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自己満足の果てに・・・

オリジナルマンガや小説による、形状変化(食品化・平面化など)やソフトカニバリズムを主とした、創作サイトです。

2014年03月 | ARCHIVE-SELECT | 2014年05月

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妖魔狩人 若三毛凛 if 第12話「対決!独楽勝負 -前編-」

 ムッシュ・怨獣鬼が妖魔狩人と初対決したその翌日。
「どうであった、妖魔狩人と戦ってみた感想は?」
 いつもの犬乙山、麓の洞窟に白陰、嫦娥、ムッシュは顔を合わせていた。
「うむ、なかなか美味そうな素材でしたな。悪くない・・・」
「強さや能力でなく、そう見方をしておったのか? ふざけたヤツじゃ」
「ふざけてなんかおりませんよ。吾輩にとって人間・・・それも若い娘は食材としての価値しかない。それにそこそこは強い娘だったが、恐れる程のものでもないですな」
「汝(うぬ)にとって、どんな人間も家畜としての対象でしかないということだな」
「さよう・・・」
 ここまで話すとムッシュは紅茶を口に含み、その香りと味を噛みしめる。
 妖怪であっても、このひと時がたまらない。
「ところでムッシュよ、もう一つ聞きたい事があるんじゃが?」
 嫦娥の問いに、せっかくのティータイムを邪魔するなと言わんばかりの目をしたムッシュ。
「なにかね?」
「お主の血は、どんな生き物でも妖怪に変化させることができるのかの?」
 更なる問いに、残りの紅茶を全て飲み干し、天を仰ぐように目を閉じた。
「吾輩の血は怨念の血。したがって、恨みや復讐・・・そんな強い念を持った者にしか効き目はない」
「手当たり次第に飲ませても、意味はないというわけじゃの?」
「そういう事ですな」
 ムッシュはそう言うと、ティーポットに湯を入れる。
 茶葉が広がるまでの、ゆったりとした時間。
 一見無駄なように感じられるが、この無駄がいいのだ。
 その無駄を楽しみ、再度カップに入れた紅茶を口に含む。
 十分に香りを楽しむと思い立ったように、
「そう言えば、この村の人間の生活状況を把握しておりませんでしたな。 ゆっくり見てみたい。どちらか案内してもらえませんかね?」
 ムッシュの問いに、白陰と嫦娥は顔を見合わせたが
「良いじゃろう、あたしも色々気になることがある。案内してやろうて」
と、嫦娥が立ち上がった。
「ありがとう、マダム!」


 昔から農業を育んできた、柚子村。
 しかし、今では農業を続ける若者も減り、また農業だけでは生活も苦しいため、職を求めて丘福市へ移転する家族も少なくない。
 数軒の民家が並んではいるが、長年空き家になっている家も珍しくはないのだ。
 そんな中、ムッシュと嫦娥は一軒の古民家へ入った。
 雨戸を締め切り陽も入らぬ室内、溜まりに溜まった埃。
 ここも長年人が暮らしている気配は無い。
「どうやら、この付近はこの国の年号で言う『昭和』で、時間が止まっているようじゃのう・・・」
 嫦娥は残された家具や衣類を見て、呟いた。
 たしかに・・・。
 当時の人々の生活を思い浮かべながら、家内を眺めるムッシュ。
 フト、部屋の隅に置いてある、数々の道具が目に入った。
 その内の一つを手に取る。
「マダム、ここにあるのは何かわかるかね?」
「ん・・・?」
 ムッシュの問いに、手にした物に目を向ける。
 それは、手の平くらいの大きさで、木製の円錐型、中央に一本の芯棒が通っているものだった。
「ああ・・・、それはこの国の子どもが遊ぶ、玩具じゃろう?」
「玩具?」
「そうじゃ……。今、お前さんが手にしているのは、たしか……独楽という物じゃの!」
「ほほぅ~」
「中国の独楽とは、形も遊び方も違うが、今どき珍しいのぉ」
「たしかに年代を感じるが・・・、うむ……悪くない!」
 ムッシュはそう言って、独楽を隅々まで眺める。
「おや、お前さん……指をどうかしたのか? 血が流れているぞ」
 嫦娥の言葉にムッシュは、自身の両手に目をやった。
 右手の人指し指から、僅かだが血が流れている。
「おお……、これか! これは先日、鶏を妖怪化するために自ら傷つけたもの。 アレコレ触っているうちに、傷口が開いだのだろう」
 ムッシュはそう言って、人差し指をしゃぶりだした。
「ま、すぐの止まるはずだ」
 ムッシュは手にした独楽を放り投げると、そのまま民家から出て行った。
 見ていた嫦娥も苦笑いしながら、後に続く。
 実はこの時、ムッシュが手にした独楽に血が付着していたことを、二人は知るよしも無かった。


