2016.02.20 Sat
妖魔狩人 若三毛凛 if 第19話「 決戦!中国妖怪軍団 -中編-」
「話の途中ですが、新たな情報が入手できましたので、いいでしょうか?」
いつの間にか入室していた妖怪セコが、見計らったように口を開いた。
「どうした、セコ?」
「今現在、柚子神社近辺では約百五十匹ほどの中国妖怪が集結。さらに丘福港にも、人間に紛れて入国した妖怪多数。」
「ひ……百五十・・・!?」
「さらに港にも・・・!?」
「どうやら、あまりゆっくりはできないな・・・。」
皆の重苦しい空気の中、セコは更に続けた。
「あと昨日。柚子小学校の女児三名と、所轄の女性警察官が行方不明。その背景にはムッシュ・怨獣鬼の姿が目撃されております。」
「ムッシュが・・・!?」
セコの報告に、凛は思い出したかのように驚きの声を上げた。
「そういえば……昨日ムッシュが担いでいた籠の中に、それらしい影が・・・!? まさか、あの中に・・・!?」
居ても立ってもいられなくなった凛は叩き払うように襖を開け、部屋から飛び出そうとした。
「待ちなさい、若三毛凛っ!!」
即座に止めにはいる瀬織。
「セコの報告どおり柚子神社への道のりには、百五十以上の敵が待ち構えている。まして、相手は妖木妃に次ぐ実力者、ムッシュ・怨獣鬼だ! お前では勝てん!!」
その言葉に凛は鬼のような形相で瀬織を睨み付ける。
「勝てる、勝てないの問題ではありません! 今……助けに行かないと、確実にその子たちは喰い殺されてしまいます!!」
「気持ちは判る。だが、勝てなければ助けようがないだろう!!」
「敗れても、子どもたちを助けることができれば・・・!!」
「お前が敗北して倒れたら、誰が妖木妃を倒すのだ!?」
どちらも一歩も引かず、睨み合ったままの二人。
「心配するなっちゃ、凛・・・。ウチがムッシュをぶっ倒してやんよ!!」
サムズアップで微笑みながら、割って入る千佳。だが・・・
「お前では、尚更勝てん!」
…と、それに対して即答の瀬織。
「なんや……あんた!? マニトウスワイヤーの時もそうやったけど、ウチに喧嘩売っとん?」
「斎藤千佳。お前と喧嘩などする気はないが、わたくしは適当な事を言うつもりもない。今から説明してやるから、よく聞け!」
「……?」
「わたくし自身はムッシュ・怨獣鬼と直接対決したことは無いが、今までの妖魔狩人たちとの戦い。そして、ヤツのそれ以外の行動から考えると、ヤツは『近接戦闘タイプ』であることがわかる。」
「……で?」
「相性的に考えれば、遠距離攻撃タイプである若三毛凛が有利だが、そういった弓や魔法等の攻撃に対して、ヤツは驚くほど勘がいい! 若三毛凛に勝機が薄いのはそのためだ。」
「なるほど・・・。」
「次に斎藤千佳。たしかにお前も近接戦闘タイプだが、ムッシュ・怨獣鬼と比較した場合、力・技・妖力。どれをとってもムッシュ・怨獣鬼の方が上だ。唯一、僅かにスピードだけはお前が上回っているが、それだけで勝てる相手ではない。それがお前では勝てない理由だ。」
瀬織は冷静に、そして厳しく、自身の分析を説明した。
「そ…そんなもん、やってみないと……わからんちゃ……ね・・?」
納得いかないように、千佳が食い下がろうとしたとき・・・。
「……でしたら、ムッシュとは私が戦います!」
襖を開けたままの凛のすぐ目と鼻の先から、しっかりとした口調の若い女性の声が聞こえた。その声の主を見た凛の表情が、まるで太陽光のように明るく輝く!
