2015.12.28 Mon
マニトウスワイヤー 第三章 バレンティアとの別れ
一方オフィスビルの5階、とある商事会社の事務室に逃げ込んだバレンティア、フェアウェイ、そして香苗の三人。
だが、それも束の間。
その事務室も、数人のマネキン人形に囲まれてしまっている。
今、この事務室にいるのは、バレンティア、フェアウェイ、香苗。
そして、この会社の事務員だろうか?
若い・・・そう、10代後半くらいの一人の女子社員。
以上、四人。
マネキンたちは各々短剣を持ちあわせており、事務室にいた他の会社員、事態を察知した警備員たちを刺し殺している。
そして、なぜか・・・倒れている会社員の間に、二つ・・三つの人の姿をしたヌイグルミが。
バレンティアは警備員が手放した警棒を手にマネキン人形たちと対峙しているが、元々仲間であったルゥの姿をしたマネキンもおり、それがどうしても戦いづらかった。
そのルゥは、一人だけ真っ赤な蒸気のような靄を発する短剣を所持している。
「も・・・もう・・いや・・・」
足元の倒れている警備員や社員。そしてヌイグルミを凝視していた女子社員。
そう呟くと、箍(たが)が外れたように出口に向って走りだした!
そんな彼女にルゥは即座に反応する。
「や・・・やめなさいっ!!」
バレンティアの制止も聞かず、ルゥは逃げる女子社員の背中を真っ赤な短剣で突き刺した。
「あ・・・あぅ・・・!?」
瞬時に女子社員の動きが止まる。
同時に見る見るうちに彼女の身体は縮んでいき、ルゥの足元に一つの物体が転がり落ちた。
それは、あの女子社員そっくりのヌイグルミ。
そう・・・。
ルゥの持つ短剣には彼女を操るパペット・マスターの呪術がかけられており、これに刺された者は皆・・・ヌイグルミに変化してしまうのであった。
「くそぉ! あたしが元の姿で木刀でも持っていれば、なんとか突破できそうなのに!」
フェアウェイの手の中で、歯ぎしりをする香苗。
「ルゥ……。お願い意識を戻して・・・・」
警棒を構えながら懇願するバレンティア。
だがルゥはお構いなくバレンティアに刃を振るう。
必死でかわそうとするバレンティア。だが、その拍子に警棒を落としてしまった。
「危ないっ!!」
咄嗟に香苗がフェアウェイの手の中から飛び出すと、一気に駆け込み・・ルゥとの間合いを詰める。
この辺は腐っても剣道少女! ルゥの反応より、一も二も上だった。
飛び上がり、ルゥの顔面目掛けて拳を打つこむ!
ピョコ!
だが・・・・。
悲しいかな。綿詰めのヌイグルミの拳では、大したダメージを与えることは出来なかった。
ルゥが香苗目掛けて短剣を貫く。
サクッ!!
必死で身を捻った香苗だが、脇腹あたりをザックリ刺されてしまった。
「いたたたたっ!! ・・・・・って、それほど痛くはない? それに元からヌイグルミだから、変化もない!!」
香苗はそう呟くと、自身を突き刺した短剣をしっかり握りしめ、
「おりゃぁぁぁっ!」
なんと、ルゥから短剣を奪いとった!
真っ赤な短剣を自身の腕の中にしっかり抱きかかえ、ほくそ笑みながら・・
「これで他の人も人形化はできないだろ。ざまぁみろ!」
マネキン化しているため表情は変わりないように見えるが、内心は立腹したのだろう。
ルゥはすかさず他のマネキンから短剣を奪い取ると、照準を香苗に合わせた。
「ヌイグルミさんっ!!」
危険を察知したフェアウェイは、すぐさま飛び出し両腕で香苗を抱きかかえるると、自らを盾にして覆い被さった。
「お・・おい! フェアウェイ!?」
逆に香苗が困惑し、フェアウェイの身を案じる。
だが、ルゥはお構いなく、フェアウェイ諸とも香苗を突き刺す気だ!
「だ、だめっ!!」
そんなフェアウェイの前に立ちふさがる・・バレンティア。
グザっ・・!
無残にもルゥの刃が、バレンティアの胸部に突き刺さった!