 それから数時間が経ち、ここは柚子村立中学校。
 丁度授業が終わり、各教室清掃時間になっていた。
 一年二組の教室で窓ふきをしている凛。
 そこへ一人の少女が近づいてきた。
 丸顔でショートヘア。身長は凛よりもまだ小柄で、その分……身軽そうな体つき。
 アンダーリムの眼鏡を掛けたその少女は・・・・
「んっ、千佳……なんか用?」
 そう、凛の幼なじみで最も親しい同級生、斎藤千佳。
 だが、いつもはイタズラっ子のような口元が、なぜか真一文字に結ばれている。
「凛、ウチ……凛と戦った事があるとよね?」
「えっ!? 戦う・・・って?」
「死闘・・・。文字通り、殺し合いの戦い……ちゃ」
「なんの話? そんなわけないじゃない……」
「覚えているっちゃよ、うちの家で戦った事。うちの気持ちを打ち明けた事……」
「お……覚えて……いる……?」
― そんなはずは無い。 
 わたしの霊光矢は、確実に千佳を浄化し、その悪しき記憶も消したはず…… ―
 その時・・・・
(凛、聞こえるかい?)
 頭の中に、金鵄の声が聞こえた?
― き……金鵄……? ―
(ここだよ、外を見て!)
 凛の思ったことに返答するかのように、新たな声が頭の中へ入ってくる。
 声の通り窓の外に目をやると、目と鼻の先ほどの距離に金鵄が飛んでいた。
(ちょ…ちょっと、人に見られたら……!?)
(大丈夫、今の僕は霊体だ。普通の人間には見えない)
(あなたの声が聞こえるのは……?)
(出会った頃、僕と君は魂を共有しただろう。だから霊波動が協調しやすく、こういった至近距離なら、直接発声しなくても霊力で会話ができるんだ)
(そういうことは早く言ってよ。いらない心配をするじゃない!)
(ごめん、僕もつい最近気がついたんだ)
「ねぇ……凛、もしかして……その金色の鳥と話しをしているの?」
 唐突に千佳が話しに加わってきた。
「えっ、千佳……わたしたちの会話が聞こえるの? ていうか……金鵄が見えるの!?」
「会話? そんなのは分からんけど、鳥は見えるっちゃよ」
― 今の金鵄は霊体。だから霊力の高い人間でないと、見えないはず…… ―
 驚きを隠せない凛は、思わず千佳の姿をマジマジと見つめた。
 すると千佳の体から、薄っすらと赤い煙のようなものが見える。
 霊気・・・いや、これは……妖気・・・!?
― まさか……、千佳はまだ……!? ―
(それよりも凛、大変なんだ!!)
 凛の不安をよそに、再び金鵄が頭の中へ話しかける。
(この村の小学校が、妖怪に襲われたらしい!)
(村の小学校が・・・!? 中国妖怪の仕業・・・?)
(セコからの情報だから僕もまだ見ていないからわからないけど、そうではないみたい。だけど、どちらにしろ子供たちが被害に遭っている!)
(優里お姉さんは?)
(セコが、他の精霊を使って連絡した。直接向かうだろう)
(わかった! わたしたちもすぐに向かいましょう!)
 凛はすぐに清掃用具を片付け始める。
「ねぇ……凛、どうかしたん?」
 そうだった、千佳の事もあるんだ・・・。
 でも、今は小学校の子供たちの身が危ない・・・
「ごめん千佳! わたし、急用ができたから帰るね!」
 軽く謝ると、凛はダッシュで教室を飛び出していった。


