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自己満足の果てに・・・

オリジナルマンガや小説による、形状変化(食品化・平面化など)やソフトカニバリズムを主とした、創作サイトです。

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第三話 あとがき

第三話 あとがき

 …というわけで、第三話を公開いたしました。
 今回は正規ルートの方に力を入れているため、そちらが長く、バッドエンドは付け足しのような感じを受けられるかもしれません。
 しかも、今回のバッドエンドはある意味で正規ルートともリンクしており、妖木妃がどのようにして人間を妖怪化するか、それを表している回でもあります。
 そういった事もあり、今回は凛のバッドエンドイラストも、シリアスに描いております。
 いつもの、るりょうりにテイストでなく、まとも?なバッドエンドで物足りなかった方もいらっしゃるかも…しれませんが(こっちの方がいいと思った方は遠慮なく言ってくださいw)、ストーリー構成上、この三話までが第一章という事になる為ご了承ください。
 あと補足ですが、バッドエンドで妖木妃が凛の身体を弄ぶ描写がありました。
 アレ、最初はもっと細かい描写で、エロ小説っぽい所まで書いていたのですが、このサイトではエロ描写はしないとサイト案内で書いていたので、変更しました。(^_^;)
 ですが、そういった描写が欲しいという方がおられるのなら、またそれもコメント等でご意見頂けたら、色々考慮してみたいと思っております。

 以後、第二章は凛と妖怪達の戦いをメインとした作風になり、また私自身が本来書きたかった、バッドエンドを中心としていきますw
 予定では第四話は、久しぶりの平面化を使った題材にするつもりですので、少しだけ期待してくださいw
 また、以前頂いたバッドエンドネタは、いずれこの第二章で使わせて頂こうという考えもありますので、こういった事も期待しないでお待ちください(笑)

では、第四話でお会いしましょう。(*^ー゚)b

| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 09:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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妖魔狩人 若三毛凛 if 第二話「妖魔狩人『凛』登場!?-前編-」

こんばんわ!
モチベーションは上がってきているものの、リアルが忙しいため、続きが不安な るりょうりにです。

さて、お約束しました、第二話です!

今回もバッドエンドは、カニバリズム ですので、耐性の無い方は、ご遠慮ください。

また、前回と違って『-前編-』『-後編-』と、二つのスレを使って公開しております
したがって、続きはそのまま下のスレをご覧ください。


では…。(o・・o)/

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「妖魔狩人~~~~っ!!?」


ここは田畑に囲まれた村の一軒家。
ここの二階に凛の部屋がある。
「なかなか清楚でいい部屋だ。霊的にも悪くないね。」
机の上に立ち、部屋の中を見渡す金鵄。
凛はというと、窓際にあるベッドの上で外を眺め、考え事をしていた。
妖魔狩人…か・・・・。
短い息を漏らす。

ここまでの経緯はこうであった。

森の中で妖木妃と呼ばれる中国妖怪から、日本の霊鳥…金鵄を守った凛。
その凛が持つ霊力の資質に驚いた金鵄は、妖魔狩人となって、自分の代わりに妖木妃を倒し、村を日本を守ってくれと言い出したのだ。
「ちょ…ちょっと待って!」
慌てて話を制す、凛。
「それより一旦場所を変えないかしら?森の中だし、それに……」
「それに?」
「わたし、先程の攻撃で服が焼け落ち下着姿だから。このままじゃ…ちょっと。」
「僕は何とも思わないけど。」
「貴方が思わなくても、私は困るのよ!」
「ふむ、たしかに人間は自分の裸体を見られるのを恥ずかしがる生き物だったね。わかった!」
そう言って金鵄は嘴で、自らの羽を2~3本抜き取った。
それを凛の体の上に乗せ、金色の光を放った。
眩しい黄金の光が凛を包む。その眩しさに目を覆う凛。
数秒で光は静かに消えていった。
ゆっくりと目を開くと・・・・
「え…え…っ!? なに…この服…!?」
自らの目で、手触りで、身体に装着された衣類を確かめる。

全身、『黒』をベースにしたカラーリング。
肩口に羽のようなフリルのついた、ノースリーブ。
ネックバンドに、大きめのリストバンド。
プリーツっぽいスカパン。
革のブーツ。

「ゴスロリ服!?」


妖魔狩人 若三毛凛 if 第二話(1)


「うん、この時代の少女の戦闘服だろ、ソレ。本やテレビというもので見ていたから間違いないと思うけど。」

金鵄…、それアニメやマンガじゃないの?
ていうか、戦闘服?