「あ・・あっ・・・」
ルゥが無造作に短剣を抜き取ると、傷口から大量の血液が潮を噴くように溢れ出る。
バレンティアは見開いた目線を胸に移し、これ以上・・血が溢れ出さないように両手で傷口を抑えこむと、二歩…三歩後ずさりし、そのままストンと腰を落とした。
その動きは、まるでスローモーションのVTRでも見ているようだ。
押さえ込んだ手の平から、情け容赦無く血は溢れだす。
胸から溢れ出る血と比例するように、バレンティアの表情からは血の気が失せていく。
「バ・・バレンティア・・・」
その姿を見たフェアウェイは、そのまま気を失って倒れてしまった。
「く・・くるし・・・い・」
フェアウェイに気絶され、ギュウギュウに抱きしめられたまま身動きできない香苗。
そんな香苗の目に、無数のマネキンの手が差し向けられる。
その時・・・・
まるで、フェアウェイが瞬間移動でもしたかのように、宙に浮き場所を移動した。
はぁ・・はぁ・・と、苦しそうな息を吐いているバレンティアも同様だった。
「蜘蛛女っ!?」
香苗が声を上げた。
そこには肩で息をしたまま、ようやく事務室に辿り着いた都の姿。
そして糸を噴出し、二人の身体に巻き付けると、一気に引き戻したのだ。
都は更に二人の身体を自分の身体と密着するように巻きつけ、再び窓の外に糸を噴出し、振り子のように・・次のビル、次のビルへと空中移動をしていった。
いくつものビルの谷間を通りぬけ、数百メートル先にある雑居ビルの狭い路地裏に着地した都。
自身の体力も限界に来ている。
辺りも薄暗くなってきていることから、闇に紛れる日没までそのまま路地裏で身を休める事にした。
気絶しているフェアウェイと大量出血で荒い息をいているバレンティアを横にすると、自らも膝をつき天を仰ぐように息を整え始める。
「ごめんなさいね・・・。あなたまで、巻き込んで・・・・」
止まらない大量出血。
すっかり血の気が失せた蒼白の顔面に、途切れ途切れの言葉。
もはや口を開く力も残っていないだろうに、それでもバレンティアは申し訳なさそうに都に声をかけた。
「別に・・・。この件はわたくしが自分の判断で飛び込んだこと。 貴女に謝られる筋合いはありませんわ・・」
都の返事に、バレンティアはニッコリと微笑んだ。
「迷惑ついでに最後のお願いを言っていいかな・・・? フェアウェイを・・・。フェアウェイを・・この場所まで送り届けて欲しいの・・・・」
バレンティアはそう言って、一通の封筒を手渡した。
中身は日本、神田川県、丘福市、そして聖心女子高等学校という名と、一人の人名が書かれた紙が一枚。
「わたくしなんかに頼らず貴女が自分で連れて行ってあげればいいですわ。こう見えても、わたくしは蜘蛛妖怪の姫。人間ごときの頼みなど、聞き入れる気なんかありませんの!」
都は嘲笑うように言い返した。
それでもバレンティアは目を細めると・・・
「一緒にいた数時間・・・、あなたがどれだけ誇り高いかもわかっているわ。だけど、それを承知でお願いさせてくれる?」
と答える。
「・・・・・・・・」
「フェアウェイはこの世でも数少ない・・天女族の子。 そして、あの子を狙っているのはあなたもわかっている通り、闇の世界の住人。普通の人間ではあの子を守りきれない・・・」
「条件がありますわ! わたくし、人喰いなので貴女の肉を喰らいますわよ! それでもよろしくて?」
「どうせ、すぐにも散りゆくこの身。 それで・・あなたのお役に立てるなら構わないわ・・」
バレンティア自身、もう自分が助からないことは充分にわかっているのだ
「・・・・・・・・。」
もはや都にも、それ以上・・言葉は無かった。
横たわるバレンティアの上に覆い被さると、その首に鋭い鎌状の牙を突き刺した。
静かに音も立てず、溶解したバレンティアの体内を吸い込む都。
やがてペラペラとした皮だけが残ると、都は口内に糸を噴出し生地作りを始める。
丸めたり・・縮めたり・・・伸ばしたり。
それは、一枚の軟らかい輝きを放つライトブラウンの生地へと変化した。
「茶色を象徴する言葉は、『温もり、安らぎ、保守、大地、力強さ』。小さな子どもを守り通す為だけに全てを捧げた貴方に、ピッタリの色ですわ」
都はそう言って、新たに手に入れた美しい茶色の生地をゆっくりと丸めていく。
更に・・・
「・・・・、・・・・・。 ・・・・、・・・・・・」
二言、三言・・付け加えるように呟いた。
周りの雑音でよく聞き取れない程の声量だったが、そばで見ていた香苗の耳にはハッキリ聞き取る事ができた。
「蜘蛛女・・・、お前・・・・・?」
そして、その言葉の意味に、香苗は耳を疑うかのように呆然と立ち尽くしていた。
生地をバッグにしまい込んだ時には辺りはすっかり日が暮れていた。
「さぁ、そろそろ移動しますわよ。 そちらのフェアウェイを起こしてくださいな」
都の言葉に香苗はフェアウェイの身体を揺さぶった。
目を擦りながら身を起こすと、辺りを見渡すフェアウェイ。
「バレンティア・・・は!?」
フェアウェイの問いに香苗は何も答えられず、目を逸らしてしまう。
「バレンティアは先に行きましたわよ。しばらくはわたくしが導きますわ」
「先に・・・て、どこ!?」
「いずれわかります。さぁ・・先を急ぎますわよ」
都はフェアウェイの手を取ると、ゆっくり踵を上げた。
その時・・・
シュッ・・!