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 今回はいつもより、かなり長めになっております。ww
引き続き、下のスレ「中編」を御覧ください。

| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 22:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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妖魔狩人 若三毛凛 if 第12話「対決!独楽勝負 -中編-」

 凛が小学校へ到着したとき、そこはまるで無人のように、人の気配が無かった。
 いや、微かだが人間の気・・・霊力を感じる。それも数多くだ・・・。
 そう思って凛は校内へ入った。
 校庭には、無数の小さな丸い物体が転がり落ちている。
「なに・・・これ?」
 凛は小さな物体を手に取った。
 円錐型で中央に芯棒が通っている。凛には見たこともない物体。
「それは昔の玩具・・・、独楽というものみたい」
 背後から声と同時に、優里が姿を見せた。
「でも・・・、この玩具から僅かだけど、人の気を感じるんです」
 凛は信じられない表情で独楽を見つめている。
「さすがですね……凛さん。その独楽は、この小学校の子供たちが姿を変えられた物です」
 優里の影からセコも姿を見せる。
「なんて事・・・! それで子供を独楽に変えた妖怪っていうのは!?」
 独楽を持つ凛の肩は、怒りからかワナワナと震えている。
「あれがそうね・・・?」
 優里が薙刀の尖先を向けた先に、若い女性を引き摺るように歩いてくる人影が見える。
 子供とも、年老いた男性とも見える、その異様な姿。
 体つきは小柄。頭はまるで河童のように、おかっぱだが天辺だけが禿げ上がっている。
 キョロキョロした子供のような大きな目に、薄っすらと髭のようなものが見える口元。
 そして右手に大きめの独楽、左手に市松模様の紐を手にしている。
 そんな異様な男に、自分より大きい若い女性がしがみついたまま、こちらへ歩いてくる。
「子供たちを・・・子供たちを、元に戻してっ!!」
 男にしがみついた女性は、そう叫び続けている。
「あ…あれは、音羽(おとは)先生っ!!?」
 凛は女性を見て驚きの声を上げた!
 そうだ。考えてみれば、凛は去年まで、この小学校の児童だったのだ。
「高橋音羽先生、二年前に赴任してきた音楽の先生です!」
「ええっ~い、邪魔ばい……女!!」
 男はそう叫ぶと、持っていた紐を音羽に巻きつけた。
「あっ・・!」
 音羽が短い悲鳴をあげたのもつかの間。
 ポンッ!!という音と共に白煙が立ち込めると、そこには音羽の姿は無く、校庭に転がっている独楽より、少しだけ大きな独楽が落ちていた。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第12話(1)

