2014.06.28 Sat
妖魔狩人 若三毛凛 if 第14話「千佳の覚醒 -中編-」
「大丈夫かい、凛……!?」
すぐ後を、金鵄も飛び寄ってきた。
「優里お姉さん……、金鵄……、どうしてここが……?」
「セコが精霊を使って、僕に伝えたんだ。そして僕が優里を連れてきた!」
金鵄の言葉に、セコが草陰から姿を現す。
「話はある程度、把握いたしました。たしかに千佳さんには同情いたします。でも……だからと言って、凛ちゃん貴方を殺させはいたしません!」
優里は眼光鋭く、千佳と嫦娥を睨みつける。
「でも……千佳はわたしのせいで……」
「凛ちゃん!」
優里はそう言う凛を制すると
「貴方の最大の弱点は、その優しさです。 その優しさがある限り、奴らはずっとそこに付け込むでしょう」
冷静に言い放った。
「・・・・・・」
凛は黙って項垂れる。
そんな凛を見て、優里は密やかだが、優しく微笑んだ。
― でも、そんな優しい凛ちゃんだから、私も金鵄さんも、全力で守りたいと思うんだけど…… ―
優里は再び目線を千佳に戻すと、薙刀を構え、千佳との間合いを測る。
「千佳さんとは、私が戦います!!」
一気に千佳の間合いへ飛び込んだ!
獣妖怪としての本能か? 優里の一閃を紙一重でかわし、間合いを開ける千佳。
そして、口から炎の玉を吐き出した!
咄嗟に薙刀で炎の玉を切り裂く優里。
それでも次々に炎の玉を吐き出す、千佳。
飛び交う炎の玉を、負けじと撃ち落としていく優里。
そして、隙を見て、一足飛びで間合いを詰めると、薙刀を横払いした。
微かだが、手応えはあった!
千佳の胸元に、かすり傷であるものの、明らかに一筋の血が流れている。
千佳の息が更に荒くなった。
そして……
「もっと…速く・・・、もっと…速く動かないと・・・・」
微かだが、そんな呟くような声が聞こえた。
「あ……、千佳の足がさっきより赤く光って……?」
「え? どういう事だい凛……?」
「う…うん、よくわからないけど……、千佳の足の力が増したような……」
凛が言葉を終える前に、今度は千佳が爪を振りかざし、攻撃を仕掛けた。
優里に負けない速度で、間合いに入り込む千佳。
その鋭い爪を振り下ろすが、優里が薙刀で弾き返す。
それでも、二振り…三振りと、腕を振り回す。
さすがの優里もその勢いに、数歩引き下がった。
― 少し……動きが速くなった……? ―
優里は冷静に見定める。
「もっと…っちゃ……。もっと速く動かないと……、攻撃が当たらない…ちゃ……」
先程よりも、ハッキリとした声が聞こえた。
「更に、千佳の足の力が増している!!?」
追うように、凛が叫んだ!
「ほぅ……、様子が変わってきているようじゃの……?」
様子を見ていた嫦娥がそう呟いた時・・・
「コソコソと何をしているのかと思って来てみれば、こういう事か……」
背後から声が聞こえた。
そこには、色白で長髪の青年と、褐色で大柄な髭男の姿が。
「白陰……、ムッシュ……! なぜ…お前さんたちがここに!?」
「吾輩が案内したのですよ。どうも最近……マダムの様子が可怪しいのでね」
ムッシュがそう言いながら、自慢のカイゼル髭を摘み上げる。
「あの娘、妖怪と融合したのか……? 融合の術は条件が揃わなければ成功しない、相当高度な術。 そんな手間隙掛けて、なぜこんな事を……?」
そう問いかける白陰に対し、嫦娥は目線を千佳たちに戻すと、
「あの娘、消滅して消え去る運命じゃった。だったら…最後に使い道は無いかと、試してみただけじゃよ……」
そう言い捨てた。
「なるほど、もっともですな!」
まるで嘲笑うように、ムッシュはまたも、髭を摘み上げた。
すると・・・・
「懐に入ったぁぁぁぁぁっ!!」
同時に、嫦娥が叫び声を上げた!!