「優里お姉さんっ!!!」
「ただいま。凛ちゃん!」
そこにはマニトウスワイヤーとの戦い以来、ずっと入院したまま戦列を離れていた高嶺優里の姿があった。
「みんな心配かけてごめんなさい。一日早く退院できたので、まっすぐこちらに来てみたの。」
そう言って、眩しい程の優里スマイル。
「うわっ!凄い美人・・! モデル業界でもやっていけるよ、あの人!?」
そう言って驚くのは、琉奈と涼果。
「あれが北米最強の精霊……サンダーバードを倒したという、白い妖魔狩人か・・!?」
こちらは風花とシュナの二人。
「ムッシュとは一度戦ったことがあります。ですから、彼の実力は誰よりも知っています。」
過信ではない。だが……自信に満ち溢れる優里の表情。
「たしかにわたくし達の中で、唯一ムッシュ・怨獣鬼と互角に戦えるのは、高嶺優里・・・。貴方だけだ。」
さすがの瀬織も、優里の実力は高く評価している。
「では、すぐに子どもたちの救出に向かいましょう!!」
これなら文句は無いでしょ!と言わんばかりに凛が囃し立てる。
「うん。だが・・・・・。」
瀬織はまだ渋い顔をしている。待ち構えている百五十人の妖怪。それでもこちらが不利な状況には変わりない。
そんな瀬織の側にセコはスッと近寄ると・・・
「もう一つ、朗報があります。」
「……?」
「先程祢々さんが、神田川県に到着したという連絡が入りました。それも・・・・」
「ほ…本当か!? それを先に言えっ!!」
珍しく飛び上がらんばかりの表情を見せる瀬織。
「若三毛凛、そして……みんな。急ですまないが、今すぐ柚子神社へ向うぞ!!」
「なんやねん? さっきまでと、えらい……手の平の返しようは・・!?」
「いいんじゃない? その気になってくれたなら。あたしもさっさと暴れたいしね!」
そう言って、ニコリと微笑む風花。
「あ……っ、ちょっと待ってっ!!」
すぐに部屋を出ようとする皆を呼び止めたのは、涼果。
「ごめんなさい。今すぐ戦闘用の服に着替えるから、ちょっとだけ……待ってて?」
左右森に囲まれた、柚子神社へ通じる一直線の舗装された道路。
「情報では妖木妃。ムッシュ・怨獣鬼。共に柚子神社にいるらしい。」
先頭に立つ瀬織は後に続く皆を見渡して、そう告げた。
瀬織の言葉に頷くと、それぞれが己の役割に応じて分かれていく。
「よし、私も準備OK~っ!!」
身軽な服装に着替えた琉奈は、自身の周りに風を纏わせる。
「日笠琉奈。わたくし達の中で空を飛べるのは貴方だけだ。多少危険であるが、よろしく頼むぞ。」
瀬織の言葉に琉奈はニコリと微笑むと。
「バッチリ、任せておいて!」
そう言うと、そばにいた涼果と抱き合った。
「それじゃ、行くよ!」
琉奈の身の周りを吹く風が、更に激しく竜巻のように舞い上がると、それに吊られるように二人の身体も空高く舞い上がる。そして突風のような速さで、柚子神社目指して一気に飛び去って行った。
空中を飛行しながら森を見下ろすと、神社へと続くアスファルトの路面に、身動きできないのでは?と思えるほど密集した妖怪たちの姿が見える。
「あれが百五十匹の中国妖怪かぁ!? まともには相手にできないよね!」
改めてその数の多さに、背筋が凍りつくような寒気を感じた琉奈。
「琉奈、前から敵……。気をつけて!!」
その時、脇に抱えられていた涼果が驚きの声を上げた。声に従い前方を見定めると、二匹の妖怪らしき姿が、こちらに向かって空中を突き進んでくる。
一匹は飛虎人(ひこじん)。大きな虎のような姿だが、翼が生えており、更に二本の前足は人間の手のようになっている。
もう一匹はカコクといい、大きな猿のような姿。頭部は普通に猿の頭だが、身体は皮も肉もなく骨のみ。脇腹あたりから蝙蝠のような翼が生えているという、不気味な姿であった。
二匹とも中国妖怪で、しかも人肉や生き肝を好物としている。
「瀬織さんの予想通り、敵の中にも空を飛べる奴がいたね。」
「うん。そしてあたしたちの役目は、空飛ぶ妖怪を集団から引き離しながら、地上の敵を空中から掻き回すこと。」
そう言って琉奈の脇に抱えられている涼香は、自身の髪の毛を数本引き抜いた。
ふぅーっ!! 強く息を吹きかけると、それは数匹の妖怪赤子へと変わる。赤子たちはそのまま落下し、地上で蠢く妖怪たちに襲い掛かる。
一人一人はたいした力もない赤子だが、今回の目的は攻撃ではなく撹乱。引っ掻き噛付きをしては逃げ、それを次から次へと繰り返す。
「鬱陶しい!! なんなんだ…っ、このガキのような妖怪は・・!?」
地上で多くの中国妖怪たちが、赤子たちに振り回されている。
「これは妖怪赤子・・!? チ…ッ! あの時の姑獲鳥(こかくちょう)の仕業か・・・?」
自ら集団の中に入って、指揮をとっていた幹部妖怪……白陰。翻弄されている部下たちの姿を見て、己自身が妖怪に転生させた涼果の姿を思い浮かべた。
もちろん、涼果の目にも白陰の姿は写っていた。
「あたしは、アイツに騙され妖怪にされたことがある。アイツだけは、あたしの手で倒したい!!」
そう呟く涼果を更に強く抱きしめる琉奈。
「涼果の敵は私の敵。一緒に力を合わせて倒そうぜ!」
「琉奈……? ありがとう・・・。」
「その前に・・・・!」
そう言うと、琉奈は一気に急反転。勢いよく襲いかかってきた妖怪カコクの攻撃を避けた。そして、空かさず右手を振り払う。
シュッッッッ!!