「あっ……音羽先生ーっ!!?」
「やはり、あの男が子供を独楽にした、妖怪のようですね!」
 凛と優里は、音羽を独楽にした男・・いや、妖怪の前に立ち塞がった。
「なんだ、お前たちは・・・・?」
 そんな二人を怪訝そうに見る妖怪。
「私たちは妖魔狩人。どこの妖怪か知りませんが、今すぐ独楽に変えた子供たちや先生を元に戻しなさい!」
 優里が薙刀の尖先を妖怪の眉間に向けた。
「妖魔…狩人……? なんばいね、それは?
 おいどんの名は、ネンカチ。 ここのガキ共は、おいどんとの独楽勝負から逃げたから罰として独楽にしてやったばい!」
 ネンカチと名乗る妖怪は、そう言って自慢げに持っている独楽を見せ付けた。
「独楽……勝負……?」
「そうばい、喧嘩独楽勝負ばいっ!!」
 ドヤ顔のネンカチに対し、凛は・・・・
「金鵄、喧嘩独楽勝負……って?」
「い…いや、僕もわからない……」
「回転する独楽と独楽をぶつけ合い、先に倒れた独楽が負けという、結構昔の子供の遊びです」
 永遠の子供妖怪・・・セコがフォローしてくれた。
「意気地の無いガキ共ばかりで、話にならんからお仕置きをしてやっただけたいよ」
 ネンカチは鼻で笑う。
「意気地なくて勝負を避けたのではなく、今の子供たちは独楽なんて遊ばないですから。
だから勝負しなかっただけと思いますよ」
 という優里の言葉に、
「そう! だからみんなを元に戻して!」
 と、凛が付け加えた。
「そんな事は知らん。それより元に戻す方法は、おいどんが勝負に負けた時だけばい!」
 ネンカチはそう言うと、持っていた独楽を凛たちに突きつけるように見せ、
「どうばい? おいどんと独楽勝負をせんか・・・? もし、お前たちが勝ったら、ガキも教師も元に戻してやるばい!!」
 と言って口元を緩ませた。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第12話(2)

「独楽勝負? わたしたち・・・独楽なんかした事が無いし、第一……独楽も持っていない・・・」
「独楽なら、その辺に沢山転がっているばい!」
「それは、姿を変えられた子供たちでしょう! 使えるわけがないじゃない!!」
 凛が当然のように拒むと、
「だったら、お前が独楽になって、もう一人の女がお前を回せばいい」
 とネンカチが凛を指差した。
「えっ・・・!?」
 驚きのあまり、顔を見合わせる凛と優里。
「知ってのとおり、おいどんならお前を独楽に変えてやる事ができるばい」
 ネンカチはまだら模様の紐を振り回す。
 言葉に詰まった凛。
 ネンカチと手にした独楽を見つめ、さらに校庭に散らばった独楽を見渡し、再度ネンカチと独楽を見つめなおした。
 そして決心したように
「わかった、わたしを独楽にして・・・」
 と、ネンカチに返答した。
「凛ちゃん・・・落ち着いて! 冷静に考えて他の手を・・・!!」
 優里が慌てて止めに入る。
「そうだ凛、何かの罠かもしれない! 君と優里なら、普通に戦ってもアイツに勝てるはずだ!」
 いつも黙っている金鵄も、さすがに反対する。
 しかし凛は静かに首を振り、
「なんか……勘みたいなものだけど、この方法が一番いいような気がするの」
 と付け加えた。
「凛ちゃん・・・・・」

 普段はあまり我を通さない凛、優里はそれをよく知っている。
 だが、あまりに不利な勝負である事も否めない。
 金鵄の言うとおり、自分たちの戦い方に持ち込んだ方がいいのか?


 
どうする?

① 優里は凛を信じ、独楽勝負に挑む
② いや、自分たちの戦いをしよう!


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『-後編-』へ続く。

そのまま、下のスレをご覧ください。

| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 22:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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妖魔狩人 若三毛凛 if 第12話「対決!独楽勝負 -後編-」

① 優里は凛を信じ、独楽勝負に挑む


― 凛ちゃんは、私よりずっと高い霊力を持っている。 さっき凛ちゃんは勘のようなものと言っていたけど、おそらく名の通り霊感から、何かを感じ取ったに違いないわ。―
 優里はそう決断すると、
「セコさん、独楽の回し方・・・知っている? 知っていたら教えてほしいのだけど?」
 と問いかけた。
「はい、ぼく自身はした事がありませんが、昔……子供たちが遊んでいるのをよく見ていました」
「ありがとう、お願いね」
「優里、考え直したほうがいい。あまりに不利だ!」
 金鵄はまだ反対し続ける。
「金鵄さん、私たちは凛ちゃんを信じて、こうして妖怪と戦う道を選びました。だから、最後まで凛ちゃんを信じましょう!」
 微笑む優里。もはや迷いも無い。

