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自己満足の果てに・・・

オリジナルマンガや小説による、形状変化(食品化・平面化など)やソフトカニバリズムを主とした、創作サイトです。

2018年04月 | ARCHIVE-SELECT | 2018年06月

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ネザーワールドクィーン はじめに


 こんにちわ、スイーツ大好き(?)の… るりょうりに です! ヽ(`▽´)/

 さてさて、かなりお待たせいたしました。
 新作がやっと出来上がりました。

 でも……

 「ターディグラダ・ガールじゃ……ない?」

 はい。
 実は、作品でも気分転換がしたくなり、今回ターディグラダ・ガールはお休みさせていただきました。

 一応…第8話は途中まで執筆してあったんですよ。
 でも、なんか気に入らなくて。

 そんな時、ターディグラダ・ガールを始める前にもう一つ構想していた作品 『冥界王女(仮名)』が頭に浮かびまして。
 それを再設定し直して書き上げたのが、今回公開する……『ネザーワールドクィーン』です。

 そんな訳で、いつもなら「第〇話……いつ頃公開予定です!」と報告していたのに、前回の生存報告などでも、『次回作』と濁していたわけです。
 気づかれました? (;^_^A

 まぁ、前置きはこの辺にしておいて、その『ネザーワールドクィーン』について、いくつか注意事項を。

 今回の作品は、私にとって新たな試みをさせて頂いております。
 読んで頂ければわかりますが、物語が『主人公視点』となっています。

 したがって、かなり回りくどい進行になっていると感じられるかもしれません。

 ですので、そういう作風が苦手な方は、どんどん飛ばして読まれた方がいいかもしれませんね。

 もちろん、しっかり読んで頂いて、感想をお聞かせいただければ、一番嬉しいことですが。

 また、状態変化も有ることは…有りますが、ここ最近のターディグラダ・ガールに比べれば、内容は薄いかもしれません。
 それもあって、生存報告では「絶対に期待しないように!」と言い張っていたわけですが。(;^_^A

 とにかく、いつもと違う流れになっておりますので、予めご了承ください。

 では、後ほど…『あとがき』で! <(_ _)>


 


 

 

| ネザーワールドクィーン | 16:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ネザーワールドクィーン 「第1章」



「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」
 ……と言うことで、季節(とき)は清明。
 もっとも、実際は二日ほど過ぎているため、今日は四月六日となる。
 そう、本日は高校二年生となる始業式の日なわけで。でも、二週間ちょっとも休みが続いた後の学校というのは、楽しみのような……面倒くさいような。
 正直言って、まだ布団の中で転がっていたいというのが本音だな。
 しかし、ここで休んでしまえば、また明日も学校を休むだろうな。俺は自分の性格を、嫌と言う程知っている。一度自堕落すると、そのままズルズル流されてしまうという情けない短所があるんだよ。
 だが、これを逆手に取って、まったく逆のスイッチを入れてしまえば、打って変ったように頑張れるという……長所にもなるんだな。
 そんな訳で、ちょっと気合を入れて布団を蹴っ飛ばし、勢いをつけて起き上がってみる。
 こうなればこっちのものだ。不思議と「学校へ行かなきゃ…」モードに入ってくれる。
 あくび混じりで制服に着替え部屋を出ていくと、廊下の真ん中にある階段を降りていく。
 まだ寝ている人もいるかも知れないので、慌てず急がず静かに降りていくと、四~五人が並んで使える洗面所が目に入る。
 ぼんやりと顔を洗って、その隣向いにある襖を開けると、そこは六~七人が余裕で座れる居間であり、食事はそこで食べる様になっているわけだ。
「おっ!? 倫人(りんと)ちゃん、きちんと起きれたようだね。偉いぞぉ~っ!」
 食事をテーブルに並べながら、まるで小学低学年の子どもを相手にするような言葉を掛けてきたのは、恵比寿様みたいな丸々とした女性。

ネザーワールドクィーン 一話01

 いやいや、違うぞ! この人は俺のお袋(母親)ではない。俺のお袋は今頃親父と二人で、地球の反対側あたりに居るだろうよ!
 この人は『多々良紀子(たたらのりこ)』さんと言って、この『下宿屋多々良』の女主人で、俺の叔母に当たる人だ。
 俺の両親は考古学者をやっていて、俺が幼い頃から世界中を飛び回っている。そのせいでしばらく日本を離れるときは、こうして叔母さんが経営する…この下宿屋に俺を預けていくのが定番となっている。
 それもあってか、叔母さんは今でも俺を小さいころと同じように扱ってくるわけだ。
 まぁ、俺にとってはもう一つの実家みたいなものだが、それでも下宿代だけはしっかり受け取っているというから、叔母さんも抜け目がない。
「あら、たしかに受け取ってはいるけど、でも……今どき三食付きで、月五万円なんて下宿代。こんな低価格で良心的な下宿屋、滅多にないわよ!」
 たしかにもっともだ。俺が言うのもなんだが、叔母さんはちょっとお節介なところもあるが、たしかに人当たりが良くて面倒見が良い。
「ところで倫人ちゃん。『王女ちゃん』は、まだおやすみしているの?」
 勢いよく朝食をかっ食らうこの俺に、もう一人分の食事を並べるべきか…否か、悩みながら叔母さんはそう問いかけてきた。
「ああ……? あの人はまだ寝ているみたいだ。まぁ、自由気ままにやる人だから、放っておいていいんじゃないか?」
「うん……。でも、いくら学校とか行っていないと言っても、まだ『小さい』んだから、あまり不規則な生活はさせない方がいいと思うのよね~っ。」
 叔母さんの言うことはたしかに一理ある。しかし、俺はあえて…それ以上は何も言わないようにしている。なぜなら、あの人(王女)は俺ら人間とは、若干と言うか……かなりと言うか、まぁ違うところがあるからな。
 そう思っている俺が口を閉ざしたためか、この話はここで終わり。
 そのあと、残りの飯を丸飲みするように口の中へ放り込むと、そそくさと席を立ち、出かける準備を始めた。 
「それじゃ叔母さん、行ってくるよ!」
 久しぶりの通学。今まで通り玄関口を開けると、これまた今まで通り…よく知る人物が、表で待ち構えていた。
「おはよう倫人! 今日もいい天気だね! でも、相変わらずのんびりしすぎ。もう少し急がないと、遅刻するよ!?」
 まるで少年マンガか、恋愛シミュレーションゲームかと思うような…テンプレートな言葉を掛けてくるのは、これまたテンプレートな幼馴染と言っても過言ではない、一人の少女。
「あ~っ…『麻奈美(まなみ)』。お前こそ、毎回言う事が変わらねぇーなーっ!」
「言われたくなかったら、もう少し早く起きなさい♪」
 そう言って、ニヤリと白い歯を見せる麻奈美。意外にも、この笑顔にコロリといった野郎の数は、俺の知っているだけで両手の指だけでは足りない程いるのだ。
 そんな俺自身も、彼女のことは嫌いなタイプではない。いや本音を言えば、少し好意を持っている。
 中学時代は陸上をやっていたと聞いているが、たしかに健康的で均整の取れた身体つき。明るい笑顔にふんわりそよぐポニーテール。そして、遠すぎも無く…近すぎでもない、ちょうど良い距離感で話しかけてくる言葉遣い。
 そんな子と、もし…つき合う事ができたなら? 
 そう考えるのは、健全な男子高校生であれば、決しておかしくないことである。うん!