「そうだよ。妖魔狩人になったら、妖怪達と激しい戦闘になる。
 その服は僕の霊力の篭った羽で編んであるから、軽くて…かなり防御力があるよ。」

わたし、まだ妖魔狩人になるとは言っていないのだけど。

「さて…たしかに君の言うとおり、ここで話をするのもなんだし、君の家にでも行こうか。」

こうして、ちょっと強引な金色の霊鳥…金鵄と共に自宅に戻ったわけだけど、帰ったとたん母から
「凛、何度も千佳ちゃんから電話が掛かっているわよ。」
と、呆れた声が。

忘れていた! 千佳の家に行く途中だったわ。

「もしもし…」
「ちょっと凛~っ、アンタ…何しとっとぉ!? あたし、ずぅ~っと待っとっとだけんねーっ!」
鼓膜を破る勢いで、独特の方言混じりの音波が・・・・。
「ごめんなさい、今日…ちょっと行かれなくなったの。」
「なんでよー!? あたしの宿題答え合わせ、どげんすっとぉ~っ!?」
いや、それ…答え合わせでなくて、丸写しでしょう?
「とにかく、ごめんなさい。明日、必ず行くから…。」
「…んもぅ。じゃ、明日ねー、必ずやけん。シュークリーム用意して、待っとるよ。」
やっぱりシュークリーム用意していたのね。
正直面倒くさいけど、それがあるなら行く価値はあるか。
「わかった。それじゃ、また明日。」
ふぅ…。
部屋に戻り、ベットに身を投げ出し大の字になる。
窓から外を眺めていると、今日あった事がまるで嘘のようだ。
「へぇーっ、君は弓を射るのかい? 武器としては丁度いい。」
金鵄が部屋の隅に立てかけてある和弓に目をつけた。
「それ、部活で使っている弓だけど?」
「弓なら、君の霊力を一点に集中して放つ事ができる。それと知っているかい? 僕のご先祖様の話。」
「わたし、貴方に会ったのも今日が初めてだし、貴方の種族の事、見たこともなければ、聞いたこともないわ。」
「僕のご先祖様、初代金鵄は、神武天皇の弓に止まり、勝利に導いたと言われている。
 これは、弓に霊力を宿したためだけど、それだけに僕の一族は弓とは相性がいいんだ。」
金鵄はそう言うと、弓に止まり光輝いた。
「凛、君も弓に触れてくれないか!」
え…っ!?
ベットから起き上がり、その手を弓に当てた。
すると凛の身体からも眩い光が。
凛から放たれた光は、金鵄の光と交わり光は更に輝きを増していった。
「これでいい。これでこの弓は君の霊力を矢として放つ事ができる。普通の弓より妖怪に対して、高いダメージを与える事ができる。
 急所を狙えば、一撃で妖怪を倒す事も可能だ。」

人の部活道具を断りもなしに、殺人…いや殺妖怪武器にしてしまったよ。

「これで、武器と防具も揃ったし、いつでも妖怪相手と戦えるね。」

だから、まだ…妖魔狩人とやらをやるとは言っていないのだけど…。
どうしてもこの金鵄は、わたしを妖魔狩人にしたいらしいわね。

「いくら妖怪相手でも、誰かと争ったり、戦ったりするのはあまり好きでないの。」
凛は再びベットに横たわると、呟くように言った。
「そうかい……。」
さすがに金鵄もそれ以上、その件を口に出すのをためらう。
そんな時・・・・。

「凛~~っ、隣の優里ちゃんが来たわよ~~っ!」
階段下から母の声が響く。

え…っ、優里お姉さん!!