目に見えない空気の流れが、カコクの身体の一部を切り裂いた。
琉奈が鎌鼬から受け継いだ術は、空中飛行だけではない。真空波を飛ばして敵を切り裂くという、鎌鼬独自の攻撃妖術……真空切断をも受け継いでいる。
……と言っても、琉奈自身はたいした妖力も持ちあわせていない普通の人間の少女。したがって、その攻撃の威力も致命傷を与えるには程遠いものであるが。
「まずは私たちの役目。空を飛べる妖怪を少しずつ引き離していこうぜ!」
その都度真空波を飛ばして威嚇し。琉奈は妖怪二匹を引き連れながら、少しずつ敵の集団から離れていった。
その頃、地上に蠢く妖怪たちの先頭集団は、突然の猛吹雪に襲われていた。
「なんだ……この国は!? 先程までクソ暑かったのに、なんで……急激に吹雪いたんだ!?」
荒れ狂う吹雪により視界も悪く、わずか1~2メートル先すら状況が把握できない。もちろんそればかりでなく、吹き荒れる冷気は妖怪たちの身体を凍てつかせていく。
「……ったく、どうなっているんだ!? このままだと凍え死んでしまうぜ!!」
その場にいる妖怪たちは対処法もわからず、それぞれが不平を叫んでいた。
「おそらく、この日本にも、雪や冷気を操る妖怪がいるのでしょうね・・?」
そう言ったのは、袖なしの白い中国ドレスに白いマントを身にまとった若い女性。
白い肌に黒い髪、整った鼻筋に涼し気な瞳。妖怪『雪妖』、中国の雪女である。
「この程度の吹雪、ワタシには通用しないわ。」
ヒュッッン!!
まるで目の前の白い大気を切り裂くように、左腕を垂直に振り下ろした。
「おおっ!? 雪妖の目の前だけは外の景色が・・・!?」
他の妖怪が驚く中、彼女はゆっくりと白い世界から外へと足を踏み出していく。
だが・・・・。
ゴォォォォォォッ!!!
そんな彼女を激しい炎の渦が襲った。
「な…な…なにっ!?」
慌てて後退し、吹雪の中へ戻っていく雪妖。
「ふふ~んっ!! あたしみたいな雪の妖怪が居ることは、当然想定していることだよ~っ!」
吹雪の外で、雪女郎こと風花がニヤリと微笑む。
「でも・・・、私の攻撃・・フランメヴィアベル(炎の渦)が・・・かわされてしま・・・った・・・。」
そう言ってションボリしているのは、サラマンダーことシュナ。
「いや、むしろその方がいいんだって! 下手に吹雪の外に出ると、攻撃の的になるって解釈してくれるだろ? あたしたちの役目は敵を倒すことでなく、一箇所に釘付けすることなんだからぁ~っ!」
風花はそう言いながら、シュナにウインクする。
そんな風花に対し、シュナは少し寂しげに・・・
「風花は・・・いいよね。身も・・・心も・・・強いから・・余裕が・・ある。」と返した。
「え……っ!?」
「私は・・・これだけ・・の・・敵を相手にして・・・、今・・・凄く怖い・・・。正直・・・言って・・、一人でも・・・・数を・・減らしたい・・・の・・・。」
今も槍を手に身構えているシュナ。だが、たしかにその身体はガタガタと震えていた。
そんなシュナを見て、風花は優しげに目尻を下げると
「あたしだって怖いよ。いくら妖魔狩人たちに恩義があるからとは言え、ホントにここまで付き合う必要があるのかな~ぁ?って思っている。だって……、下手すれば殺されるもんね。」
「風花……?」
「でもさ……、中国妖怪の目的って日本の支配だろ? そうなれば、あたしたち日本妖怪だって、何をされるかわからない。良くて……手下。最悪……皆殺し!ってとこだろうね。」
「・・・・・。」
「だったら他人事じゃ……ないじゃん!? 恩義が無くても、ここは動くべきかな~ぁって、思っている。」
「風花・・・・。」
そう言う風花に、シュナも優しげに微笑み返す。
「でも……よく考えたら・・・私。日本妖怪・・・じゃ・・・ないから、関係・・ないかも・・・?」
「おいーっ!!?」
その間、凛と優里。そして千佳と瀬織の四人は、少し離れた森の中を柚子神社に向かって駆け進んでいた。
「大丈夫……千佳? わたし、下りようか?」
そう言う凛は、千佳の背中におぶってもらっている。
「千佳さんは凄いよね!? 凛ちゃんをおぶったままで、私と同じ速さで走っているんだから!」
すぐ脇を並んで走る優里。かなり遅れて瀬織が続く。
「大丈夫っちゃよ。ぶっちゃけ……凛が直に走るより、ウチがおぶっていった方が速いと思うし。それに・・・・」