ネザーワールドクィーン 一話02

 そんな悶々としたことを考えながら歩き、いつの間にか校門前にたどり着くと、今度は背後から声を掛けてくる人物が。
「おっは~っ…麻奈美~♪」
 この子は、たしか……麻奈美の同級生で、後藤……絵里子って言ったっけ?
「さん!を付けなさい。絵里子…さん!ってね。そういうアンタは、フロン……リントだっけ?」
 お前も呼び捨てしてんじゃねぇーか!? てか、フロンって何だ? ガスか…俺は!?
「古鵡(ふるむ)倫人だ!」
「そうそう~古鵡倫人だったね。うん、おっは~っ…倫人♪」
 長めの髪を振り乱しながら、大袈裟に腕を上げ挨拶をし直す彼女。
 まぁ、見た目は割と可愛い……。いや、割とどころか、おそらく校内でも1~2を争う美少女といっても過言では無いだろう。噂では去年一年間だけでも、二桁の男子から告白を受けたと聞いている。

ネザーワールドクィーン 一話03

 だが当の彼女は、大人びた見た目と違って男女の恋愛にはあまり興味を持っていないらしい。麻奈美が聞いたところによると、そういったのは高確率で面倒くさい事案に発展するため、あえて避けているとのことだ。
 実際に彼女を見ていると、その日…その日のノリだけで生きているようなところも見受けられる。そういった性格には、男女関係というのはたしかに面倒くさいのかも知れないな。
「ところで、今日クラス替えじゃん? また、麻奈美と同じクラスだといいね~♪ あと、ついでに…倫人も!」
 ああ…そうかい。俺は『ついで』かい!? まぁ、いいけどな。
 そう、新学年を迎える今日は、恒例のクラス替えの日でもある。
 去年…俺と麻奈美は別のクラスだったが、今度は出来れば同じクラスがいい。俺はそう心の中で、手を合わせる。
 そんな俺の願いを神様は聞いてくださったのか? 
「あっ!? 私と倫人……、同じクラスだね!! あら、絵里子は別かぁー。」
「な、なんですとーぉ!? アタシと麻奈美は離れ離れですとーぉ!? 神よ、なんという仕打ちを与える……!」
 人間のささいな幸せは、神様の気まぐれで大きく変わる。今回の気まぐれは、俺のほうに傾いたらしい。この片宗(かたむね)市には全国的に有名な片宗大社があるが、今度の休みにでも、お礼がてら参拝に行っておくか!
 そんな片宗市。今言った割と有名な大社がある他は、まったく平凡な街である。むしろ田畑が多く、また海にも面しているため漁業も盛んで、少し離れた丘福市とはまるっきり対照的なイメージだな。
 この高校……私立片宗高校も偏差値は平均的で、部活動なども突出したところがあるわけでもないし、かと言ってレベルが低すぎるわけでも無い。
 全てにおいて狙ったように平均的で、むしろそれだけ平均的だと…逆に珍しくないか?と言いたくなるくらいである。
 そんな学校だからか? 校内においても、皆の話題は平凡である。
 クラスが変わったばかりであっても、馴染みの者同士が集まり、自分たちの生活にあまり支障の無いような、どうでもいい話題で盛り上がるのが常である。
 ちなみに今日の話題は、最近片宗市の周りの町で起き始めているという、『不可解事件』というものだ。
 なんでも、人が神隠しにあったように忽然といなくなるとか……。要は行方不明事件が二~三件起きているらしい。
 たしかに不可解と言えば…不可解だが、ぶっちゃけ言って……そういった事故や事件は全国でも結構あるだろう。俺個人としては、そこまで気にするほどでもないんだが。
「でも、何の前触れもなくいなくなるって、やっぱり不思議っていうか、怪しいよね?」
 傍で一緒に耳を傾けていた麻奈美は、そう言って眉をひそめていた。

 
「移動クレープ屋…マーチ?」
 授業が全て終わった放課後。俺と麻奈美が帰路につこうとすると、絵里子がそんな話を持ち掛けてきた。
「うん。ふみっちが言うには、西九秋市で人気ある移動クレープ屋さんで、今週一時から四時の間、西郷公園でも営業しているんだって!」
「ふみっち……?」
「あ~っ!? 今日からアタシと同じクラスになった子! で、ふみっちは他の子と先に公園に向かったけど、麻奈美……どうせ帰り道じゃん! 今から一緒に行こぉ~よっ!?」
 絵里子はそう言って麻奈美の手を取ると、目をキラキラと輝かせて問い掛けた。
 だけど、当の麻奈美は…というと、奥歯に物が挟まったように苦々しい顔をしている。
「ごめん! 今日は帰り道とは反対方向にある……和菓子屋さん『さくや』に寄って行かなきゃいけないんだ。」
「和菓子…? 麻奈美、和菓子……好きだっけ?」
「うん、好きだよ! でも、今日のは私が食べる物じゃなくて、親からお土産用で買ってくるように頼まれているの。」
「そっか……残念! じゃあ~っ、悪いけどアタシ。すぐひとっ走りして、ふみっちたちの後を追うよ。麻奈美。明日か…明後日、一緒に行こ♪」
 恵里子はそう言うと陸上部顔負けの全速力で、校門を駆け抜けていった。ホント、元気なヤツだ。
 そんな絵里子を見送った後、俺たちも『さくや』を目指して歩き始めた。
「えっ!? 倫人もさくやに寄っていくの? 私一人でも大丈夫だよ?」
「どうせ、お前とはお隣さん同士だし、すぐに帰っても暇だからな。とりあえず付き合うぜ。それに……」
「それに……?」
「うちには、その手の物が大好きな人もいることだしな。ついでに買って帰るわ。」
「和菓子が大好きな人…? 倫人のいる下宿屋さんに? ああ~~~っ、『王女様』!?」
「ああ。 あの人、以前…お前が持って行ったイチゴ大福。大絶賛していたぞ!!」
「『キラリン大福』でしょ! あれも…さくやの人気商品だよ♪ そっか、王女様……お菓子大好きだもんね!」
「ああ。特に和菓子は、こっちへ来て初めて食べたと言っていたからな。偉いお気に入りだ!」
 そう話しながら歩いていると、お目当ての和菓子屋さくやへたどり着いた。
「これが、その……キラリン大福ってヤツか?」
 キラリン大福っていうのは、一言で言えば大福の中に一粒のイチゴが丸ごと入っているイチゴ大福である。
 ただ、他のイチゴ大福と違うところは、餅生地の中にもイチゴ果汁が混ざっており、綺麗なピンク色であること。
 そして材料であるイチゴは、片宗市の名産ともいうべき、全国的に人気の『あまあま王』を使っているということ。
 これによって他所のイチゴ大福よりも、桁違いに美味しいと言われているらしい。 
 ちなみにネーミングの『キラリン』というのは、ここ片宗市(兼…片宗大社)の『ゆるキャラ』……『キラリン姫』から取っているらしい! てか、なんだ……そのキラリン姫っていうのは?
 俺はキラリン大福6個入り1箱を購入。麻奈美は、今の季節にピッタリの桜餅を、土産用に包んでもらっていた。
 ほぉ! それも結構旨そうだな。王女が喜びそうだぜ。
 買い物を終え、帰りは再び引き返す形で高校の脇を通る。そのまま家に向かって歩き続ければ、例の西郷公園の傍を通り過ぎるわけだが。 
 フトッ、公園の方を見ると、明るい山吹色に音符のマークが描き込まれた一台のワゴン車が目に入った。車体や傍に立て掛けてある幟には、移動クレープ屋さんマーチと書かれている。
 だが、その光景に何か違和感を感じた俺は、スマホを取り出し時刻を確認してみた。
 もう、とっくに5時を過ぎている。
「あれ? 絵里子はたしか……4時までって言っていなかったっけ?」
 俺がそう呟くように言うと、
「ホントだ。予想以上に好評で、営業時間を延期したのかな?」
 それを見た麻奈美も、同様に不思議そうな顔でそう返した。
 だが、その割にはお客さんらしき人影は目に入らない。まるで無人のように見える。
 しいて言うならば、少しだけ離れた場所に、もう一台トラックが停めてあり、二~三人が男女が、肌色の段ボール箱のような物を積み込んでいた。
 それにしても、その段ボール箱。なんとも不思議な模様が描かれている。
 大きさ的には、週刊少年雑誌を10冊ほど積み重ねた位のサイズで、全体的に肌色がベースなのだが、一つの面には『人間の顔』の……、もっと細かく言うと『女性の顔』のような模様になっていた。
 それがあまりにリアル過ぎて、正直……俺の目には、悪趣味にしか見えない。
 隣にいる麻奈美も同じように思ったんだろうな。思いっきり疎ましい表情をしている。
 ま、今の時代……何が流行るか、判らないしな。あんなデザインでも、需要があるところでは、あるんだろう。
 俺は、それ以上考えないようにした。