風切音と共に、足元に何かが突き刺さった。
第四章 黒い妖魔狩人へ続く。
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だが、それも束の間。
その事務室も、数人のマネキン人形に囲まれてしまっている。
今、この事務室にいるのは、バレンティア、フェアウェイ、香苗。
そして、この会社の事務員だろうか?
若い・・・そう、10代後半くらいの一人の女子社員。
以上、四人。
マネキンたちは各々短剣を持ちあわせており、事務室にいた他の会社員、事態を察知した警備員たちを刺し殺している。
そして、なぜか・・・倒れている会社員の間に、二つ・・三つの人の姿をしたヌイグルミが。
バレンティアは警備員が手放した警棒を手にマネキン人形たちと対峙しているが、元々仲間であったルゥの姿をしたマネキンもおり、それがどうしても戦いづらかった。
そのルゥは、一人だけ真っ赤な蒸気のような靄を発する短剣を所持している。
「も・・・もう・・いや・・・」
足元の倒れている警備員や社員。そしてヌイグルミを凝視していた女子社員。
そう呟くと、箍(たが)が外れたように出口に向って走りだした!
そんな彼女にルゥは即座に反応する。
「や・・・やめなさいっ!!」
バレンティアの制止も聞かず、ルゥは逃げる女子社員の背中を真っ赤な短剣で突き刺した。
「あ・・・あぅ・・・!?」
瞬時に女子社員の動きが止まる。
同時に見る見るうちに彼女の身体は縮んでいき、ルゥの足元に一つの物体が転がり落ちた。
それは、あの女子社員そっくりのヌイグルミ。
そう・・・。
ルゥの持つ短剣には彼女を操るパペット・マスターの呪術がかけられており、これに刺された者は皆・・・ヌイグルミに変化してしまうのであった。
「くそぉ! あたしが元の姿で木刀でも持っていれば、なんとか突破できそうなのに!」
フェアウェイの手の中で、歯ぎしりをする香苗。
「ルゥ……。お願い意識を戻して・・・・」
警棒を構えながら懇願するバレンティア。
だがルゥはお構いなくバレンティアに刃を振るう。
必死でかわそうとするバレンティア。だが、その拍子に警棒を落としてしまった。
「危ないっ!!」
咄嗟に香苗がフェアウェイの手の中から飛び出すと、一気に駆け込み・・ルゥとの間合いを詰める。
この辺は腐っても剣道少女! ルゥの反応より、一も二も上だった。
飛び上がり、ルゥの顔面目掛けて拳を打つこむ!
ピョコ!
だが・・・・。
悲しいかな。綿詰めのヌイグルミの拳では、大したダメージを与えることは出来なかった。
ルゥが香苗目掛けて短剣を貫く。
サクッ!!
必死で身を捻った香苗だが、脇腹あたりをザックリ刺されてしまった。
「いたたたたっ!! ・・・・・って、それほど痛くはない? それに元からヌイグルミだから、変化もない!!」
香苗はそう呟くと、自身を突き刺した短剣をしっかり握りしめ、
「おりゃぁぁぁっ!」
なんと、ルゥから短剣を奪いとった!
真っ赤な短剣を自身の腕の中にしっかり抱きかかえ、ほくそ笑みながら・・
「これで他の人も人形化はできないだろ。ざまぁみろ!」
マネキン化しているため表情は変わりないように見えるが、内心は立腹したのだろう。
ルゥはすかさず他のマネキンから短剣を奪い取ると、照準を香苗に合わせた。
「ヌイグルミさんっ!!」
危険を察知したフェアウェイは、すぐさま飛び出し両腕で香苗を抱きかかえるると、自らを盾にして覆い被さった。
「お・・おい! フェアウェイ!?」
逆に香苗が困惑し、フェアウェイの身を案じる。
だが、ルゥはお構いなく、フェアウェイ諸とも香苗を突き刺す気だ!