「それに・・?」
「こうしておぶっていると、手に凛の小さなお尻の感触が伝わってきて、そりゃあ~もう~っ・・・! うひぇぇぇっ♪」
「千佳。あんた……着いたら、とりあえず殴るね。」
「うん? この先で森が途切れているわ。おそらく……そこが参道かも!」
優里の言葉通り、途中森が途切れると、そこには地肌の見える石畳。崩れて原型の判らない鳥居。たしかにそこは、柚子神社の参道に入っていた。
一歩一歩先へと進むたびに重く圧し掛かる不快な波動。凛、金鵄の二名は、明らかにその波動に覚えがあった。
柚子神社は村の小さな神社。歩けば一分も掛からず拝殿へとたどり着く。
重苦しい不快な波動は、間違いなくそこから放たれている。
「気をつけるんだ……みんな。奴はそこにいる。」
そんな金鵄の警告の言葉が終わるのを待っていたかのように・・・
「美味そうな、子兎の匂いが漂ってくるわ・・・。」
拝殿の中から、低く重い声が流れてきた。
ギィィィィィィィッ・・・
きしみ音と共に扉がゆっくりと開く。
華やかな衣装に、青白い肌。その存在を象徴するかのように、花弁の多い大きな花の髪飾り。
そこに立っていたのは、今までの敵とは明らかに格の違いを感じさせる絶世の美女。妖木妃であった。
「やはり目覚めていたのね。妖木妃!!」
弓を向け、鋭い目つきで問いかける凛。
「あの時の妖魔狩人と名乗った小娘か……。久しく見ぬうちに、更に霊力が上がっているようじゃな。」
凛とは逆に、まるで数年ぶりに親友と出会ったような、そんな親しそうな目で返す妖木妃。
「そして、なるほど……。白・・。赤・・。青・・・。そなた達が新たに加わった妖魔狩人か? ようこそ、ワシが妖木妃じゃ。」
そう言って不敵な笑みを浮かべながら、優里、千佳、瀬織と順に見渡していく。
「あれが……妖木妃?」
自分たちにとっての最大の敵に初めて出会い、さすがの優里も緊張を隠せない。
ズイッ!! そんな妖木妃の言葉に一歩前に出た人物がいる。
「悪いけど……、ウチはアンタと会うの、初めてじゃないっちゃ!!」
「千佳っ!?」
「・・・?」
「三ヶ月半前……。凛を助けて欲しいと……この神社に願いに来たら、アンタが出てきてウチに変な種を飲ませたんよ! そのせいで妖怪人間になって、凛と戦う羽目になったっちゃ!!」
「知らんな。ワシは今まで何百という人間を妖怪化してきた。そなたみたいな小娘、いちいち覚えておらんわ! それにそなたから発せられている妖力。それは妖怪化人間のものではない。今のお前は妖怪……? いや……半妖か?」
冷たい、まるで虫ケラを見るような目が千佳を刺す。
「あぁ…、半妖っちゃよ! これには色々な事情ってヤツがあったんやけど、でも……ある意味じゃ、アンタに感謝しとるっちゃ!」
「ほぅ…?」
「こうして凛を助けられる力を得て、おめぇーっをぶっ倒せるんやからね!!」
その言葉と同時に、千佳は一気に飛び掛かって行った!
蒸気を発しながら、千佳の鋭い灼熱爪が妖木妃のドテッ腹を貫くっっっ!!
「やったか!?」
思わず拳を握り締める瀬織。
だが…千佳の灼熱爪は、妖木妃の身体まであと数ミリのところでピタリと止まっている。
「ぐぅっっっ!?」
歯を食いしばる千佳のその表情から、自ら攻撃を止めたとは思えない。
そんな千佳の灼熱爪の回りを、金粉のような光が無数に舞い始めた。
「千佳ぁぁぁっ! 妖木妃からすぐに離れてぇぇっ!!」
それを見た凛は、ありったけの声を振り絞るように叫んだ!!
訳もわからず、瞬時に飛び避ける千佳。
「凛ちゃん、金鵄さん。今のは・・・?」
「あれが妖木妃最大の能力……、絶対防御の花粉だ。」
優里の問いに金鵄が答えた。
「ヤツの頭の花の髪飾り。あれは妖木妃に寄生している妖怪生物で、攻撃を受けると宿主を守るために絶対防御の花粉を放つんだ。」
「絶対防御の……花粉?」
「金色に舞う花粉は、物理・魔法・霊力。すべての攻撃を蝕ばみ……消滅させる。あのままだったら、千佳の灼熱爪は完全に消滅させられていた・・・。」
「な…なんてこと!?」
「まずはあの髪飾りを破壊する。それができなければ、妖木妃は倒せない!」
金鵄の言葉に、凛はこぶしを握り締めた。
(それができるのはゲイの弓を預かった、わたし・・・・!)
どうする!?