| ネザーワールドクィーン | 16:40 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ネザーワールドクィーン 「第2章」



「ただいま。叔母さん、帰りにイチゴ大福を買って来た。」
 玄関に入って早々、俺は台所に向かってそう声を掛けた。
 すると、台所から恵比寿様が……いや、叔母さんが顔を出し、こちらに歩み寄ってくる。
「お帰り、倫人ちゃん! なに? お菓子買って来たの? それならお茶を用意しておくから、一旦着替えてきなさい。」
 そう言ってイチゴ大福を受け取り、台所へ戻って行ったが、再び…ひょこっと顔を出し、
「それと……王女ちゃん。部屋にいるみたいだから、声を掛けておいで~♪」
 そう言うと、ニコリと微笑んだ。
 俺は部屋に戻って、長袖Tシャツと綿パン、カーディガンと簡単な私服に着替えると、二つ向う隣の部屋の襖の前に立った。
「王女、土産買って来たけど…一緒に喰いませんか?」
 そう声を掛け、返事を待つ。
 しかし、一向に返事が無いので再び声を掛けるが、やはり返事が無い。
「王女、入りますよ!?」
 俺はそう言って、襖を開いた。
 この下宿屋は、借り部屋全てが八畳の和室で、この部屋も例外ではない。
 なのに、どうやって押し込んだんだろうね? 中には豪華なダブルベットに、革張りのL コーナーソファセット。
 俺の中で、「こんな御大層な物が必要なら、下宿屋じゃなくて高級ホテルとかで寝泊まりしろよ!!」とツッコミが入る。
 そのソファセットのテーブルの上に、何やら雑誌のような物を広げて、食い入るように眺めている一人の少女の姿が目に入った。
 どれだけ集中して眺めているのか? 俺が部屋に入ってきたことすら気づいていない?
「いや、当然…気づいているぞ。」
 まるで俺の心を読み取ったかのようなタイミングで、返答してくる少女。だがその声は、まだ声変わりしていないかのように幼い。
「だったら、最初から返事してくださいよ……。」
 やれやれ…といった口調で溜息をつく俺に、彼女は更にこう付け加える。
「それよりも倫人。やはりこの国は凄いな! 古今東西……色々な国のスイーツが揃っている。なのに……なぜ、此方(こなた)はもっと早くから、この国を訪れなかったのだろう?」
 どうやら眺めている雑誌には、ケーキやらプリンやら、スイーツ特集が大きく取り上げられているようだ。
 それを見て、まるで自問自答するように、大きく頷いたり首を振ったりしている。
 ちなみに『此方』というのは、私とか俺とかと同じ『一人称』だ。二人称で『其方(そなた)』っていうのは、よく聞くだろう? それと同じ時代の言葉だ。
「で、何の用だ?」
 そう言って、邪魔をするなと言わんばかりに振り向いた彼女の顔は、声同様に幼い。

ネザーワールドクィーン 一話04

「お土産買って来たんで、下で一緒に喰いませんか?」
「お土産……?」
「王女が以前絶賛していた、キラリン大福ってヤツですよ。」
 この言葉には、アドレナリンでも抽出させる効力が含まれているのかね? 
 彼女は、いきなり目をキラキラと星のように輝かせると、まるで昔あったゲーム…『黒ひ●危機一髪』のように、一気に飛び跳ねる。

 ここで、この少女……彼女(王女)のことを簡潔に説明しておこうか。
 名は『ヘル』。
 うん? ヘルって、地獄という意味じゃ…? そう、その解釈で間違っていない。
 改めて言おう。彼女の名はヘル。本当にそれだけしかない。
 しかし、この『人間界』では、それだけだと怪しまれたり、色々都合が悪かったりするので、ヘル・レジーナというフルネームにしているらしい。
 祖国は『ニブルヘイム』。その場所は、俺の口からは説明しずらいな。まぁ、暗くて寒くて氷だらけの国だ。
 彼女は、そのニブルヘイム(国)を統括支配する主だ。
 うん、本来…そういう地位のことを、『王』。女性なら『女王』と呼ぶよな。なのに、なぜ彼女のことを『王女』と呼んでいるか?
 俺も詳しくは知らないのだが、国で彼女に仕えている『執事』から、そう呼んでくれと聞かされたんだ。
 なんでも理由は、「女王だと、老けて見られる。それは気に入らん! だから王女と呼べ!」という、本人からの命令らしい。
 それが本当なら、まったくもって…しょうもない理由だ。
 それともう一つ。今現在だと更に当てはまるのだが、何も知らない第三者の目から見たら、その姿は女王よりも王女の方が、理解してもらいやすいらしい。
 まぁ、そうだろうな。今のその姿と言えば、細い手足に丸みの少ない直線的な体つき。そう10歳ちょっと、小学高学年といったくらいだろう。
 たしかに、女王と言われてもピンとこない。王女の方が、しっくりくるな。
 やや長めの髪は、青白磁色というべきか? 言うなれば、白に近い……薄く淡い青緑色。後ろ髪は一括りにしているが、長い前髪は左目から頬まで完全に隠している。
 本日の恰好は今風の少女らしい、ちょっとロック風のシャツやミニスカート姿。ただ、そのミニスカートから伸びる細い脚は、左足だけニーハイソックスを履き、前髪同様にあえて左肌の露出を避けている。
 そんな幼い姿ではあるが、俺は知っている。この人は、本当はもっと大人で美しい女神のような姿であったことを! ただし……その『女神』の上に、『死の』という単語が付くのだが。
 そして、この人がこんなこんな幼い姿になってしまった原因は、実は俺にある!
 俺の自己満足で軽率な行動のせいで、彼女はこんな姿になってしまったのだ。
 だが王女(彼女)は、そのことを責めたり、咎めたりはしない。むしろ、「自分が望んで行った結果だから、気にする必要はない。」と言ってくれる。
 しかし、俺の心の中には、今でもその罪悪感が残っているのだ。

「キラリン大福だと!? それを早く言わないかーっ! ほら…倫人、早く下へ降りるぞ♪」
 嬉しそうに俺の背を押し、階段を駆け下りようとする王女。
 その嬉しそうな姿は、誰の目から見ても、無邪気なJSにしか見えないだろうな。
 