「どうするか、決めたばいね?」
「ええ、独楽勝負をする! だからわたしを独楽に変えて!」
 凛はそう言って前へ出た。
「いい度胸ばい!」
 ネンカチは、そう言って紐を凛に巻きつけた。
 女教師と同じように、ポンッ! という音と共に白煙が巻き上がる。
 しばらくすると、そこには一つの黒い独楽が落ちていた。
「凛ちゃん・・・・」
 優里は優しく丁寧に、黒い独楽を拾いあげる。
 よく見ると、独楽の上の模様は、凛の顔にも見える。
 だが、独楽となった凛は何も語ることができない。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第12話(3)

 すると、独楽は優里の手の中で、青白い光に包まれていく。
「こ…これは……?」
 優里は思わず声を漏らす。
 と同時に・・・
「えっ、凛……なのか!?」
 と金鵄が声を上げた。
「どうしたの・・・金鵄さん!?」
 慌てて振り返る優里。
「凛が僕の頭の中に語りかけてくる・・・・」
 しばらく驚きを隠せない金鵄だったが・・・
「そうか、独楽になっても凛の意識は残っているんだ! そして霊波動を通して、僕と会話ができる!!」
「ホント・・・!?」
「ああ、自分は大丈夫だから、勝負を急いでくれと、凛は言っている」
「わかったわ!!」
 優里はそう言うと、セコに独楽の使い方を教わり始めた。
 紐の巻き方、腕の振り方。
「まだかい?」
 ネンカチが急かすが、優里は無視して使い方を習う。
 負けるわけにはいかない。子どもたちもそうだけど、絶対に凛ちゃんを元に戻さなければいけない!
 優里の頭には、それしかなかった。
「お待たせしました!」
 ひと通り、独楽の使い方を習った優里は、独楽(凛)を手にし、前へ出た。
「勝負は一回勝負! 先に独楽が倒れた方が負けばい。途中、回転を強めるために自分の独楽を叩くのは有りとするばい。いいか?」
「了解しました!」
 独楽を持つ手に力が入る。
「では、審判はぼくがします!」
 セコが間に入る。
「勝負・・・・・・開始っ!!」
 セコの合図と共に、ネンカチ・・そして優里が独楽を投げる!
 激しく回転する、両者の独楽!
 ガチッ! ガチッ! と、まるで火花が散る勢いでぶつかり合う。
「ひゃはははははっ♪」
 ネンカチが、自分の独楽の横っ面を叩きだした。更に勢いを増すネンカチの独楽。
 何度も押され、やや回転に鈍りが見える優里の独楽(凛)。
「やばい・・・凛っ!!」
 金鵄がそう呟くと、まるでその言葉に反応したかのように・・・
 パァ~~ッと、優里の独楽(凛)が、青白い輝きを強めていった。
 その光に威嚇されたかのように、ネンカチの独楽は若干勢いが弱まる。
「よしっ!」
 この瞬間を逃す手は無い! 

妖魔狩人 若三毛凛 if 第12話(4)

 優里は手にした紐で、己の独楽の横面を何度も叩きつけ、回転を強めていく!
 ガンッ!!
 勢いが増した優里の独楽(凛)は、ネンカチの独楽を強く叩きつけ形勢を逆転し始めた。
 その時・・・・
(き…金鵄……っ)
 金鵄の頭の中に弱々しい声が流れてきた。
(金鵄……ちょっ…と、やばい……。目が……目が回って………リ…リバース……しそう……。お…おぇ……)
 それは今にも逝っちゃいそうな、弱った凛の声・・・
「り…凛・・・!?」
(ご…ごめ……一旦……中断…………)
 苦しそうな凛の声。
「金鵄さん、凛ちゃん……どうかしたの!?」
 優里が心配そうに振り返った。
「優里、一旦・・・・」
 そこまで言いかけた金鵄だったが、戦況はあともう一押しで勝てる勢い。ここは・・・
「いやっ、もう一息だ! 一気にやってくれと、凛も言っている!!」
(えっ・・・・・・?)
「わかりました!!」
 優里は更に横面を叩き、コレ以上にない勢いで独楽を回す!
(金鵄、あんた一生恨む~~~~っ!!)
 ガンッ!!
 ついに、ネンカチの独楽は弾け飛んで、その場で転がり落ちた。
「勝者、妖魔狩人組っ!!」
 ここで審判のセコが勝敗を下す。
「ま…負けた……ばい……」
 ネンカチが、がっくりと膝をついた。
 ポンッ! ポンッ! ポンッ!
 ネンカチが負けを認めた瞬間、アチコチで弾けるような音と、白煙が立ち込める。
 校庭に転がっていた数々の独楽は、次々に子どもたちの姿へ戻っていった。
 あの若い女教師も。そして・・・
「う……うぅ…………」
 凛も元の姿に戻った・・・が、完全に千鳥足状態。
 よろよろと這いつくばって隅へ辿り着くと・・・
「お……おぇ~~~~~っ……」
 一気に、ゲロゲロ・・・・・