① 凛は一歩引いて、攻撃の機会を伺う。
② 凛はゲイの弓で、今すぐ髪飾りを攻撃する。
いつの間にか入室していた妖怪セコが、見計らったように口を開いた。
「どうした、セコ?」
「今現在、柚子神社近辺では約百五十匹ほどの中国妖怪が集結。さらに丘福港にも、人間に紛れて入国した妖怪多数。」
「ひ……百五十・・・!?」
「さらに港にも・・・!?」
「どうやら、あまりゆっくりはできないな・・・。」
皆の重苦しい空気の中、セコは更に続けた。
「あと昨日。柚子小学校の女児三名と、所轄の女性警察官が行方不明。その背景にはムッシュ・怨獣鬼の姿が目撃されております。」
「ムッシュが・・・!?」
セコの報告に、凛は思い出したかのように驚きの声を上げた。
「そういえば……昨日ムッシュが担いでいた籠の中に、それらしい影が・・・!? まさか、あの中に・・・!?」
居ても立ってもいられなくなった凛は叩き払うように襖を開け、部屋から飛び出そうとした。
「待ちなさい、若三毛凛っ!!」
即座に止めにはいる瀬織。
「セコの報告どおり柚子神社への道のりには、百五十以上の敵が待ち構えている。まして、相手は妖木妃に次ぐ実力者、ムッシュ・怨獣鬼だ! お前では勝てん!!」
その言葉に凛は鬼のような形相で瀬織を睨み付ける。
「勝てる、勝てないの問題ではありません! 今……助けに行かないと、確実にその子たちは喰い殺されてしまいます!!」
「気持ちは判る。だが、勝てなければ助けようがないだろう!!」
「敗れても、子どもたちを助けることができれば・・・!!」
「お前が敗北して倒れたら、誰が妖木妃を倒すのだ!?」
どちらも一歩も引かず、睨み合ったままの二人。
「心配するなっちゃ、凛・・・。ウチがムッシュをぶっ倒してやんよ!!」
サムズアップで微笑みながら、割って入る千佳。だが・・・
「お前では、尚更勝てん!」
…と、それに対して即答の瀬織。
「なんや……あんた!? マニトウスワイヤーの時もそうやったけど、ウチに喧嘩売っとん?」
「斎藤千佳。お前と喧嘩などする気はないが、わたくしは適当な事を言うつもりもない。今から説明してやるから、よく聞け!」
「……?」
「わたくし自身はムッシュ・怨獣鬼と直接対決したことは無いが、今までの妖魔狩人たちとの戦い。そして、ヤツのそれ以外の行動から考えると、ヤツは『近接戦闘タイプ』であることがわかる。」
「……で?」
「相性的に考えれば、遠距離攻撃タイプである若三毛凛が有利だが、そういった弓や魔法等の攻撃に対して、ヤツは驚くほど勘がいい! 若三毛凛に勝機が薄いのはそのためだ。」
「なるほど・・・。」
「次に斎藤千佳。たしかにお前も近接戦闘タイプだが、ムッシュ・怨獣鬼と比較した場合、力・技・妖力。どれをとってもムッシュ・怨獣鬼の方が上だ。唯一、僅かにスピードだけはお前が上回っているが、それだけで勝てる相手ではない。それがお前では勝てない理由だ。」
瀬織は冷静に、そして厳しく、自身の分析を説明した。
「そ…そんなもん、やってみないと……わからんちゃ……ね・・?」
納得いかないように、千佳が食い下がろうとしたとき・・・。
「……でしたら、ムッシュとは私が戦います!」
襖を開けたままの凛のすぐ目と鼻の先から、しっかりとした口調の若い女性の声が聞こえた。その声の主を見た凛の表情が、まるで太陽光のように明るく輝く!