「おおっ!! これだ!キラリン大福~っ♪ 初めてこれを麻奈美から食べさせてもらった時は、心の底から感動したぞぉーっ!!」
 嬉しそうに大福を手に取ると、大口を開けてパクリ!と頬張る王女。モグモグと噛みしめるその顔は、どれだけの幸福感も噛みしめているのだろう。
 その可愛らしさに、思わず俺の頬も緩むってもんだ。
 おっと、一つ言っておくぞ! 俺は決して「ロリ●ン」ではない! 普通に同年代。もしくは、それ以上の年齢の女性が好みだ。早まって通報なんかするんじゃないぞ!
「ところで、その麻奈美は今日は来ていないのか?」
 早くも一つの大福を平らげ、二つ目を口にする王女。
「今日…麻奈美は学習塾らしくて、帰宅早々出かけて行きましたよ。」
「そうか。麻奈美は色々美味しいスイーツを教えてくれるからな! 此方にとってこの国においては、最重要人物の一人と言って過言では無い。」
 アンタにとって重要人物の基準とは、スイーツを紹介するか…どうかで決まるのか!?
 ていうか、もう三つ目を口に入れているのか!? おいおい。嬉しいのはわかるが、あまり慌てて食べるなよ。一応…餅なんだから、喉に詰まらせるかもしんねぇーからな。
 
「ねぇ……、倫人ちゃんって、西郷公園の傍を通って学校へ通っているわよね?」
 その声と共に叔母さんが、自分の分のお茶を手にして居間へ入って来た。そして、席に着く前にテレビのスイッチを入れる。
「その西郷公園で、なんかあったみたいよ?」
「西郷公園……?」
 俺は意味がよく分からないまま生返事をし、テレビ画面に目を向けてみた。
 放送しているのはニュース番組で、丁度西郷公園の事を取り上げている。どうやら今日、西郷公園で失踪らしき事件が起こったようだ?
 行方が掴めないのは、現場に残された所持品などで、判っているだけで約5名。
 その詳細を見ていて、自分の顔が青ざめていくのがハッキリ判る。
 なぜなら、その行方不明者の中に……後藤絵里子の名があったからだ。
 それだけではない。他に『中川文恵』という名があるが、もしかして……この子は、絵里子が言っていた『ふみっち』ではないだろうか?
 そして更に、俺の背に冷たい氷の塊を押し付けたような、鋭い痛みを伴う衝撃が走る。
 行方不明者の一人で、移動クレープショップの販売員である、『山口亜希奈(あきな)』という名の若い女性。その彼女の写真が公開されているが、その顔は……
「あ、あの……段ボール箱の、模様の顔……!?」

ネザーワールドクィーン 一話05

 偶然なのか? それとも関係があるのか? 俺は、ただ……ただ、茫然と画面から目が離せなかった。

 その時……、けたたましい電子音が辺りに鳴り響く。それは、俺のポケットに入っているスマホの着信音だ。
 慌てて画面に映る差出人の名を確認する。
 ま…麻奈美!?
 なぜ、今頃……? アイツは塾へ行ってるんじゃなかったのか!? 
 あんな事件の放送を見た後だからか? 微かな不安が過る。 
「もしもし……麻奈美か。今、塾じゃないのか?」
「り、倫人!? た…助けて!!」
「助けて……!? どうした!? なにがあった!?」
「授業中、絵里子が塾へ駈け込んで来たの。変な奴らに…ふみっちが潰されたって。自分も潰されそうになったから、だから…逃げて来たんだって!」
 潰される? 何を言っている!?
「そうしたら、変な人たちが入ってきて……。友達も…先生も、みんな…連れ出されて……、そして潰されちゃった……。だから、私たちは……すぐに逃げて……」
「どこだ? 今、どこにいるんだ?」
「トイレ。隣のコンビニのトイレに…。でも……奴らはまだ探し回っていて……」
「奴らって、どんな奴らなんだ? 何人いるんだ?」
 俺がそう聞いた瞬間、電話から別の女性の声が聞こえた。
「麻奈美ーっ! コンビニの人も……、お客もみんな…連れ出された!!」
 絵里子だ。絵里子の叫び声が聞こえているんだ!
「助けて……倫人!」
「麻奈美、逃げろ! 今すぐ逃げろ!!」
 俺の指示が聞こえているのか、いないのか? 電話は、それっきり通じなくなっている。
 こうしちゃいられない! すぐに助けに行かないと……!
「叔母さん! 警察に連絡して、すぐに麻奈美の塾に行くように言って! 俺、今すぐ……そこへ向かうから!」
「警察って、何があったの……!?」
「いいから、すぐに連絡して!!」
 事情を説明している暇はない! 俺は何もかも忘れて、下宿屋を飛び出して行った!


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ネザーワールドクィーン 「第3章」

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ネザーワールドクィーン 「第4章」

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ネザーワールドクィーン 「第5章」



 両拳で輝いている黒紫色の光を、ゆっくりと全身に移動させてみる。
 少しでも気を緩めると、集まっている光が一瞬で飛び散ってしまうような気がする。落ち着いて、尚且つ気持ちを途切れさせず光をコントロールする。
 全身に光が行き渡ると、俺の身体を拘束していた…カイーブの魔法で作れた紐が、プチッ!プチッ!と千切れ始めていった。
 それってつまり、カイーブの魔力よりも、今の俺の魔力の方が上だってことか?
 全身を縛っていた紐が解かれ、身体が自由になったことを確認すると、俺は静かにカイーブの死体に近寄る。
 なぜならヤツの手には、全ての状態変化を元通りに戻せる『モトモトパウダー』があるからだ。
 プレス機で箱状にされた者たちはもちろん、上手くいけばペチャンコになった王女も、ある程度…元に戻せるかもしれない!
 幸い? アイツ等は王女を喰うことに集中し、俺の方まで気が回っていない。
 カイーブの死体の手からモトモトパウダーを手に入れた俺は、今度はある…一つの術を試してみる。
「冥道……開封…」
 先程、王女が使おうとした術の一種だ。
 どういう術かと言うと、一時的にこの世とあの世(冥界)を繋げる術らしい。
 俺の中に王女の魔力があるならば、当然…王女の術も使えておかしくない。もちろん、王女ほど大きな効力を発揮しなくていい。
 俺の腕一本が通るだけの穴が、繋がってくれればいいのだ。
 すると、空間に小さな亀裂が浮かび上がり、それは腕一本が通るだけの黒い穴へと変わった。
 俺はその中に手を突っ込み、手探りである物を握り締めた!
 ゆっくりと腕を引き抜くと、その手に握られているのは…一本の長い剣!!
「よしっ! 成功だ!!」
「てめぇ、何をしているんだべ!?」
 しまった! 初めての術の成功で、嬉しさのあまりつい声が出てしまった。
 その俺の声に反応したのは、髭モジャのドワーフ……アニード。
 ヤツは俺の剣に気が付くと、
「この野郎~っ! どっからそんな物、手に入れたぁ!?」
 と、斧を振りかざして襲い掛かってきやがった。
 こうなれば当然ここは、剣と戦斧による白兵戦の場面だろう!
 だが、一つ言っておく。俺は剣を使った事は殆ど無い。いや、過去一回だけあったが、それ以外はまったく無いと言っても過言では無い。
 それは真剣は……という事ではなく、竹刀だろうが木刀だろうが、ビニール製のおもちゃの剣だろうが。
 とにかく棒状の物を握ってチャンバラをするということ自体が、俺の人生の中では殆ど無かったのだ。
 したがって、アニードの戦斧による技量がどれくらいのものか判らないが、おそらくマトモにやり合ったら勝てるはずは無いと言いきれよう!
 なのに、なぜ…俺はわざわざ冥界から、剣を引き抜いたのか?
 それは、この剣自体に秘密がある!
 俺は襲い掛かってくるアニードを待ち構えながら、ゆっくりと剣を『鞘から抜いた』。
 その瞬間! キンッ!!…という金属音と共に、目の前で剣と戦斧による火花が飛び散り始める。
 キンッ! キンッ! キンッ!
 それは、あたかも達人同士による対決のようだ!
 だが、俺が今…望んでいるのは、互角の勝負では無い。目の前の敵を倒し、王女を……、麻奈美を……。そして、他の少女たちを助け出す事だ!!
――剣よ、目の前の敵を倒してくれ!―
 そう強く念じる。
 すると、俺の剣はアニードの斧を強く弾き返し、その隙を狙って一気にヤツの胸元を貫いた!!
「つ…強い……。この小僧……、とんでもねぇ……強さ…だべ」
 それがアニードの最後の言葉だった。ヤツはそう言って俺の前に崩れ落ちたんだ。
 でも、なぜ剣のど素人の俺が、互角以上の戦いをし、勝つことができたのか?
 先程も言ったが、それは剣に秘密がある。
 俺が冥界から手にした剣。
 それは、『魔剣…ティルフィング!』。