珍しく音速のスピードで凛が飛び出した。
一気に階段を駆け下り、玄関先へ飛び込む。
「こんにちわ、凛ちゃん。」
「こ…こんにちわ、優里お姉さん♪」
おそらく、滅多に見ることの無い、凛のハイテンションバージョン。
その理由は、玄関先に立っている【女子高生】にある。
【高嶺 優里】、山を隔てた街、丘福市の高校に通う17歳。
日の光で山吹色に輝くロングヘア。
まるで女神のような、優しい微笑み。
10人の男性がすれ違ったら、最低9人は振り返ると思われる。
優里の真似をしてロングヘアにもしたが、無愛想に近い無表情な自分にまるっきり似合わないと、サイドテールにした苦い経緯がある。

しかし、凛が優里を憧れている理由・・・いや、尊敬している理由はそれだけではなかった。
凛は幼い頃から霊感能力がある。
それが原因で、友達や大人達から嘲笑され、気味悪がられ、本来なら心が折れ人間不信に陥っていただろう。
だが、ただ一人だけ凛の言葉を真剣に聞き、受け入れてくれた人がいた。
五つ年上の女の子…『優里』だ。
凛が友達に馬鹿にされた時は、優里が怒ってくれた。
凛が大人達に嘲笑された時は、優里が庇い励ましてくれた。
だから凛にとっては、実の姉のように尊敬している存在なのだ。
そんな優里がたまにこうして誘ってくれる。
凛のテンションが上がらないわけがない!

「凛ちゃん、時間ある? 帰りがけにスイーツを買ってきたんだけど、うちへ食べに来ない?」
「ハ…ハイッ♪」
瞬速で返事をすると、「お母さん、ちょっとお姉さんの家に行ってくる!」と靴を履き始めた。
「じゃ、私は先に帰って用意しておくね。」
優里は微笑んで先に立ち去っていった。
そんな優里が見えなくなるのを見計らったように…
「凛、僕もついて行って、いいかい?」と耳元で声が。
「ダメよ。他人に貴方の姿を見られたら、何て言うの!?」
「それは大丈夫。僕は以前にも言ったが、霊力で実体化している。逆に言えば、霊体化すれば、誰にも姿を見られることはない。」
「・・・・・・・・・。」
「君やこの村の日常を知っておきたいんだ。ヤツ…妖木妃は絶対にこの村を襲ってくるからね。」
「わかった。でも、絶対に誰にも見つからないようにね。」
「わかっているよ。」
凛と霊体化した金鵄は、隣の高嶺家へ向かった。


凛の家とは違い、割と洋風なデザインのリビング。
洒落たテーブルの上には、ショートケーキと紅茶が並んでいる。


妖魔狩人 若三毛凛 if 第二話(2)


「どう? 新発売のを買ってきたんだけど…?」
「とても美味しいです。少し大人っぽい味なんですね。」
「うん、隠し味でリキュールが入っているみたい。」
たしかにケーキは美味しいが、憧れのお姉さんと一緒に食べるから、余計に美味しい。
今ここに、年に何度見れるかわからない、凛の笑顔があった。
「そう言えば、さっきから気にかかっていたんだけど…凛ちゃんのその服?」
ブッ…! 予期せぬ所を突かれ、思わず紅茶を吹きこぼすところだった。
「ちょ…ちょっとした気分転換と思ってください…。」
まさか、霊鳥が編んだゴスロリ服とは言えない。
「そうそう、おばさんはまた泊りがけで取材ですか?」
とりあえず、話題を変えて…。
「そっ! 三日前からね。今日辺り帰ってくるとは連絡があったけど…。」
優里の母【美咲】は、丘福市でローカルテレビ局のキャスターをしている。
その為、取材で家を数日空ける事もざらにあるのだ。
美咲が留守の時は、優里が家事を行なっている。そんな女性らしさも凛の憧れの一つだ。

ガチャガチャ…!!