「優里お姉さんっ!!!」
「ただいま。凛ちゃん!」
そこにはマニトウスワイヤーとの戦い以来、ずっと入院したまま戦列を離れていた高嶺優里の姿があった。
「みんな心配かけてごめんなさい。一日早く退院できたので、まっすぐこちらに来てみたの。」
そう言って、眩しい程の優里スマイル。
「うわっ!凄い美人・・! モデル業界でもやっていけるよ、あの人!?」
そう言って驚くのは、琉奈と涼果。
「あれが北米最強の精霊……サンダーバードを倒したという、白い妖魔狩人か・・!?」
こちらは風花とシュナの二人。
「ムッシュとは一度戦ったことがあります。ですから、彼の実力は誰よりも知っています。」
過信ではない。だが……自信に満ち溢れる優里の表情。
「たしかにわたくし達の中で、唯一ムッシュ・怨獣鬼と互角に戦えるのは、高嶺優里・・・。貴方だけだ。」
さすがの瀬織も、優里の実力は高く評価している。
「では、すぐに子どもたちの救出に向かいましょう!!」
これなら文句は無いでしょ!と言わんばかりに凛が囃し立てる。
「うん。だが・・・・・。」
瀬織はまだ渋い顔をしている。待ち構えている百五十人の妖怪。それでもこちらが不利な状況には変わりない。
そんな瀬織の側にセコはスッと近寄ると・・・
「もう一つ、朗報があります。」
「……?」
「先程祢々さんが、神田川県に到着したという連絡が入りました。それも・・・・」
「ほ…本当か!? それを先に言えっ!!」
珍しく飛び上がらんばかりの表情を見せる瀬織。
「若三毛凛、そして……みんな。急ですまないが、今すぐ柚子神社へ向うぞ!!」
「なんやねん? さっきまでと、えらい……手の平の返しようは・・!?」
「いいんじゃない? その気になってくれたなら。あたしもさっさと暴れたいしね!」
そう言って、ニコリと微笑む風花。
「あ……っ、ちょっと待ってっ!!」
すぐに部屋を出ようとする皆を呼び止めたのは、涼果。
「ごめんなさい。今すぐ戦闘用の服に着替えるから、ちょっとだけ……待ってて?」
左右森に囲まれた、柚子神社へ通じる一直線の舗装された道路。
「情報では妖木妃。ムッシュ・怨獣鬼。共に柚子神社にいるらしい。」
先頭に立つ瀬織は後に続く皆を見渡して、そう告げた。
瀬織の言葉に頷くと、それぞれが己の役割に応じて分かれていく。
「よし、私も準備OK~っ!!」
身軽な服装に着替えた琉奈は、自身の周りに風を纏わせる。
「日笠琉奈。わたくし達の中で空を飛べるのは貴方だけだ。多少危険であるが、よろしく頼むぞ。」
瀬織の言葉に琉奈はニコリと微笑むと。
「バッチリ、任せておいて!」
そう言うと、そばにいた涼果と抱き合った。
「それじゃ、行くよ!」
琉奈の身の周りを吹く風が、更に激しく竜巻のように舞い上がると、それに吊られるように二人の身体も空高く舞い上がる。そして突風のような速さで、柚子神社目指して一気に飛び去って行った。
空中を飛行しながら森を見下ろすと、神社へと続くアスファルトの路面に、身動きできないのでは?と思えるほど密集した妖怪たちの姿が見える。
「あれが百五十匹の中国妖怪かぁ!? まともには相手にできないよね!」
改めてその数の多さに、背筋が凍りつくような寒気を感じた琉奈。
「琉奈、前から敵……。気をつけて!!」
その時、脇に抱えられていた涼果が驚きの声を上げた。声に従い前方を見定めると、二匹の妖怪らしき姿が、こちらに向かって空中を突き進んでくる。
一匹は飛虎人(ひこじん)。大きな虎のような姿だが、翼が生えており、更に二本の前足は人間の手のようになっている。
もう一匹はカコクといい、大きな猿のような姿。頭部は普通に猿の頭だが、身体は皮も肉もなく骨のみ。脇腹あたりから蝙蝠のような翼が生えているという、不気味な姿であった。
二匹とも中国妖怪で、しかも人肉や生き肝を好物としている。
「瀬織さんの予想通り、敵の中にも空を飛べる奴がいたね。」
「うん。そしてあたしたちの役目は、空飛ぶ妖怪を集団から引き離しながら、地上の敵を空中から掻き回すこと。」
そう言って琉奈の脇に抱えられている涼香は、自身の髪の毛を数本引き抜いた。
ふぅーっ!! 強く息を吹きかけると、それは数匹の妖怪赤子へと変わる。赤子たちはそのまま落下し、地上で蠢く妖怪たちに襲い掛かる。
一人一人はたいした力もない赤子だが、今回の目的は攻撃ではなく撹乱。引っ掻き噛付きをしては逃げ、それを次から次へと繰り返す。
「鬱陶しい!! なんなんだ…っ、このガキのような妖怪は・・!?」
地上で多くの中国妖怪たちが、赤子たちに振り回されている。
「これは妖怪赤子・・!? チ…ッ! あの時の姑獲鳥(こかくちょう)の仕業か・・・?」
自ら集団の中に入って、指揮をとっていた幹部妖怪……白陰。翻弄されている部下たちの姿を見て、己自身が妖怪に転生させた涼果の姿を思い浮かべた。
もちろん、涼果の目にも白陰の姿は写っていた。
「あたしは、アイツに騙され妖怪にされたことがある。アイツだけは、あたしの手で倒したい!!」
そう呟く涼果を更に強く抱きしめる琉奈。
「涼果の敵は私の敵。一緒に力を合わせて倒そうぜ!」
「琉奈……? ありがとう・・・。」
「その前に・・・・!」
そう言うと、琉奈は一気に急反転。勢いよく襲いかかってきた妖怪カコクの攻撃を避けた。そして、空かさず右手を振り払う。
シュッッッッ!!