妖魔狩人 若三毛凛 if 第12話(5)

「凛ちゃん、大丈夫・・・?」
「凛、お疲れっ!」
 心配そうに駆け寄る優里と金鵄。
「き…金鵄、あなた……鬼か!?」
 もはや、キャラ崩壊までしている凛。
「ごめんよ凛、でもあの場面は一気にいくべきだと・・・」
「わ…わかるけど……、わかるけど……、お…おぇ……っ」
 そんな凛の背中を、優里が優しく擦ってやる。
『五十数年ぶりに熱くなれた、感謝しとるばい!』
 凛、優里、金鵄、セコの頭の中に直接声が聞こえた。
 皆が振り返ると・・・
「あっ!?」
 ネンカチの身体は溶けるように崩れ落ち、そしてついに土の塊となった。
「消滅したのか・・・?」
 金鵄が近寄って確認していると、
「それは、ネンカチじゃないよ・・・」
 と、凛が遮った。
「どういう事、凛ちゃん・・?」
 優里も不思議そうに凛を見つめる。
「ネンカチの本体は、わたしと直接ぶつかり合った……独楽!」
「ええ~~~~~~っ!!?」
 驚く一同。
『ほぅ、気づいておったばいね』
 またも頭の中で声が響く。
「まさか・・・・」
 皆がネンカチの独楽に目をやると、まるで陽炎のような赤い気が独楽から吹き出ている。
『そうばい、おいどんが本体ばい』
 よく見ると、独楽の上部にクリクリっとした大きな目が。
『おいどんは五十数年前、この村で暮らしていた独楽好きの子どもの物だった。 だが、その子は親と一緒にこの村を離れ、おいどんは置き忘れていかれたばい』
「…………」
『今日まで五十数年、おいどんはもう一度、熱い独楽勝負をしたい! その想いだけが募っていった。 そして今日、キザで褐色の大男の血に触れたら、こうして妖怪として生まれ変わる事ができたばい……』
「キザで褐色の大男・・・・、ムッシュ・怨獣鬼・・!?」
『おいどんは、別に子どもに恨みがあったわけではない。 ただもう一度勝負したかっただけ。 だが、今の子どもたちは独楽という存在すら知らない……、それが悔しくなってあんな事をしてしまったばい』
「そうなのね……」
『でも、お前たちのお陰で熱い勝負ができた。もう……悔いは無いばい。 ありがとさん……』
 独楽本体であるネンカチは、ここで静かに目を閉じた。
 すると、いつの間にか全体が青白い光で包まれている。
「この光はもしかして・・・・・」
「うん、わたしの霊力。 独楽にされた身体に霊力を纏わせ、ぶつかり合う事で浄化していたの」
 凛の言葉に合わせるように、光に包まれたネンカチは、徐々に光の粒子となって、静かに消えていった。
「凛ちゃんは、最初からネンカチの本体が独楽である事を、気づいていたの?」
「はい、確信は無かったけど、あの独楽のほうが強い妖力を感じられて・・・」
「だったら、わざわざ独楽勝負なんてしないで、普通に独楽を攻撃すれば良かったんじゃないか?」
 金鵄が、そう問いただすと、
「ネンカチからは、邪悪な妖気は感じ取れなかった。 感じ取れたのは、勝負に掛ける未練だけ。 だったら、それを解消してやればいいかな…と」
 凛はそう答えた。そして・・・
「潰し合うことだけが、妖怪との戦いじゃない。 わたしはそう思うんだ・・・」