見ると、優里の振り払った一撃を避け、その胸元に千佳の鋭い右腕が入り込んでいる!!
そのまま右腕を突き上げ、優里の胸を貫くっっっ!!?
キンッッッ・・!!
まるで金属が弾けるような音が聞こえた。
それは、突き上げた鋭い爪・・・右腕は、優里の胸を貫くどころか……、その胸に備え付けられている『鎧』に弾き返されていた。
「す……すごい……」
凛が、思わず溜息を漏らす。
優里の戦闘服や鎧。 それらは霊獣麒麟が寿命でこの世を去る前に、自らの霊毛を使って仕立てあげた物。
一見、軽装だが、その防御力は凛のソレを上回り、特に胸元の鎧部分は、銃弾すら弾き返す強度がある。
「危なかったわ……。 でも、これで勝負あったわね!」
優里がそう言い放った。
「参ったのぉ……、こりゃ…決まりじゃわい!」
嫦娥もそう呟いた。
たしかに、獣化した千佳の動きは、最終的に優里の速さを上回った。
だが、肝心な攻撃力が通じない。
すなわち、優里を倒すことはできないということだ。
それを理解したのか、千佳も肩で息をしながら、攻撃の手を止めた。
「千佳………」
凛も心配そうに見守る。
「負けない……ちゃ・・」
「えっ!?」
「ウチは絶対に……負けないっちゃ! 絶対にアンタを倒すっ!!」
誰もが耳を疑った。
獣人化した千佳が、ハッキリと言葉を・・・、自分の気持ちを言葉で現した!
見ると、たしかに姿形は獣化したままだが、その瞳は獣の瞳でなく、光を持った人間の瞳・・・。
「優里お姉さん・・・、千佳・・・・」
なにやら考え事をしていた凛だが、一大決心をしたように口を開いた。
凛の言葉は・・・・・・・?
① 優里お姉さん、最後まで千佳と戦って・・・
② 千佳、もう勝ち目はないよ。諦めて・・・!
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『-後編-』へ続く。
そのまま、下のスレをご覧ください。
すぐ後を、金鵄も飛び寄ってきた。
「優里お姉さん……、金鵄……、どうしてここが……?」
「セコが精霊を使って、僕に伝えたんだ。そして僕が優里を連れてきた!」
金鵄の言葉に、セコが草陰から姿を現す。
「話はある程度、把握いたしました。たしかに千佳さんには同情いたします。でも……だからと言って、凛ちゃん貴方を殺させはいたしません!」
優里は眼光鋭く、千佳と嫦娥を睨みつける。
「でも……千佳はわたしのせいで……」
「凛ちゃん!」
優里はそう言う凛を制すると
「貴方の最大の弱点は、その優しさです。 その優しさがある限り、奴らはずっとそこに付け込むでしょう」
冷静に言い放った。
「・・・・・・」
凛は黙って項垂れる。
そんな凛を見て、優里は密やかだが、優しく微笑んだ。
― でも、そんな優しい凛ちゃんだから、私も金鵄さんも、全力で守りたいと思うんだけど…… ―
優里は再び目線を千佳に戻すと、薙刀を構え、千佳との間合いを測る。
「千佳さんとは、私が戦います!!」
一気に千佳の間合いへ飛び込んだ!
獣妖怪としての本能か? 優里の一閃を紙一重でかわし、間合いを開ける千佳。
そして、口から炎の玉を吐き出した!
咄嗟に薙刀で炎の玉を切り裂く優里。
それでも次々に炎の玉を吐き出す、千佳。
飛び交う炎の玉を、負けじと撃ち落としていく優里。
そして、隙を見て、一足飛びで間合いを詰めると、薙刀を横払いした。
微かだが、手応えはあった!