玄関からノブを回す音が聞こえた。
「あ…、おばさんが、帰ってきたのでは…?」
「待ってーっ、すぐ鍵を開けるから~っ!」
そう言って優里が立ち上がった瞬間…。

グァシャーン…!!と激しい音が玄関から鳴り響いた。

「な…何…っ、今の音…!?」
「優里お姉さん、行かないで!」
嫌な気を感じる。邪悪な…、そう…あの妖木妃に感じたような気…。

グゥゥ…ッ

獣のうめき声のようなものが、ゆっくりとこっちへ向かってくる。
さすがに異様な気配を感じたのか、優里は凛を庇うように、その前に立ちふさがる。

グフゥゥゥ…

ついに、リビングに入ってきた獣のような声の持ち主…
「お…お母さんっ!?」
思わず優里が声を上げ、立ち寄ろうとする。
「違う! おばさんだけど…おばさんじゃありません!!」

たしかに見た目は優里の母…美咲なのだろう。
だが、本物の獣のように全裸姿。
荒々しく乱れきった髪。
鋭く伸びた、爪。
耳まで裂けているような口。
なにより、金色に光る瞳…。
どう見ても、人間とは思えない。

「ど…どういう…こと!?」
何が起こっているのか理解できないように、身動き一つできない優里。
そんな優里の目の前まで近寄った美咲は腕を上げると、風を引き裂くように一気に振り下ろした!!
「危ないっ!!」
咄嗟に優里に飛びかかる凛。
振り下ろされたその腕…いや、その爪は、飛び込んだ凛の背中を切り裂いた。
勢い余って、大きく床を転がり込む二人。
「イタタ…」
無意識に切り裂かれた背中に手を回す凛。

あれ…?

手探りで触ってみても、背中には服も切り裂かれた痕が感じられないし、痛みも気のせいだったように思える。
どういうこと…?
「たいした防御力だろう?」
金鵄!?
黄金の光と共に、金鵄が実体化した。
「言っただろう、その服は僕の霊羽で編んであるから、高い防御力があるって。」
たしかに並の服だったら、わたしはあの爪で切り裂かれて・・・・。
見た目さえ気にしなければ、ゴスロリ服…様様だ。

あっ!?

そうだ、それよりお姉さんは!?
ふと見ると、優里が傍で倒れている。
「お姉さん…、お姉さんっ!!」
凛は必死に揺り起こす。
「大丈夫、床に頭をぶつけたのだろう。気を失っているだけだ。」
金鵄が脈を確認したような仕草で語った。
「そう…っ。」
よかった。
「それより…金鵄、おばさんは一体どうしたの?」
体制を立て直し、美咲と向かい合う凛。
「どうやら妖怪化しているようだ。」
「妖怪……化…!?」
「そうだ。おそらく妖木妃の仕業・・・。」

「そのとおりよ~ん♪」

新たな人影が姿を現す。
右手に酒瓶を持った、大柄で太めの女。
「あたしの名は、ボンディァォフーニュ。金鵄とか言ったわね…、アンタ生きていたんだ?」
ゴクッ…ゴクッ…。
そう言いながら、酒瓶を口に当てる。
「その女は妖木妃様の術で妖怪になっている。この村も…この国も、全ての人間は妖怪となって妖木妃様の手下になるか、もしくは……」
ゴクッ…ゴクッ…♪

「食料になるだけ!」

アハハハハハハハッ♪

「さぁ…美咲よ、金鵄も…そしてそこにいる小娘達を殺しちゃいなさい。」

シャアアァァァッ…!
美咲が再度、攻撃態勢に入った。

「凛…、想像するんだっ! 君の武器…君の和弓を…!」
「わたしの弓を…?」
言われるままに、自分の愛用の弓を想像する。
すると、その手には、部屋に置いてきたはずの弓が握り締められている。
「な…なぜ!?」
「その弓には、さっき君の霊力を注いだだろう。それによって君の身体の一部と化している。
だから君が想像すれば、どんな場所にいても、一瞬に移動してその手に持つ事ができる!」