ネザーワールドクィーン 一話13

 神話の世界で小人族が作ったと言われる…この剣は、『勝利をもたらす剣』。
 使い手が強く念じれば念じるほど、剣は生き物のようにその念に応え、相手を倒す!
 たとえ、その使い手が俺のようなど素人でも……だ! でなければ、俺なんかが戦斧の名手とも言われるドワーフ族に勝てるはずがねぇ。
 そう。これが俺の唯一の秘策だ。今は、この剣の力に賭けるしかねぇんだ!
「…と言うわけで、ババア! 今度はお前の番だぁ!!」
 俺は剣を振り上げ、ハッグのババアに突進して行った。
「させはせんぞ! マーレの夢!!」
 ハッグのババアは掌を俺に向け、そう叫ぶ!
 それは、一度は俺の意識を奪いかけたハッグの術。だが、さっきと違い、今の俺は魔力で覆われている。それも、王女から受け継いだ魔力だ。
 だから、そんな術は俺には通用しない!(みたいだ!)
 一気に間合いを詰め、俺は剣を振り下ろした。
「ひぃ……っ!!」
 ハッグは短い悲鳴を上げながら、ババアとは思えないほどの身軽さで、数メートルほど後ろへと飛び避けた。
 しかも、剣の切っ先がヤツのローブを切り裂いていたのを知ると、その顔は一気に青ざめていく。
 くそったれ! 踏み込みが足りなかったか? しかし、王女が焼かれているバーベキューコンロから、ヤツを引き離す事はできた。それはそれで良しとするか。
 俺は剣を身構えたまま、王女の身体をコンロから引きずり降ろした。かなり喰いつくされていて下半身は既に無く、上半身と頭部だけが残っている状態。
 そんな状態だが、まだ息はしており…気を失っているだけのようだ。
 なるほど。本当に不死身なんじゃないかと、思わされる。
 俺はカイーブから取り上げたモトモトパウダーを、その身に振り掛けてやった。頼む……これでなんとか復活してくれ!
 しかし、残念ながらそれをノンビリ見守っている暇は無さそうだ。
 選りにも選って、あのババア。化け物のカードを手にしているカエデを、けしかけていやがる。
 カエデも無言で頷き、王女を倒した…あのタラスクとかいう化け物を、俺に差し向けやがった。
――冗談じゃねぇーぜ!―
 長い首や尾を振り回し、挙句に口からは灼熱の息を吐き掛ける。『生身の人間』の俺が、マトモに喰らったらそこで全てが終わる。
 なんとか隙を見て斬りつけてみるが、固い甲羅はもちろん、それ以外の肢などを狙っても、僅かなダメージを与えるのが精一杯だ。
 正直、いくら魔剣ティルフィングを手にしているとは言え、こんな化け物……まったく勝てる気がしねぇーっ!!
 それにしても、これほど狂暴な化け物なのに、絶対にカエデが被害に遭いそうな攻撃は繰り出さない。それは、カエデを主人と認めているからなのか?
 でも、なぜ黙ってカエデなんかに従っているのだ? どう見ても、カエデの力ごときで押さえ付けらえる化け物じゃないはずだが…。
 たしか麻奈美の時は、抜き取った魂をカードに移し、その抜け殻である身体は人形と化したよな?
 俺自身…経験仕掛けたことがあるが、魂その物自体を失うと、その生物の存在その物も消滅してしまうんだった。
 となると……そうか! あのカードには、まだ化け物の魂が残っているんだ! カードが傷つき、万が一それに宿っている魂まで傷ついて失うことがあれば、いくらあの化け物でも存在自体が消滅する。
 それをあの化け物は、本能的にわかっているんだ。だから、カードを握っているカエデには攻撃が出来ない。
 ……となれば!
 俺はカエデに向かって、一直線に駆け出した。アイツから、あのカードを奪い取れば…。そうすれば、この化け物は襲ってこれない!
 そんな鬼のような形相で向ってくる俺に恐怖を感じたのか? 今まで淡々と無表情を貫いていたカエデにも、焦りの色が見えた。
 大きなリュックを背負った背中を見せて、一目散に逃げ始める。
「こら! 待ちやがれッ!!」
 ティルフィングを振り回しながら、その後を追い回す俺。
 ここで一気に追い抜いて、アイツの前に立ち塞がればカッコイイんだろうが、やっぱ俺だな。ヒーローになる資質に、何かが足りないらしい。
 息を切らし始めていた俺は、石だか空き缶だか、何だかよく判らない物に躓き、大きく転がり込んでしまった。
 だが、災い転じて福となる。
 転がった拍子に、握っていた剣先が、カエデのリュックをザックリと切り裂いたみたいだ!?
 切り口から、ボット!ボット!…と、こぼれ落ちる人形とカード。
「あ! それは……!?」
 振り向いた彼女が咄嗟に叫んだその理由は、こぼれ落ちた多くの人形の中に、先ほど手に入れたばかりの麻奈美の人形があったからだ!!
 まさしく、転じて福だ!! 俺は他の人形とかには目もくれず、無我夢中で麻奈美の人形とカードを握り締めた。
 やったぜ! やっと麻奈美を取り返すことができた!
 あとは、化け物のカードを奪い取るだけだが…。
 俺の目の前では、カエデが慌てて他の人形を拾い集めている。しかも、あの化け物のカードを脇に置いた状態で……だ!
「もらったぜ!!」
 間の抜けたカエルのように飛び跳ね、カードに手を伸ばす俺。
 カエデもそれに気づき、阻止するべく手を伸ばす。
 一枚のカードをめぐり、俺とカエデは奪ったり…奪われたり、激しいもみ合いとなる。
 だが、そのもみ合いの拍子で俺たちの手から離れたカードは、まるでそよ風の悪戯にあった如く…ヒラヒラと宙を舞い、事もあろうに化け物タラスクの目の前にポトリッ!と落ちやがった。そして……、
パクッ!!
 なんと! タラスクは長く大きな舌を器用に使い、目の前のカードを拾い上げると、そのまま喉の奥に飲み込んだのだ!
 その瞬間タラスクの全身が、照明弾のように眩く輝き始める。
「おい、カエデ……! あの化け物に、何が起こっているんだ!?」
「魂が……。苦労して抜き取った魂が……。再び肉体に戻り、融合しているの。」
 そう言うカエデは、それまでの無表情が打って変わって目が点となり、手足もガタガタと震えている。一応…感情はあったんだな?
「で、魂と肉体が融合すると…どうなるんだ!?」
「元の狂暴な怪物に戻る。そうなったら、私たちの手には負えない。」
 手に負えないって。じゃあ…お前、どうやって人形に変化させたんだ!?
「ご主人や、他の魔術師の協力があったから。一人じゃ…とても無理。」
 オイ…オイ! じゃあ…何か? 今までも狂暴な暴れん坊だったのに、更に手が付けられなくなるっていうのか!?
 いったい…どうしたらいいんだ!? 誰か攻略ウィキペディアをググってくれねぇーか!?
 そうしているうちに、タラスクの身体から発していた眩い光が、徐々に…徐々に収まってきた。だが、それは新たな終焉の始まり。
 先程まで死んだ魚のようだった眼も、今ではギラギラと睨みを利かせている。
 口から吐き出す灼熱の息も、当社比1.5倍アップといった感じだぜ。
「こうなりゃ…仕方ねぇ! 俺が囮になるから、カエデ…。お前はもう一度、ヤツを人形に変化させるんだ!」
 そうだ。今は敵…味方言っている場合じゃねぇ。まずここは一旦協力して、あの化け物を封じ込めることが、お互いの為だ!
 俺はそう思ってカエデに声を掛けたのだが、
「・・・・・・」
 一向に返答がねぇ!?
「おい、聞いてるんか!?」
 そう言って振り向いた先には、もはやカエデの姿は無かった……。
 辺りを見回してみると、ハッグのババアと二人で遥か彼方先の交差点の角を、全速力で折れていく姿が見える。
 最悪だぜ…あの二人! 自分たちの手に負えないと見るや、放置プレイで逃げ出しやがった!!?
 当のタラスクは完全な無敵モード状態で、辺り構わず暴れまくり、街はどんどん崩壊していく。
 こうなりゃ、警察でも自衛隊でも…消防団でも何でもいい。早く応援に来てくれ!と思っても、よくよく考えれば、この辺り一帯にはハッグのババアが眠り粉とやらをバラ撒き散らしていやがったんだ。たどり着く前に、眠り惚けてしまう。
 それって…つまり、孤立無援ってことか!?
「これは今日……間違いなく死ぬな。もし死んだら、これで二……いや、三度目になるのか?」
 思わず、そんな言葉が出て来たぜ。
「でも、俺がやるっきゃ…ねぇーな!」 
 覚悟を決めた俺は、魔剣ティルフィングを強く握りしめた。なんとかこの化け物を倒せるように! そう強く念じながら。
 さすがは魔剣ティルフィング。強く念じれば念じるほど、こんな戦闘素人の俺でも、レベル80並みの達人に変えてくれる!
 ヤツの吐く灼熱や毒の息を切り裂き、長い首や尾の攻撃をかわす。そして、比較的防御の弱そうな腹部や首の付け根などを狙って斬りつけていく。
 それはまるで、アニメやゲームの中の勇者にでもなった気分だ。
 それでも、俺が圧倒的に不利なのは変わりはねぇ。いや、今まで以上に危険な状況だ。
 なにしろヤツは、自分の魂との融合を果たし、本来の力を完全に取り戻している。
 それに対し、体力限界に達している俺の身体は、もはや…ティルフィングに引き摺られて動いているようなものだ。
 いや、戦いの疲れによるものだけではねぇ。この異常な疲労は、その『魔剣』のせいでもあるんだろうな。
 そんな事を考えていたせいか? 狙ったように足をもつれさせた俺は、ヤツの毒の息をマトモに喰らってしまった!
「くそったれ!!」
 ヤツの毒は神経性の毒らしい。身体が痺れ自由が効かなくなってきやがった。
 そこへ痛恨の一撃!! 
 ヤツの払った尾を喰らい、俺の身体は小石のように吹き飛び、路上に叩きつけられた。
 仰向けの背中が、焼ける様に熱く感じる。おそらく大量に出血しているんだろうな……。
 今更だが、ティルフィングが何故…『魔剣』と呼ばれているか、知っているか?
 実はあの剣には『呪い』が掛けられていて、剣の使い手には災いが降り掛かるんだそうだ。その災いは、剣の力を引き出そうと念じれば念じるほど…比例して高まり、最終的には『使い手の命を奪う』。
 あのときも、そうだった。そのせいで俺は一度、魂を失いかけたんだ。
 だから、この剣を使って戦う事を決意した時点で、こうなることを俺は知っていたんだよ。
 ドスンッ!! ドスンッ!!と、地鳴りのように大地を伝わって、奴が歩き回っているのがよくわかる。
 このままヤツに踏み潰されて、俺は終わるんだろう。
 散々でかい口を叩いておいて、結局誰一人…助けることができなかった。情けねぇーな。