 勝負を終えて和やかな雰囲気の一同を少し離れた塀から、二つの人影が。
 それは、嫦娥とムッシュ・怨獣鬼の姿であった。
「まさかお前さんの血は、動物だけでなく物品までも妖怪化できるとはのぉ……」
「ええ、吾輩も驚きましたよ。ま、どちらにしろ……」
 ムッシュは自慢のカイゼル髭を摘むと。
「うむ、悪くない~♪」
「うん?」
 嫦娥は上機嫌のムッシュを無視して、フトっ校門に目をやると、そこにはもう一つの人影が。
 それは一人の少女の姿。
 よく見ると、その少女は陽炎のような赤い妖気を纏っている。
 そう、凛と同じ柚子中学校の制服。
 ショートヘアに、アンダーリムの眼鏡。
 それは、凛の友人であり幼なじみの、千佳であった。
 金鵄の連絡でまっすぐ現場へ向かった凛。
 千佳は、すぐその後をつけて、全ての戦いを見ていたのだ。
「あの黒い服……あの服には見覚えがある。 やっぱり…ウチはあの服を着た凛と戦った事があるっちゃ……」
「ほぅ、黒い妖魔狩人と戦った事がある? もしかしてお前さん、以前妖樹化して妖怪に転生した娘かの?」
 いつの間にか嫦娥が背後におり、呟くように話しかけてきた。
「妖怪……?」
 真っ青な顔で振り返り、言葉を返す千佳。
「ウチ……、妖怪になったっちゃか……!?」



 第13話へ続く(正規ルート)


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第12話 あとがき

こんにちわ。

榛名なかなか改二が実装されないし、新しい艦娘たちは誰も我が隊に来てくれない

やっぱり『どげんも海の藻屑隊』という部隊名が駄目なんだろうか?

(ちなみに一番隊が『どげんも』、二番隊が『こげんも』と付けており、『どげんもこげんも』となります。
これは、博多弁で『どうにもこうにも・・・』という意味だと思ってください)

…というわけで、 るりょうりに です。



さて、第12話公開いたしました

予定では、もう一日~二日かかるかな?と思ったのですが、なんとか一気に挿絵を書き終えることができました。


今回は、独楽妖怪との戦い。
以前、mec様から頂いたコメントのネタを使わせて頂きました。

バッド・エンドで独楽化させる・・・。

ネタとしては面白いな~と、即物語で使うと決めたのですが、ではどういう敵にするか?
ここで少し悩みました。

独楽妖怪と言えば、有名どころでは『あまめはぎ』が思い出されますよね。
ゲゲゲの鬼太郎でも、何度も登場しております。

しかしこの『あまめはぎ』。
実は正式に独楽を使う妖怪では無いようなんですよ。
石川県の能登が発祥とされているみたいですが、この妖怪なまけものという意味合いの妖怪らしいです。
そんな訳で秋田のなまはげみたいに怠け者の子どもを戒める妖怪として扱われている事が多いらしいですね。

では、他の独楽妖怪は何かいないかと探して見ましたが、意外と少ない。
てか、いないwww

結局、いつもの通りオリジナル妖怪でいくか!! (`▽´)/

ですが、ここでまた悩む・・・・w

人間を独楽に変えるのが目的だから、ベースをどういう風にするか?
独楽好きの人間を妖樹化通して、妖怪に変えるか?
なんか、しっくりこないな・・・・。

てか、正規ルートでは、どんな戦い方をさせるか?

そこで閃いたのが、独楽勝負! 