わたしの身体の一部・・・・

「さぁ…凛! 今こそ妖魔狩人として、妖怪達と戦うんだっ!!」



① 妖木妃…許せない! 凛は弓を構え、戦う決意をする。
② ダメよ。 たとえどんな力を持っていても、戦いなんかしたくない。凛はその場を離れようとする。


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『-後編-』へ続く。

そのまま、下のスレをご覧ください。

| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 02:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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妖魔狩人 若三毛凛 if 第二話「妖魔狩人『凛』登場!?-後編-」

①→

妖木妃…。
放っておけば、この村の…いえ、日本中の人間が妖怪になるか、もしくは食い殺される…。

凛は静かに目を閉じ、そんな未来を想像した…。

誰かが止めなければいけない!

意を決意したように、目を見開くと…直ぐ様、弓を構えた。
すると、蒼白い光が【矢】の形となって現れる。
「これは…?」
「それは、君の持つ霊力が変化したもの。その矢こそ…君の武器、霊光矢だ。」
「霊光矢……。」
凛はまず、その矢先を美咲に向けた。

ごめんなさい、おばさん……。

一瞬の躊躇はあったが、すぐに気を取り直して弓を射る。

「シャッ!!?」

呆然と立ち尽くす美咲。
その胸には、青白く光る矢がしっかりと突き刺さっていた。
「あ…あ……っ?」
まるで糸の切れた操り人形のように、その場に崩れ落ちる美咲。
しばらく状況が理解できないように、瞳だけがグルグルと辺りを見渡していたが、やがて力尽きたように静かに目を閉じた。

時が止まったように、凛も…そしてボンディァォフーニュも、身動き一つしなかった。
それだけ、その【一矢】が、誰にも予想出来なかった事を物語っている。

「凛っ、次はそっちの妖魔だ!!」
緊迫を打ち消すように、金鵄が叫ぶ。

その声に我を取り戻したボンディァォフーニュ。
懐からフライパンのようなものを取り出し、弾け飛んだかのように凛に飛びかかった!
とっさに弓を構え、霊光矢を放つ凛。
そのためか、矢は狙いを外し、ボンディァォフーニュの右腕をかすめ、天井に突き刺さった。
右腕から、緑色の【血】を流すボンディァォフーニュ。
かすっただけだが、それでも効果はあったようだ。
滴り落ちる血を見ると、みるみるうちにボンディァォフーニュが青ざめる。
「ひぃぃぃぃぃっ!!」
その大柄な姿とは似つかない悲鳴を上げて逃げ出していった。

「追うんだ、凛っ!!」
金鵄の言葉に、直ぐ様後を追う凛。

道へ出ると、数メートル先に走り去るボンディァォフーニュの姿が見える。
今度は慌てずゆっくりと弓を構え、狙いを定める。

シュッ!

光の矢が、ボンディァォフーニュの足を貫いた。

ドサッ!!
大きな身体がその場で倒れふせる。
弓を構え直しながら、駆け寄る凛。

「た…助けてちょうだい……。」
涙を流しながら懇願する、ボンディァォフーニュ。

「・・・・・・・・・・。」
静かに弓を持つ手を下ろす凛。
「凛っ、情けをかけてはダメだぁ!!」
金鵄が叫ぶ!
「遅いわぁっ!!」
ボンディァォフーニュは、一気に飛び起き、フライパンを横に薙ぎ払った。

ズサッッ!!

小さな凛は、軽く吹き飛んでしまった。

「アハハハハハッ♪
やっぱり人間の小娘~っ、すぐに引っかかる。たわいもない♪」

「凛ーっ!!?」

「大丈夫。」
静かに立ち上がる凛…。
「とっさだったけど、弓で防いだし、それにこの服の防御力が高いお陰もあって、たいして怪我もしていない。」
その目は、熱く…そして冷静に敵を見据えている。

―違う…。服の防御力だけのせいじゃない…。―
―いくらあの服の防御力が高くても、妖魔の至近距離攻撃にあそこまで耐えられるはずは無い。―
―凛の高い霊力が、あの妖木妃の攻撃から身を守ったように、今回もダメージを軽減しているんだ。―