 だが、いつまで経っても、一向にヤツが近づいて来る気配が無い。
 かすれそうな意識を必死に保ち、辺りを見回してみると、巨大な物体になにやら無数の『何か…』が、纏わりついているのが見えた。
 それは、動物に群がり食い殺そうとしている…無数の蟻の大群のようにも見える。
――なんだ…アレは? あの化け物に群がっているのか……?―
 そう思って見ていると、頭上から……
「よくここまで耐えきってくれたな。褒めてやるぞ!」
 と、幼く……それでいて優しい声が、耳に入って来た。
 声のした方を見上げると、そこには声同様に幼く、そして優しい笑顔が目に映る。

ネザーワールドクィーン 一話14a

「お……王女…!?」
「うむ。後は全て此方に任せるが良い。お前はゆっくり休んでいいぞ。」
 その言葉を聞き遂げると同時に、激しい疲労感と眠気が襲ってきた。
 俺はそのまま静かに、深い眠りについたようだ。


| ネザーワールドクィーン | 16:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ネザーワールドクィーン 「終章」


 薄っすらと開いた俺の目に、一番最初に映ったものは……「白」。
 白い……天井? そして、右も左も白い壁……?
 どこなんだ…ここは?
「ここは病院だよ、倫人ちゃん。それにしても良かったぁ~! やっと目が覚めてくれたわね? 二日間も眠り続けていたから、心配しちゃったわよ~ぉ!」
 そう言って話しかけてくる聞きなれた声。
「叔母さん……? 病院って、俺は…どうしたんだ?」
「倫人ちゃんが飛び出して行った…あの日。あの塾の近辺では原因不明の災害があったらしく、大勢の被災者が出たらしいの。」
「原因不明の……災害…?」
「ええ。近辺の建物は崩壊……。火災もあったらしいわ。でも、地震が計測されたわけでも無いし、隕石が落ちてきたわけでも無さそう。 一説では、怪しげな新興宗教団体の科学実験があったとも言われているわ。」
 な、なんだ…それは? 何が…どうなってる……!?
「でも、倒れていた人は全員、病院へ搬送されたらしいわよ。そして、倫人ちゃんもその一人ってこと!」
 俺も……?
 いや、俺は化け物と戦って……って?
 ……って、あれ!?
 俺は自身の全身を隈なく触ってみたが、化け物と戦って受けた傷が一つも無い。思いっきり叩きつけられて、出血多量と感じた背中も……痛みすら無い?
 まさか、アレは夢だったのか?
 だとしたら、麻奈美は…? 麻奈美も無事だったのか?
 俺の慌てふためきに、叔母さんは目を丸くして見つめていたが、
「大丈夫よ。麻奈美ちゃんも無事に保護されて、この病院で治療を受けているわよ!」
 と、ニッコリ微笑んだ。
「ホント倫人ちゃんって、日頃何に関しても平静を装っているくせに、麻奈美ちゃんの事になると、すぐにボロが出るんだから。ま、それだけ意識しているってことかしら~ぁ?」
 そう言う叔母さんの顔は、微笑みから意地の悪そうなドヤ顔にレベルアップ! なんか、すげぇ~っムカつくぜ。
 まぁ…でも、麻奈美は無事だったのか? なんにしても良かった!
「それじゃ、あたしは先生と今後の話をしてくるけど……。そうそう、そう言えば王女ちゃんの執事の人が来ていて、倫人ちゃんに会いたがっていたわよ。」
 執事……?
「そう。まだ病院内にいると思うから、呼んでくるわね!」
 叔母さんはそう言うと、テクテクと急ぎ足で病室から出ていった。
 そして、それと入れ替わりに入って来たのが、一人の若い男。
「こんにちわ、倫人さん。」
 歳の頃は20代前半ばくらい。細身でスラリとしたモデル体型。ニコニコした笑顔に合わせたような、細い糸目。