目に見えない空気の流れが、カコクの身体の一部を切り裂いた。
琉奈が鎌鼬から受け継いだ術は、空中飛行だけではない。真空波を飛ばして敵を切り裂くという、鎌鼬独自の攻撃妖術……真空切断をも受け継いでいる。
……と言っても、琉奈自身はたいした妖力も持ちあわせていない普通の人間の少女。したがって、その攻撃の威力も致命傷を与えるには程遠いものであるが。
「まずは私たちの役目。空を飛べる妖怪を少しずつ引き離していこうぜ!」
その都度真空波を飛ばして威嚇し。琉奈は妖怪二匹を引き連れながら、少しずつ敵の集団から離れていった。
その頃、地上に蠢く妖怪たちの先頭集団は、突然の猛吹雪に襲われていた。
「なんだ……この国は!? 先程までクソ暑かったのに、なんで……急激に吹雪いたんだ!?」
荒れ狂う吹雪により視界も悪く、わずか1~2メートル先すら状況が把握できない。もちろんそればかりでなく、吹き荒れる冷気は妖怪たちの身体を凍てつかせていく。
「……ったく、どうなっているんだ!? このままだと凍え死んでしまうぜ!!」
その場にいる妖怪たちは対処法もわからず、それぞれが不平を叫んでいた。
「おそらく、この日本にも、雪や冷気を操る妖怪がいるのでしょうね・・?」
そう言ったのは、袖なしの白い中国ドレスに白いマントを身にまとった若い女性。
白い肌に黒い髪、整った鼻筋に涼し気な瞳。妖怪『雪妖』、中国の雪女である。
「この程度の吹雪、ワタシには通用しないわ。」
ヒュッッン!!
まるで目の前の白い大気を切り裂くように、左腕を垂直に振り下ろした。
「おおっ!? 雪妖の目の前だけは外の景色が・・・!?」
他の妖怪が驚く中、彼女はゆっくりと白い世界から外へと足を踏み出していく。
だが・・・・。
ゴォォォォォォッ!!!
そんな彼女を激しい炎の渦が襲った。
「な…な…なにっ!?」
慌てて後退し、吹雪の中へ戻っていく雪妖。
「ふふ~んっ!! あたしみたいな雪の妖怪が居ることは、当然想定していることだよ~っ!」
吹雪の外で、雪女郎こと風花がニヤリと微笑む。
「でも・・・、私の攻撃・・フランメヴィアベル(炎の渦)が・・・かわされてしま・・・った・・・。」
そう言ってションボリしているのは、サラマンダーことシュナ。
「いや、むしろその方がいいんだって! 下手に吹雪の外に出ると、攻撃の的になるって解釈してくれるだろ? あたしたちの役目は敵を倒すことでなく、一箇所に釘付けすることなんだからぁ~っ!」
風花はそう言いながら、シュナにウインクする。
そんな風花に対し、シュナは少し寂しげに・・・
「風花は・・・いいよね。身も・・・心も・・・強いから・・余裕が・・ある。」と返した。
「え……っ!?」
「私は・・・これだけ・・の・・敵を相手にして・・・、今・・・凄く怖い・・・。正直・・・言って・・、一人でも・・・・数を・・減らしたい・・・の・・・。」
今も槍を手に身構えているシュナ。だが、たしかにその身体はガタガタと震えていた。
そんなシュナを見て、風花は優しげに目尻を下げると
「あたしだって怖いよ。いくら妖魔狩人たちに恩義があるからとは言え、ホントにここまで付き合う必要があるのかな~ぁ?って思っている。だって……、下手すれば殺されるもんね。」
「風花……?」
「でもさ……、中国妖怪の目的って日本の支配だろ? そうなれば、あたしたち日本妖怪だって、何をされるかわからない。良くて……手下。最悪……皆殺し!ってとこだろうね。」
「・・・・・。」
「だったら他人事じゃ……ないじゃん!? 恩義が無くても、ここは動くべきかな~ぁって、思っている。」
「風花・・・・。」
そう言う風花に、シュナも優しげに微笑み返す。
「でも……よく考えたら・・・私。日本妖怪・・・じゃ・・・ないから、関係・・ないかも・・・?」
「おいーっ!!?」
その間、凛と優里。そして千佳と瀬織の四人は、少し離れた森の中を柚子神社に向かって駆け進んでいた。
「大丈夫……千佳? わたし、下りようか?」
そう言う凛は、千佳の背中におぶってもらっている。
「千佳さんは凄いよね!? 凛ちゃんをおぶったままで、私と同じ速さで走っているんだから!」
すぐ脇を並んで走る優里。かなり遅れて瀬織が続く。
「大丈夫っちゃよ。ぶっちゃけ……凛が直に走るより、ウチがおぶっていった方が速いと思うし。それに・・・・」
「それに・・?」
「こうしておぶっていると、手に凛の小さなお尻の感触が伝わってきて、そりゃあ~もう~っ・・・! うひぇぇぇっ♪」