千佳の胸元に、かすり傷であるものの、明らかに一筋の血が流れている。
千佳の息が更に荒くなった。
そして……
「もっと…速く・・・、もっと…速く動かないと・・・・」
微かだが、そんな呟くような声が聞こえた。
「あ……、千佳の足がさっきより赤く光って……?」
「え? どういう事だい凛……?」
「う…うん、よくわからないけど……、千佳の足の力が増したような……」
凛が言葉を終える前に、今度は千佳が爪を振りかざし、攻撃を仕掛けた。
優里に負けない速度で、間合いに入り込む千佳。
その鋭い爪を振り下ろすが、優里が薙刀で弾き返す。
それでも、二振り…三振りと、腕を振り回す。
さすがの優里もその勢いに、数歩引き下がった。
― 少し……動きが速くなった……? ―
優里は冷静に見定める。
「もっと…っちゃ……。もっと速く動かないと……、攻撃が当たらない…ちゃ……」
先程よりも、ハッキリとした声が聞こえた。
「更に、千佳の足の力が増している!!?」
追うように、凛が叫んだ!
「ほぅ……、様子が変わってきているようじゃの……?」
様子を見ていた嫦娥がそう呟いた時・・・
「コソコソと何をしているのかと思って来てみれば、こういう事か……」
背後から声が聞こえた。
そこには、色白で長髪の青年と、褐色で大柄な髭男の姿が。
「白陰……、ムッシュ……! なぜ…お前さんたちがここに!?」
「吾輩が案内したのですよ。どうも最近……マダムの様子が可怪しいのでね」
ムッシュがそう言いながら、自慢のカイゼル髭を摘み上げる。
「あの娘、妖怪と融合したのか……? 融合の術は条件が揃わなければ成功しない、相当高度な術。 そんな手間隙掛けて、なぜこんな事を……?」
そう問いかける白陰に対し、嫦娥は目線を千佳たちに戻すと、
「あの娘、消滅して消え去る運命じゃった。だったら…最後に使い道は無いかと、試してみただけじゃよ……」
そう言い捨てた。
「なるほど、もっともですな!」
まるで嘲笑うように、ムッシュはまたも、髭を摘み上げた。
すると・・・・
「懐に入ったぁぁぁぁぁっ!!」
同時に、嫦娥が叫び声を上げた!!
見ると、優里の振り払った一撃を避け、その胸元に千佳の鋭い右腕が入り込んでいる!!
そのまま右腕を突き上げ、優里の胸を貫くっっっ!!?
キンッッッ・・!!
まるで金属が弾けるような音が聞こえた。
それは、突き上げた鋭い爪・・・右腕は、優里の胸を貫くどころか……、その胸に備え付けられている『鎧』に弾き返されていた。
「す……すごい……」
凛が、思わず溜息を漏らす。
優里の戦闘服や鎧。 それらは霊獣麒麟が寿命でこの世を去る前に、自らの霊毛を使って仕立てあげた物。
一見、軽装だが、その防御力は凛のソレを上回り、特に胸元の鎧部分は、銃弾すら弾き返す強度がある。
「危なかったわ……。 でも、これで勝負あったわね!」
優里がそう言い放った。
「参ったのぉ……、こりゃ…決まりじゃわい!」
嫦娥もそう呟いた。
たしかに、獣化した千佳の動きは、最終的に優里の速さを上回った。
だが、肝心な攻撃力が通じない。
すなわち、優里を倒すことはできないということだ。
それを理解したのか、千佳も肩で息をしながら、攻撃の手を止めた。
「千佳………」
凛も心配そうに見守る。
「負けない……ちゃ・・」
「えっ!?」
「ウチは絶対に……負けないっちゃ! 絶対にアンタを倒すっ!!」
誰もが耳を疑った。
獣人化した千佳が、ハッキリと言葉を・・・、自分の気持ちを言葉で現した!
見ると、たしかに姿形は獣化したままだが、その瞳は獣の瞳でなく、光を持った人間の瞳・・・。
「優里お姉さん・・・、千佳・・・・」
なにやら考え事をしていた凛だが、一大決心をしたように口を開いた。
凛の言葉は・・・・・・・?
① 優里お姉さん、最後まで千佳と戦って・・・
② 千佳、もう勝ち目はないよ。諦めて・・・!
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『-後編-』へ続く。
そのまま、下のスレをご覧ください。
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