正規ルート、凛を独楽化させて独楽同士で勝負させるか・・・。

この閃きから、正規ルートの基本的な構想が始まり、独楽の付喪神を敵にするか?
ムッシュの血は、実は動物以外にも効き目がある!!

結果、実は五十年くらい放置されていた独楽が、「もう一度だけでいいから熱い勝負をしたい」という思念が強まり、それがきっかけでムッシュの血で妖怪化した。

元々強い妖怪ではないが、本体は独楽だから通常の攻撃は通用しない
凛が自身を独楽という武器になって戦う。という・・・

なんか、少年誌の妖怪マンガ風のストーリーが出来上がったというわけです。

いつもと雰囲気は違いますが、個人的にはこの展開、割りと気に入っております

ちなみにネンカチというのは、どこかの方言で独楽の呼び方の一つです。

そうそう、ネンカチが何故、年老いた爺さんのようで、子どものような姿なのか!?

これはですね、ネンカチは五十年間、手入れもされず放置されていた独楽なわけです。
ですから、もうボロボロで、人間で言えば年老いた爺さんと同じようなもんなんですよ。
だけど、残留思念は当時の持ち主だった子どもの魂も共有されているため、子どものような姿でもあるんです。

あと、前回……骨タイツ兵士のコメントで無機質っぽい笑顔といったお言葉を頂きました。

ええ、いいところを突いています!!

ホント、そういった細かい点に気づいて頂けると、描き甲斐があります!! ヽ(`▽´)/

独楽を回す人間体(?)の方は、ネンカチの妖力で作られた土人形。
つまり、精気は宿っていない操り人形だからです!



○バッド・エンドは、優里と凛の情けない独楽化。


ここで今回、正規ルートでも扱いましたが、凛と優里のリバースwwww


コレ、結構……引きました!?


俺っち、ヒロインゲ○させるの、長年マンガ描いていましたが、 初めてなんですよwww


いや、独楽のようにグルグル回ったら、当然(?)リバースするでしょ?www

ていうか、なんか…変なスイッチが入ったのか優里や凛が情けなくゲ○するシーンで萌えるような気がしてきて・・・ww
そもそもこのサイト、可愛い女の子が、どれだけ情けないシチュエーションになってしまうか!?

これがコンセプト。

平面化するのも、料理されて食べられてしまうのも。

バトルヒロインとして、思いっきり情けないシチュエーション。
そのギャップを楽しむためのサイトなんですよね。

だったら、情けなくゲ○ゲ○・・もいいんじゃない?
なんて、思ったりしてw

まぁ、そんな感じで、つい…やってみましたww


実際に萌えたか、どうかは別としてw

これも、挿絵でどう描くか!?

色々考えましたwwwww


あしたのジョーのようにキラキラ輝く・・』ゲ○にするか?

ジャンプ初?のゲロイン、銀魂神楽のようにモザイク』のゲ○にするか?

色々試してみた結果、キラキラでは情けなさが伝わってこない

やはり、清楚な美少女が、臭いそうなリバースをするからギャップがある?
だから、ちょっとらしい色でモザイクにしようww

こうなりましたwww


ええ、引いてください!w


まぁ、こういうのもアリかな~と?

また、こういうギャップネタを使うかもしれませんwww

基本的に、下ネタはあまり好みではないのですが、

でも……

また変なスイッチが入ったら、やるかもねww


今回、色入な試みをしてみましたが、ご意見があれば遠慮なくコメント下さい。

「リバース、汚らしいから止めろ!」でもいいし、

逆に、「スカ○ロでも、OK~~~♪」
なんて、もっと過激なコメントでもいいですwww

他に、こんなネタを使って~~~でも、OK!

(ただし、申し訳ないですが、リクエストに応じるか…どうかは、内容と気分次第なので、約束はしません!)


おっと、ムチャクチャ長くなった・・・(^_^;)

次回のバッド・エンドは、平面化の予定です。


今回も、閲覧頂き、本当にありがとうございました!!

また、よろしくお願いいたします。m(_ _)m

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