ネザーワールドクィーン 一話15

 ああ、コイツか……。
 たしか冥界ニブルヘイムで出会い、それ以後…王女の下宿代を払いに来たのもコイツだった。名をたしか、ガンガン…ジー?とか言っていたかな?
「いいえ、『ガングラティ』です。どこかの特撮ドラマのキャラクターではありませんので。」
 それは、白い歯がキラリと輝きそうなくらいの爽やかな笑顔。モテない男の悲しい習性だな。こういったイケメン野郎の爽やかな笑顔ほど、虫唾が走ることはないぜ!
「そう言わないでくださいよ。それよりも今回の事は、本当に深く感謝しております。」
「感謝……?」
「はい。貴方があのタラスクを引き付けていてくれたお陰で、王女はなんとか復活でき、術を発動させる時間を稼ぐことができました。」
 俺がタラスクを引き付けていた……? ってことは、やはり俺は、あの化け物と戦っていたんだな!?
「ええ、もちろんです! 本当に勇敢でしたよ。貴方があそこまで頑張ってくださったお陰で、被害が最小限に防げたと言っても過言ではありません。」

 この男……ガングラティの話はこうだった。 
 あの時、カイーブから奪い取ったモトモトパウダーを王女に振り掛けた後。ペチャンコに潰された王女は、脚を失ったままであったが、なんとか術を繰り出せる程度まで回復したようだ。
 そして復活した王女は、再び『冥道開通』の術を起動させた。
 前にも言ったが、冥道開通とは人間界(ミッドガルド)と冥界(ニブルヘイム)という二つの世界を一時的に連結させ、その場で行き来出来る様にするという……難易度の超高い大技。
 今度は、全ての注意が俺に向いていたため、発動するまでの時間を十分に稼げたらしい。
 二つの世界が繋がると、王女はもう一つの秘術……『ドラウグル兵団』を召喚させた。
 ん……? ドラウグル兵団!?
「ええ。ニブルヘイムの『死人』たちで構成された軍団ですが、並みの死人の軍団ではありません。元バイキングや傭兵などといった歴戦の兵(つわもの)たちの死人が中心となった、総勢数万人にも及ぶ…天上界にも最も恐れられた兵団なのです。」

ネザーワールドクィーン 一話14b

 そう。あの時俺が見た、化け物(タラスク)に群がる無数の何か…とは、数万人にも及ぶ死人兵の大群(ドラウグル兵団)だったのだ。
 さすがにあの化け物(タラスク)も、それほどの大群相手では成す術のなかっただろう。
 なにしろ、ただでさえ歴戦の兵たちが数万と集まっているのに、そいつ等は既に死人であるため、どれだけ叩きつけようが…踏み潰そうが、再び起き上がって攻撃をしてくるのだからな。
 そのタラスクが倒れた後は、モトモトパウダーを使って箱化された女の子たちを元に戻していったらしいが。
 でも、麻奈美もそうなのか? 麻奈美はただの変化ではなく、魂を抜き取られていたのだが……?
「麻奈美さん? ああ、あの人形とカードにされた少女ですね! ご安心ください。彼女なら、王女が直接元の姿に戻しました。」
 戻しました……って、王女はそんな術も使えるのか!?
「冥界(ニブルヘイム)で、長きにわたって霊魂を相手になさって来たお方です。魂の扱いは、誰よりもお手の物です!」
 さすが、冥界の王女(女王)だぜ。
 俺なんか息巻いて戦った割には、無様に敗北して足を引っ張っちまったからな。
「いえ。相手は、あのS級モンスター…リヴァイアサンの子です。生身の人間が、たった一人であそこまで戦ったこと自体が、奇跡に近い事ですよ。そうそう!戦いで受けた傷は、冥界の治癒魔法を施させていただきました。傷跡も痛みも残っていないはずです。それと魔剣(ティルフィング)による呪いですが……」
 それだ!
 化け物に受けた傷だけでなく、むしろ…その呪い方が致命的だったはずだが?
「あの剣の呪いの原理は…実の所まだ解明は出来ていないのですが、災いを起こす事で、使い手の魂の中にあるエネルギーのようなものを、吸収している節があるようです。」
「魂を…喰うようなものか?」
「それに近いものなんでしょうね? ですから、魂の中のエネルギーを補充してやれば、なんとか…その場は凌げるという事も解りました。」
 なんか、ガソリンを補給さえすれば良いような言い方をするなよ! そんな安っぽいものじゃねぇーだろ、魂のエネルギーっていうのは!? 
 ……って、ちょっと待て! 今の俺の魂のエネルギーって!?
「はい。王女の『魔力』です。今の貴方の魂は王女の魂の約半分ですから、当然…そのエネルギーも、王女の物を分け与えなければいけないのでしょう。」
 俺は、また…あの人の命の一部を頂いて生き延びたのか?
 麻奈美の事といい……、そして……この俺。王女には、助けてもらってばかりだぜ。
「その事ですが……。これは、あくまで僕の想像ですが、おそらく王女も同じ気持ちを抱いていると思います。」
「どういうことだ?」
「先程も言いましたが、もし…貴方がタラスクやスヴァルトアルヴヘイムの者たちを相手にしてくれなかったら、王女も無事では無かった可能性があります。」
 しかし、元々…俺の様子さえ見に来なければ、こんな事に巻き込まれることも無かった……。
「そうかも知れませんね。でも、貴方もご存知の通り、王女はああ見えても好奇心旺盛なところがあります。何のきっかけで何に巻き込まれるか? 正直、判ったものではありません。それに……」
「それに……?」
「貴方が今でも引け目を感じている……あのニブルヘイムの件も、あのとき、貴方は王女を守ろうとした結果、ああなってしまった。それは貴方の罪ではありません。ですから、王女が魂を分け与えたのも、そんな貴方への感謝の表れだと思います。」
 そう言ってくれるのはありがたいが、あの子どものような姿を見ると、素直に喜びにくいな。
「でしたら、僕からのお願いを聞いて頂けないでしょうか?」
「お願い……?」
「ハイ。王女はミッドガルド……特に、この日本の神田川県という地を大変気に入っていらっしゃるようで、しばらくは行ったり来たり、もしくは居つく可能性が充分にあります。」
「居つく……って、大丈夫なのかよ…冥界の方は!? たしか、死者の裁きとかしなきゃいけないんだろう?」
「ええ。貴方の仰る通り本当は大変困るのですが、あの方の我がままは今に始まったことではありません。その分は僕が穴埋めするしかないでしょうね。ですので……」
「うん?」
「こちら(ミッドガルド)での王女の守りを、貴方にお願いしてもよろしいでしょうか?」
 俺が、王女を守る……!?
「はい。王女は貴方の事を心から信頼していらっしゃいます。そして、それは僕自身も……。」
 それは買い被りすぎだぜ。ぶっちゃけ言って、また足を引っ張るのがオチだぜ。それを覚悟して言っているのか?
 そう思った矢先だ!
「倫人さん。今、王女の世話をしているメイドから、魔法による連絡が入って来ているのですが……。王女は、まだ脚が完全じゃないのにミッドガルドにやって来て、人間を襲っていた暗黒妖精らしき者と、トラブルに巻き込まれているようです。」
 オィ…オィ! またかよっ!?
「なんでも、人間をケーキ化する者らしく……、えっ!? 王女もケーキになりかけているですって!?」
 それを聞いた瞬間、俺は布団を蹴り上げ……ベットから飛び起きていた。そして、すぐさま服に着替え、部屋を飛び出そうとしたとき、丁度叔母さんが入って来た。
「倫人ちゃん。今…先生と話してきたんだけど、退院は明日と明後日のどっちがいい?」
「それじゃ~っ…急用が出来たので、今すぐの退院でお願いします!!」
 俺はそう言って部屋を飛び出したが、おっと一つ二つ…言い忘れた!