「千佳。あんた……着いたら、とりあえず殴るね。」
「うん? この先で森が途切れているわ。おそらく……そこが参道かも!」
優里の言葉通り、途中森が途切れると、そこには地肌の見える石畳。崩れて原型の判らない鳥居。たしかにそこは、柚子神社の参道に入っていた。
一歩一歩先へと進むたびに重く圧し掛かる不快な波動。凛、金鵄の二名は、明らかにその波動に覚えがあった。
柚子神社は村の小さな神社。歩けば一分も掛からず拝殿へとたどり着く。
重苦しい不快な波動は、間違いなくそこから放たれている。
「気をつけるんだ……みんな。奴はそこにいる。」
そんな金鵄の警告の言葉が終わるのを待っていたかのように・・・
「美味そうな、子兎の匂いが漂ってくるわ・・・。」
拝殿の中から、低く重い声が流れてきた。
ギィィィィィィィッ・・・
きしみ音と共に扉がゆっくりと開く。
華やかな衣装に、青白い肌。その存在を象徴するかのように、花弁の多い大きな花の髪飾り。
そこに立っていたのは、今までの敵とは明らかに格の違いを感じさせる絶世の美女。妖木妃であった。
「やはり目覚めていたのね。妖木妃!!」
弓を向け、鋭い目つきで問いかける凛。
「あの時の妖魔狩人と名乗った小娘か……。久しく見ぬうちに、更に霊力が上がっているようじゃな。」
凛とは逆に、まるで数年ぶりに親友と出会ったような、そんな親しそうな目で返す妖木妃。
「そして、なるほど……。白・・。赤・・。青・・・。そなた達が新たに加わった妖魔狩人か? ようこそ、ワシが妖木妃じゃ。」
そう言って不敵な笑みを浮かべながら、優里、千佳、瀬織と順に見渡していく。
「あれが……妖木妃?」
自分たちにとっての最大の敵に初めて出会い、さすがの優里も緊張を隠せない。
ズイッ!! そんな妖木妃の言葉に一歩前に出た人物がいる。
「悪いけど……、ウチはアンタと会うの、初めてじゃないっちゃ!!」
「千佳っ!?」
「・・・?」
「三ヶ月半前……。凛を助けて欲しいと……この神社に願いに来たら、アンタが出てきてウチに変な種を飲ませたんよ! そのせいで妖怪人間になって、凛と戦う羽目になったっちゃ!!」
「知らんな。ワシは今まで何百という人間を妖怪化してきた。そなたみたいな小娘、いちいち覚えておらんわ! それにそなたから発せられている妖力。それは妖怪化人間のものではない。今のお前は妖怪……? いや……半妖か?」
冷たい、まるで虫ケラを見るような目が千佳を刺す。
「あぁ…、半妖っちゃよ! これには色々な事情ってヤツがあったんやけど、でも……ある意味じゃ、アンタに感謝しとるっちゃ!」
「ほぅ…?」
「こうして凛を助けられる力を得て、おめぇーっをぶっ倒せるんやからね!!」
その言葉と同時に、千佳は一気に飛び掛かって行った!
蒸気を発しながら、千佳の鋭い灼熱爪が妖木妃のドテッ腹を貫くっっっ!!
「やったか!?」
思わず拳を握り締める瀬織。
だが…千佳の灼熱爪は、妖木妃の身体まであと数ミリのところでピタリと止まっている。
「ぐぅっっっ!?」
歯を食いしばる千佳のその表情から、自ら攻撃を止めたとは思えない。
そんな千佳の灼熱爪の回りを、金粉のような光が無数に舞い始めた。
「千佳ぁぁぁっ! 妖木妃からすぐに離れてぇぇっ!!」
それを見た凛は、ありったけの声を振り絞るように叫んだ!!
訳もわからず、瞬時に飛び避ける千佳。
「凛ちゃん、金鵄さん。今のは・・・?」
「あれが妖木妃最大の能力……、絶対防御の花粉だ。」
優里の問いに金鵄が答えた。
「ヤツの頭の花の髪飾り。あれは妖木妃に寄生している妖怪生物で、攻撃を受けると宿主を守るために絶対防御の花粉を放つんだ。」
「絶対防御の……花粉?」
「金色に舞う花粉は、物理・魔法・霊力。すべての攻撃を蝕ばみ……消滅させる。あのままだったら、千佳の灼熱爪は完全に消滅させられていた・・・。」
「な…なんてこと!?」
「まずはあの髪飾りを破壊する。それができなければ、妖木妃は倒せない!」
金鵄の言葉に、凛はこぶしを握り締めた。
(それができるのはゲイの弓を預かった、わたし・・・・!)
どうする!?
① 凛は一歩引いて、攻撃の機会を伺う。
② 凛はゲイの弓で、今すぐ髪飾りを攻撃する。
| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 11:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