「だ、だめっ!!」
そんなフェアウェイの前に立ちふさがる・・バレンティア。
グザっ・・!
無残にもルゥの刃が、バレンティアの胸部に突き刺さった!
「あ・・あっ・・・」
ルゥが無造作に短剣を抜き取ると、傷口から大量の血液が潮を噴くように溢れ出る。
バレンティアは見開いた目線を胸に移し、これ以上・・血が溢れ出さないように両手で傷口を抑えこむと、二歩…三歩後ずさりし、そのままストンと腰を落とした。
その動きは、まるでスローモーションのVTRでも見ているようだ。
押さえ込んだ手の平から、情け容赦無く血は溢れだす。
胸から溢れ出る血と比例するように、バレンティアの表情からは血の気が失せていく。
「バ・・バレンティア・・・」
その姿を見たフェアウェイは、そのまま気を失って倒れてしまった。
「く・・くるし・・・い・」
フェアウェイに気絶され、ギュウギュウに抱きしめられたまま身動きできない香苗。
そんな香苗の目に、無数のマネキンの手が差し向けられる。
その時・・・・
まるで、フェアウェイが瞬間移動でもしたかのように、宙に浮き場所を移動した。
はぁ・・はぁ・・と、苦しそうな息を吐いているバレンティアも同様だった。
「蜘蛛女っ!?」
香苗が声を上げた。
そこには肩で息をしたまま、ようやく事務室に辿り着いた都の姿。
そして糸を噴出し、二人の身体に巻き付けると、一気に引き戻したのだ。
都は更に二人の身体を自分の身体と密着するように巻きつけ、再び窓の外に糸を噴出し、振り子のように・・次のビル、次のビルへと空中移動をしていった。
いくつものビルの谷間を通りぬけ、数百メートル先にある雑居ビルの狭い路地裏に着地した都。
自身の体力も限界に来ている。
辺りも薄暗くなってきていることから、闇に紛れる日没までそのまま路地裏で身を休める事にした。
気絶しているフェアウェイと大量出血で荒い息をいているバレンティアを横にすると、自らも膝をつき天を仰ぐように息を整え始める。
「ごめんなさいね・・・。あなたまで、巻き込んで・・・・」
止まらない大量出血。
すっかり血の気が失せた蒼白の顔面に、途切れ途切れの言葉。
もはや口を開く力も残っていないだろうに、それでもバレンティアは申し訳なさそうに都に声をかけた。
「別に・・・。この件はわたくしが自分の判断で飛び込んだこと。 貴女に謝られる筋合いはありませんわ・・」
都の返事に、バレンティアはニッコリと微笑んだ。
「迷惑ついでに最後のお願いを言っていいかな・・・? フェアウェイを・・・。フェアウェイを・・この場所まで送り届けて欲しいの・・・・」
バレンティアはそう言って、一通の封筒を手渡した。
中身は日本、神田川県、丘福市、そして聖心女子高等学校という名と、一人の人名が書かれた紙が一枚。
「わたくしなんかに頼らず貴女が自分で連れて行ってあげればいいですわ。こう見えても、わたくしは蜘蛛妖怪の姫。人間ごときの頼みなど、聞き入れる気なんかありませんの!」
都は嘲笑うように言い返した。
それでもバレンティアは目を細めると・・・
「一緒にいた数時間・・・、あなたがどれだけ誇り高いかもわかっているわ。だけど、それを承知でお願いさせてくれる?」
と答える。
「・・・・・・・・」
「フェアウェイはこの世でも数少ない・・天女族の子。 そして、あの子を狙っているのはあなたもわかっている通り、闇の世界の住人。普通の人間ではあの子を守りきれない・・・」
「条件がありますわ! わたくし、人喰いなので貴女の肉を喰らいますわよ! それでもよろしくて?」
「どうせ、すぐにも散りゆくこの身。 それで・・あなたのお役に立てるなら構わないわ・・」
バレンティア自身、もう自分が助からないことは充分にわかっているのだ
「・・・・・・・・。」
もはや都にも、それ以上・・言葉は無かった。
横たわるバレンティアの上に覆い被さると、その首に鋭い鎌状の牙を突き刺した。
静かに音も立てず、溶解したバレンティアの体内を吸い込む都。
やがてペラペラとした皮だけが残ると、都は口内に糸を噴出し生地作りを始める。
丸めたり・・縮めたり・・・伸ばしたり。
それは、一枚の軟らかい輝きを放つライトブラウンの生地へと変化した。
「茶色を象徴する言葉は、『温もり、安らぎ、保守、大地、力強さ』。小さな子どもを守り通す為だけに全てを捧げた貴方に、ピッタリの色ですわ」
都はそう言って、新たに手に入れた美しい茶色の生地をゆっくりと丸めていく。
更に・・・
「・・・・、・・・・・。 ・・・・、・・・・・・」
二言、三言・・付け加えるように呟いた。
周りの雑音でよく聞き取れない程の声量だったが、そばで見ていた香苗の耳にはハッキリ聞き取る事ができた。
「蜘蛛女・・・、お前・・・・・?」
そして、その言葉の意味に、香苗は耳を疑うかのように呆然と立ち尽くしていた。
生地をバッグにしまい込んだ時には辺りはすっかり日が暮れていた。
「さぁ、そろそろ移動しますわよ。 そちらのフェアウェイを起こしてくださいな」
都の言葉に香苗はフェアウェイの身体を揺さぶった。
目を擦りながら身を起こすと、辺りを見渡すフェアウェイ。
「バレンティア・・・は!?」
フェアウェイの問いに香苗は何も答えられず、目を逸らしてしまう。
「バレンティアは先に行きましたわよ。しばらくはわたくしが導きますわ」
「先に・・・て、どこ!?」
「いずれわかります。さぁ・・先を急ぎますわよ」
都はフェアウェイの手を取ると、ゆっくり踵を上げた。
その時・・・
シュッ・・!