「こ…小娘…、お前は一体…何者なの……?」

「わたしは、妖魔狩人……。 妖魔狩人、若三毛 凛!!
お前たちの野望は、わたしが打ち砕く!」


妖魔狩人 若三毛凛 if 第二話(3)


「妖魔…狩人……?」
ボンディァォフーニュの言葉はここで終わった。
なぜなら、その胸には一本の光の矢が射抜いていたからだ。

ボンディァォフーニュの身体は、その場に倒れると、黒い霧が晴れるように消えていった。

しばらくその消えざまを見つめていた凛。
ふと我に返ったように、「おばさんは…!?」と家の中へ駆け込んでいった。

リビングで倒れている美咲を覗き込むように見つめる凛。

「残念だけど凛、君の霊光矢は僕の予想通り威力が高い。妖怪化した彼女は、もう息を引き取っているよ。」
金鵄が慰めの言葉をかけた。
だが…
倒れている美咲の手が、ピクリと動いた!
「おばさんっ、しっかり…! おばさんっっ!!!」
凛が必死に美咲の身体を揺すり起こす。
「う…うう…ん…。」
美咲がゆっくり目を開く。
しばらく呆然としていたが、やがてその黒い瞳が凛を見つめると、
「凛…ちゃん…? 私、どうしたのかしら…?」
と静かに起き上がった。

先程までの長く鋭い爪も、裂けたような口も、金色に光る瞳も全て無く、いつもの美咲に戻っている。

―どういう事だ? 凛の矢はたしかに急所を貫いたはずだ。しかも、人間に戻っている…!?―

金鵄の驚きを見抜いたかのように凛は微笑みながら、こう語った。
「わたしは矢を射る時、こう願ったの。 おばさんが人間に戻りますように…と。」
微かな笑みだが、そこには心から喜んでいる凛の笑顔であった。

―願った…? それだけで? いや、この子はあの一瞬で霊力をコントロールし、浄化の力を操ったのか?―

「うう…ん…、り…凛ちゃ…ん…」
優里も意識を取り戻したようで、ゆっくり起き上がる。
「お姉さん、大丈夫ですか?」
「う…うん…、ちょっと頭を打ったようだけど…、それより…お母さんは…?」
そこまで言うと、微笑んでいる美咲の姿が目に入ったようだ。
「お母さん!!」
ゆっくりゆっくり歩みより、母子は力強く抱き合った。
「ごめんなさい優里…、私あまり覚えていないんだけど、何か貴女達に迷惑をかけたようね。」
「いいの! 元のお母さんに戻ってくれて…それだけでいい!」

そんな母子を邪魔してはいけないかのように、凛は何も言わずに高嶺家を後にした。
その顔は満足気で、そして…もう一人前の【戦士】の顔になっていた。

―若三毛凛…。凄い逸材だ! この子なら妖木妃を倒し…この国を守ってくれる!―



第三話へつづく(正規ルート)


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②は>>続きを読むをクリックしてください。

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| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 02:26 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

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妖魔狩人 若三毛凛 if 第一話「プロローグ」

こんばんわ。

ちょっと夏バテ気味ですが、その割には予定入れまくりの るりょうりに です。


久しぶりに創作更新です!


ですが、「みら!エン」ではありません。
前回更新でチラッと書きましたが、SSを書いてみました。

私は殆どSSを書いたことがなく、たまに書いても不評ですが、今はこういう形でもいいからモチベーションを上げないと、一生創作更新はできないと思いますw

そんな訳で、下手なSSでも良いという方は読んで頂ければ幸いです。


ただし!!