「出来れば麻奈美の退院と、それと……一番大事な事! キラリン大福の用意。俺と…王女の分、よろしくお願いいたします!!」


 おわり


| ネザーワールドクィーン | 16:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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ネザーワールドクィーン あとがき

 改めて、こんにちわ!

 さて…『ネザーワールドクィーン』、いかがだったでしょうか?

 『はじめに』でも記載した通り、今回の作品は『妖魔狩人 若三毛凛~』を終了させた時に、その次の作品として構想していた物の一つでした。

 pixivでも簡単な設定を公開しましたが、当時は…ファンタジー風味の『遠山の金さん』を書きたかったんですね。(笑)
 今回は普通にバトルファンタジー風にしましたが。

 でも、その設定はいずれ試しにやってみたいという気持ちは、まだ残っております。(;^_^A

 さて、内容に話を戻すと、主人公視点の展開はいかがだったでしょうか?

 まぁ、世の中……数多くの小説があり、その中で主人公視点。つまり一人称の作品というのも数多くありますが、私が影響されたのが、ライトノベルの『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズ。

 その作品では主人公『キョン』の視点で物語が展開していきますが、あの軽妙でテンポのいいノリには、ホント影響されました。
 
 妖魔狩人やターディグラダ・ガールを書きながらでも、いつか…ああいった主人公視点で書いてみたいという気持ちはあったんです。
 そう!
 ターディグラダ・ガールで、看護師の田村真由美や……ボンベーガールの結城暁が一人称で展開していたシーンがありますが、まさしく『ソレ』だったわけです。
(MTさんからは、思い込みの激しい子 みたいな解釈がありましたが……(笑))

 今作ネザーワールドクィーンの主人公『倫人』ですが、コイツはまさに…るりょうりに風の『キョン』です!(笑)

 そして、今作で個人的お気に入り冥界の女王……いや、王女(?)『ヘル』!!

 皆さん知っていますよね?
 私が『二次元ロリ』だということを! (;^_^A

 ターディグラダ・ガールではローティーンのキャラが少ないので、ヘル様にはロリキャラとして登場して頂くことにしました。

 そうです!
 ロリキャラの平面化→カニバリズムが、やっぱり私の一番の萌えポイントです!
 それがやりたくて、今作を書いたと言っても、過言ではありません!!
(いや、過言だけどねw)

 でも、ホント‥‥ヘルのデザインは、個人的にお気に入りです。

 ちなみにヘルの元ネタは有名ですよね?
 北欧神話に登場する冥界(ニブルヘイム)の女王。

 神話の中では、左半身……もしくは、下半身が壊死しているとか、腐っているとなっていますが、割とゲームキャラとして登場しているのは、普通の美女としてデザインされているようですね。
 いや、ヘルが登場するゲームはしたことが無いので詳しい事は知りませんけど。
 (ROでも登場するようですが、私がプレイを止めた後みたいだし)

 そのヘルの能力ですが、死者を復活させることができるというのは、神話でも語られている通り。
 
 ただ、主人公倫人は普通の死者ではなく、魂を失いかけて、その魂を半分分け与えてもらったという設定にしております。
 この辺の件は、いずれ機会があればきちんと作品で明かしていきたいと考えておりますが。

 また、死人の軍団というのも神話内でのヘルの能力の一つ。
 最終戦争……ラグナロクでは、ヘルはこの死人の軍団を戦場に送り込んでおります。
 しかし、『ドラウグル兵団』というのは、本当はヘルの配下では無いんですけどね。(苦笑)


 次に今回の状態変化の内容に関して。

 今回は、『箱化』と『人形化&カード化』という二つの状態変化がメインとなっております。

 まず『箱化』ですが、最初普通に平面化というのを構想していました。
 でも、平面化は最近多く描きましたし、内容的にもなんらかの目的を持たせた変化にしようと。
 
 今回の敵は、人間を他の世界の住人に密売するグループ。
 そこで、搬送に便利という理由付けで箱化としたわけです。

 ただ……

 先日生存報告で、クレープショップの山口亜希奈を公表したとき、MTさんから「クレープにされそう……」というコメントを頂き、マジで…「しまった!! 彼女はそっちの方が良かった!!」と後悔しました。

 そんな訳で、彼女はいずれどこかに登場し、クレープにされて食べられてしまうかもしれません。 (笑)

 話を戻して、絵里子の箱化イラスト。アレも個人的には気に入っております。
 特にスパッツ丸見えで怯える姿とその結果の方は、パンツよりもエロいな~と思っております。
 もちろん、あくまで個人的ですが。
 なので、パンツ姿のイラストも用意させて頂きました。(笑)

 そして、人形化&カード化ですが……。

 実はこれは、その使い手『カエデ』と共に、私のアイデアではありません!

 名前を公表していいのか? まだ確認を取っていなかったので、今回は『M』さんと公表させていただきます。
 
 カエデはMさんが作ったキャラで、元々のデザインもその方がが描かれております。
 Mさんの希望で私風に描き直しておりますが、もうちょっと……ロリロリにするべきだったと内心思っております。(笑)

 で、その人形化ですが、元々…カエデというキャラは、その能力を持っていたようです。
 そして、私の作品で登場するにあたって、新たに『カード化』という能力のアイデアも頂きました。

 魂が抜き取られた肉体が人形となって、魂の一部はカードとして保存される。

 この発想は、本当に面白いと思います。
 ただ、Mさんの希望は、カードの絵柄を『捕らわれの状態』という事でしたが、あえてここは私が勝手にアレンジさせて頂き、通常のトレーディングカードみたいに『カッコイイ!』もしくは『可愛い』ポーズとさせて頂きました。

 これは、私の勝手な解釈で、片方が身動きできない無表情な人形なので、あえてカードの方はそのキャラの一番良い姿に描いてギャップを図ろうという狙いで。
 一応、これはMさんに事後報告はしております。(;^_^A
 Mさん、寛大なお心、本当にありがとうございます。<(_ _)>

 ちなみにその逆の『ソウルインジェクト(魂挿入)』による、モンスターの出現。
 これは、人形化&カード化に基づいて、私が考えさせて頂きました。
 (ある種のカプセル怪獣やポケモン的な発想です)

 これも個人的には、ちょっと変わった召喚術として気に入っております。 


 …というわけで、今回はそんな感じかな?

 ちょっと予想外の事が多かったので、なかなか受け入れにくいかもしれませんが、良かったら暖かいコメントを頂けると嬉しいです!

 
 次回は、できれば『ターディグラダ・ガール 8話』を再執筆して公開できれば! と思っております。

 では、閲覧ありがとうございました。<(_ _)>




 
 
 
 
 
 

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