風切音と共に、足元に何かが突き刺さった。
第四章 黒い妖魔狩人へ続く。
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第三章 バレンティアとの別れ(オマケ)
もしも・・・
ルゥに襲われたとき・・・、
香苗が赤い短剣を奪いきれず、
バレンティアがその赤い短剣に刺されてしまったら・・・?
「ヌイグルミさんっ!!」
危険を察知したフェアウェイは、すぐさま飛び出し両腕で香苗を抱きかかえると、自らを盾にして覆い被さった。
「お・・おい! フェアウェイ!?」
逆に香苗が困惑し、フェアウェイの身を案じる。
だが、ルゥはお構いなく、フェアウェイ諸とも香苗を突き刺す気だ!
「だ、だめっ!!」
そんなフェアウェイの前に立ちふさがる・・バレンティア。
グザっ・・!
無残にもルゥの刃が、バレンティアの胸部に突き刺さった!
「あ・・あっ・・・」
瞬時にバレンティアの動きが止まる。
同時に、見る見るうちに彼女の身体は縮んでいき、
コロン・・・!
ルゥの足元に一つの物体が転がり落ちた。
それは・・・
バレンティアによく似たヌイグルミ・・・
いや、パペットマスターの呪いの短剣により・・・
ヌイグルミとなってしまったバレンティアの姿であった。
「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」
「バレンティア・・・・? フェアウェイ・・・」
重症を負った都がたどりついた頃には、フェアウェイも、バレンティアも・・・香苗や黒マントの集団の姿もなく、多くの警備員や社員の死体といくつかのヌイグルミが転がっているだけであった。
その中には・・・バレンティアによく似たヌイグルミも混ざっていた。
おわり
もしも・・・
ルゥに襲われたとき・・・、
香苗が赤い短剣を奪いきれず、
バレンティアがその赤い短剣に刺されてしまったら・・・?
「ヌイグルミさんっ!!」
危険を察知したフェアウェイは、すぐさま飛び出し両腕で香苗を抱きかかえると、自らを盾にして覆い被さった。
「お・・おい! フェアウェイ!?」
逆に香苗が困惑し、フェアウェイの身を案じる。
だが、ルゥはお構いなく、フェアウェイ諸とも香苗を突き刺す気だ!
「だ、だめっ!!」
そんなフェアウェイの前に立ちふさがる・・バレンティア。
グザっ・・!
無残にもルゥの刃が、バレンティアの胸部に突き刺さった!
「あ・・あっ・・・」
瞬時にバレンティアの動きが止まる。
同時に、見る見るうちに彼女の身体は縮んでいき、
コロン・・・!
ルゥの足元に一つの物体が転がり落ちた。
それは・・・
バレンティアによく似たヌイグルミ・・・
いや、パペットマスターの呪いの短剣により・・・
ヌイグルミとなってしまったバレンティアの姿であった。
「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」
「バレンティア・・・・? フェアウェイ・・・」
重症を負った都がたどりついた頃には、フェアウェイも、バレンティアも・・・香苗や黒マントの集団の姿もなく、多くの警備員や社員の死体といくつかのヌイグルミが転がっているだけであった。
その中には・・・バレンティアによく似たヌイグルミも混ざっていた。
おわり
| 妖魔狩人若三毛凛VSてんこぶ姫 | 08:27 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