもおかしい。

じゃあ、彼女の個人的な気まぐれで、中立的にするか? そう考えているうちに、中立? 気まぐれ? なダークヒロインはどうか?

これが、彼女を主人公にする、発想となりました。

後は、人間にとって、有益でもあり……害でもある、ホント……蜘蛛の妖怪に相応しい役どころ。

すなわち、復讐代行というポジションに当てはめました。
まぁ、構想していたから思い出したのか? それとも思い出したから、そういった構想をしたのかわかりませんが、丁度その頃…頭にあったのが、若いころ読んだジャンプマンガ『ブラックエンジェルス』と同時に、同じく若いころ見ていた『必殺仕事人』。

後は、いかに蜘蛛らしい殺害方法をするか? がポイントになりましたね。

余談ですが、俺っちは『蜘蛛が大嫌い』ですwwww

この世の生物の中で、一番キライな生物が、蜘蛛ですww

それに関しては、あるトラウマがあるからなのですが、それはいずれまた・・・・

だから、俺っちにとって蜘蛛は、『大いなる敵』なんですねwwww

しかも、昔暮らしていた家では、アシダカグモという…これまたデカイ蜘蛛が、当たり前のように出没する。
ヤツと出会う度に『死闘』になっていたので、俺っち・・・・結構、蜘蛛の習性とか勉強したんですよwww

だって、大いなる敵だからwww

その御蔭で、蜘蛛らしい動きとか、イメージできました。(頭の中では・・w)


てんこぶ姫、八夜葵 都の名前の由来ですが、九州では蜘蛛の事を『こぶ』と呼ぶ地域があるんですよ。
俺っちが昔暮らしていた『熊本』でも、「こぶ」と呼んでいましたね。

さらに長崎へいくと、「大きい蜘蛛」のことを『てんこぶ』と呼ぶそうです。

そこで、大きい蜘蛛の姫・・・で、てんこぶ姫と決めました。

ちなみに、なぜ『姫』にしたか? それは、MT様の―魔のものの暗躍―の中の都(名無しだがw)が、お嬢様言葉的だったから。
きっと、元は育ちのいいお嬢様だったのかな? そこから、じゃあ…姫と呼ばれていたことにしようww となりました。

八夜葵 都の名の由来は、日本書紀に登場する、土蜘蛛の一族を統括する女党首の名『速来津姫(ハヤキツヒメ)』から取りました。

この速来津姫、美しく「長い黒髪」という女性だったので、見事なまでにイメージピッタリ!
『はやきつ』を、見栄えのいい漢字変換を繰り返したら、『八夜葵都』といい感じにまとまったので、即決まりですww


今回の主役である、香坂 橙。そして敵役のリーダー、深紫 和榮

第一話の話は何にするか?

いくつか候補がありました。
候補例…他には、「有名劇団に入団したい女の子の話」「コンピューターウィルスのせいで、人生を狂わされた女性の話」「いじめに合っている、女子高生の話」

その中で、一番まとめやすかったのが、今回の話で。
あと、もう一つ余談が混ざりますが、MT様の作品でノベルゲーム『100』というのがあります。
これの主人公、『百合』。
この子にも、べた惚れしておりまして・・・・・ww
そこで、その百合に同期っぽい(あくまで、俺っちのイメージですがw)女性を主役にしたいな~~というのもあり、若い女教師としました。

名前の由来は、単純です。

最後、オレンジ色の布地になるので、だいだい色・・・。漢字で『』となり、他の読み方を調べたら『ゆず』とも呼ぶらしいので、そうしましたw
苗字の『香坂』は、モデルとなっている地域で最も多い苗字ベスト10内に『坂本』というのがありました。
だから、最初は『坂本 橙』だったのですが、なんか…もう一捻り欲しくて、『香坂』に変えました。

深紫 和榮は、とにかく…今風の女子高生(悪いイメージでの)というのを、全面に出したかった。

ぶっちゃけ、女子高生とは面識がないので、完全にネットからの情報や、テレビドラマのイメージが強かったかもしれません。

和榮』という名前は、「不幸になりやすい名前」で検索したら、引っかかった名前なので、そのまま使いましたwww
他の「幸久」「光子」「武雄」も、皆…それに引っかかった名前ですww

苗字の深紫は、黒紫の別の呼び方。


以上が、だいたい…今回の話の経緯です。

うぁ、かなり長くなった・・・・・( ̄□ ̄;


もし、それなりに好評を得ることができたなら・・・
(まぁ、不評でも・・・w)

もう1~2回、続編を書くかもしれません。

それも踏まえて、 ご感想を頂けたら、幸いです!!


では、マジで長くなりましたが、ここまで閲覧頂き、本当にありがとうございました。m(_ _)m

| あとがき | 14:30 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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近況報告

こんにちわ。

最近暑くなりましたね。
基本的に寒がりのくせに、暑がりでもあるので、ぶっちゃけ……暑さが続くと結構つらいものがあります。
仕事上&色々あって、エアコンも殆ど使えないので、脱水症状だけには気をつけなければ・・・。

そんな るりょうりに です。


さて、近況報告!

前回の『あとがき』でも書きましたが、『妖魔狩人 若三毛凛 if 第14話』は次回はお休みです。

別の新しい物語を公開予定にしております。

執筆も完了しているので、今回は新シリーズ(になったらいいな~)のタイトルと、予告を報告させて頂きます。

タイトルは『 てんこぶ姫―黒紫色の放課後―(仮題) 』です!!

まずは、主な登場キャラクターのイラストから。

てんこぶ姫 予告1

名前、詳細については、まだ伏せておきますが、約1名については、見覚えがある方もいらっしゃるかもしれませんw

妖魔狩人シリーズ柚子村のとなり街、丘福市を舞台としたダークファンタジーです。

一番気になるところは、「どんな状態変化があるのかな?」だと思うのですが・・・

申し訳ありません! m(_ _)m

状態変化『気持ち程度』で、ストーリー重視の小説となります。


つまり・・・・!


思いっきり、俺っちの自己満足作品ですww

でも、俺っち本人は、それなりに面白いと思う作品に仕上がった感があります・・・が!?



最初(はな)から、まともなストーリー構成力があれば、今頃はプロになっていたかもしんねぇーだろ!?


それが無いから、自己満足作品で終わっているんだろうが!!


って、内なるツッコミが聞こえてきそうですw

だから、思いっきり『不評』になる可能性は大!ですね・・・(^^A


まぁ、それでも少しだけ、期待して待ってくれると嬉しいですw

現在…挿絵制作段階で、公開予定日は順調にいけば、来週15日あたりだと思います。


尚、『妖魔狩人~』の方は、それが終わってから、プロット制作に入りますので、来月になると思います。
そちらの話は、来週『あとがき』でできれば・・・と思っております。


では、今回も閲覧ありがとうございました。

皆さんも、熱中症など暑さに気をつけてください~!

| 閲覧者様との交流 | 16:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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