この物語、基本的に状態変化よりカニバリズムネタがメインとなります。
今回の第一話も、状態変化はなく、食材扱いです。
ですから、ソレ系に耐性のある方のみ、お読みください。


尚この物語、展開が分岐型になっております。

①・②と展開が分かれていますので、その点を注意してお読み下さい。

では、また後ほど・・・・・。


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暑くなってきたな…。

5月だというのに、燦々と照らす日差しのせいで、全身に汗が滲む。
白いハンカチで額の汗を拭いながら、凛はそう呟いた。

ゴールデンウィークの真っ只中、宿題の答え合わせをしようとクラスの友人…千佳から、急に連絡が入った。
答え合わせと言ったって、きっと千佳は全然やっていないだろう。
ただ凛の宿題を写すのが、千佳の言う答え合わせなのだ。
今までだって、ずっとそうだった。
要領のいい千佳とは対照的に、いつだって損な役回りが多い。
なぜそんな日常になったのか、凛は薄々気付いている。
口数が少なく、感情表現もあまり出さない。
何かに積極的なわけでもなく、でも…頼まれたら断りきれない。
クラスでも一人でいる事が多く、今日だって外出なんかしないで、家で本でも読んでいた方が、よほどいい。
良く言えば、年齢の割には落ち着いた女の子。
悪く言えば、どこにでもいる、ちょっと内気な女の子だ。

路肩に生えている雑草が、さわさわと騒めく。
すぅーと、心地よい風が身体を吹き抜ける。
凛のトレードマークとも言える、黒く長めのサイドテールがふわりと風になびいた。
少しの間足を止め、目を閉じ吹き抜ける風を感じ取る。

気持ちいい。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第一話(1)

ゆっくりと目を開き、見慣れた道のりを眺める。
周りを山々に囲まれた、小さな村の農道。
車が通る事も殆どない。
あと10分も歩けば、千佳の家につく。

「先を急ごう…。」

家につけば、冷たい麦茶の一杯くらい出るだろう。
そこでゆっくり涼めばいい。
おそらく千佳特製のシュークリームも出ると思う。
千佳はスイーツ作りに関しては、凄い腕前なのだ。
特にシュークリームは、カスタードクリームの味付けが絶妙で、下手な売り物よりずっと美味しい。
もっとも、そういう美味しい思いがなければ、わざわざ千佳の為に家にまで出向きたくないけどね。

まだ12歳だが、妙に大人びた冷めた眼差しで目的地付近を見定め、再び歩みはじめた。

しばらくして凛は、背筋がヒヤリとするような気配を感じ足を止めた。
左手にある森の手前で、何者かが立っている。
ロングヘアーで、最近流行りのワンピースを着こなした、若い女性。
20代前半くらいだろうか?
まるで案山子のように身動き一つせずじっと立ち尽くし、凛を見つめている。
よく見ると、若々しいはずの顔にはまるで血の気が感じられず、それどころか、額からかなりの血が滴り落ちている。

またか…。

たしか…2~3日前に隣町から来た車が、この辺りで大事故を起こしたって村の人達が言っていたな。
運転していた若い男性と女性が亡くなったとか。

「ねぇ、ここはもう…貴女の住む場所じゃないんですよ。自分の死を受け入れてください。」
凛は女性に向かって、悟らせるように話しかけた。
若い女性は、しばらく凛を見つめていたが、やがて霧が蒸発するように静かに消えていった。
女性が消えていくのを見納めると、凛は短い溜息をつく。

凛が口数が少なく、感情を表に出さなくなったのも、実はこの力が原因なのだ。

霊感体質。

凛は幼い頃から、この力を持っていた。
子供の頃は、霊を見るたび恐怖し、泣き喚きもした。
親や友達、村の人達にも、霊が見える事を話もした。
だが、大人たちの反応はいつも同じだ。

見間違いだよ。
気のせいだよ。
怖い…怖いと思っていると、なんでもそんな風に見えるんだよ。

霊体が見えない大人達は、誰一人信じようとしなかった。
友達も同じだ。

どこにそんなのがいるんだよ?
嘘つき!

大人と同じように信じない子もいれば、

なんか…凛って薄気味悪い。
何かに摂り憑かれているんじゃないの?

と、気味悪がって離れていく子達もいた。

言っても誰も信じてくれない。
言えば言う程、わたしが悪くなる。

そうした経験を繰り返すたび、凛は次第に口数の少ない子に育っていった。
最初は怖かった霊の姿も、何度も見るうち見慣れていき、恐怖を含め感情もあまり表にでなくなってきた。
無口で無表情な少女。
今の凛になったのは、この霊感体質のせいだと言っても過言ではない。
でも…いい。
こんな生活も、もう慣れた。
たしかにこんな自分は正直、あまり好きではない。
でも、そこまで嫌いでもない。
わたしはまだ中学生になったばかり。
とりあえず今は、勉強に励んでおこう。
周りで何と言われようと、やるべき事さえやっておけば、きっと将来役に立つことがある。

そう…きっと。

心の中で気を取り直し、先へと進む凛。
もうじき千佳の家に着く。
そう思った時だった。

ぞくっ!!

一気に悪寒が走った。
さっきまで汗すらかいていたのに、いつの間にか全身に鳥肌が立っている。
寒気なんてものじゃない。
まるで心臓に氷の塊を押し付けられたような感覚。
どき…どき…
激しい鼓動が聞こえる。
今まで何度も霊気を感じ、身の毛のよだつ思いはした事がある。
でも、そんなのとは何か違う。
もっと、邪悪な…、霊気とはまた違う気配。
「な…なんなの…、この感じ…!?」
身震いをしながら辺りを見渡してみる。

どこ…?

来た道を振り返りながら、森へと目をやってみる。
先程とは反対方向の森から、それは感じられた。

………。

その方向を見つめているだけで、口の中が乾いていく。
間違いない。
何か、悪意の塊のような…、それでいて大きな気。

でも、待って…?

もう一つ、何か気配を感じる。
邪悪な気よりはかなり小さいけど、清らかで…光のような気?。

どうする?

どうするって、何を…?

もしかして、わたしはそれを確かめたいと思っているの?
これほどの悪意の気だよ…。
見に行って、どうするのよ?

でも……。

久しぶりに感じる、激しい心の迷い。
凛の頭の中は、すっかり混乱していた。
にも関わらず、身体は初めて経験する好奇心を抑えきれなかったのだろう。
凛の意識とは関係なく、その足は森の中へ入っていった。

薄暗い森の中を引き寄せられるように進んでいく。

どきどきどき…。

明らかに、鼓動が早まっている。
同時に、冷水のような汗が、全身を覆っているのもわかる。

「あ……っ。」

足を止めたその先に見えるもの。

そこには一人の女性がいた。
それは、妖艶な佇まいの美女…
深い森のこぼれ日に輝く、禍々しい花の髪がざり。
日本のそれとは違う、中国の皇帝貴族のような服装。
妃…一言で著せば、まさにそれだ。
そして、自信に満ち溢れた冷たい眼差しの先には、一羽の鳥の姿が。

その鳥は落下したかのように、地面の上で身体を横たわらせ、苦しそうに羽根をばたつかせている。
だが、驚くのはそこでは無い。

その鳥の大きさと色だ。

鷲…?鷹…?
大型の鳥のようだが、どちらかと言うと鷹に近いようだ。
しかし問題なのは、その色。

その身も、大きな羽根も、輝くような金色なのだ。

本好きの凛だが、そんな鳥は今までどの文献でも見たことがない。
その美しい金色の鳥は怪我をしているのか? 見るからに弱りきっている。
そして必死に羽根をばたつかせ、立ち上がろうとしている。

ニヤリ…。

妃は冷たい笑みを浮かべると、手のひらに黒い炎の塊のような球を浮かび上がらせた。
それだ。
先程から感じ取れる冷たく大きな邪悪な気配。
それが、妃から…、そしてその球からハッキリと感じ取れる。

「終わりだ。」

妃はそう呟くと、黒い球を金色の鳥に向けて放った。

「これまでか…。」

先程まで必死に立ち上がろうと羽根をばたつかせていた金色の鳥だったが、まるで覚悟を決めたように身動きするのを止めた。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第一話(2)



*どうなる?*


① 凛は考える間もなく、金色の鳥を庇う。

② 凛は恐怖に足がすくみ、見過ごしてしまう。

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| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 20:43 | comments:9 | trackbacks:0 | TOP↑

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