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自己満足の果てに・・・

オリジナルマンガや小説による、形状変化(食品化・平面化など)やソフトカニバリズムを主とした、創作サイトです。

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マニトウスワイヤー 第四章 黒い妖魔狩人

シュッ・・!!

 都の足元に突き刺さったそれは、薄っすらと青白く輝く一本の矢。
 それは普通の矢とは全く異なる、まるでホログラム(立体映像)のような青白い『光の矢』だった。

「何者ですの・・!?」

 鋭い目つきで前方を見定める。

 路地裏で逆光の為、顔や身なりはまるでわからない。
 シルエットで映るその影は弓を構えた一人の人物。

 だが、まるでタイミングを測ったかのように雑居ビルの看板が点灯すると、その光がその人物を照らしだした。

 黒く靭やかなその髪は左側をサイドテールで結んでおり、ゆらゆらと風に揺られている。
 身なりも真っ黒で、まるでゴスロリと魔法少女系アニメを合わせたようなコスチューム。  
 小柄な体つきでミニスカートから生える細い足。

 それは紛れも無く、11~12歳くらいの一人の少女の姿であった。

 しかし、手にした弓には新たな青白い光の矢が備えられている。

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 少女は静かに口を開くと、
「あなたの連れているその子は、天女の子よね・・・?」
 と問いかけてきた。

 その子とは明らかにフェアウェイを指しているようだ。

 さらに彼女は手にした弓を構えると、こう付け加えた。

「命が惜しければ、今すぐその子を放しなさい!」

「ふっ・・!」
 都は鼻で笑うと、
「何を言うかと思えばくだらない。この子はわたくしの連れ。どこの小娘か知りませんが、あまりこちらの世界に立ち入らない方が、身のためですよ」
 と言い返した。

シュッ!! 

 青白い閃光と風切音が都の耳元を通り過ぎる。都の目に自身の自慢の黒髪が二~三本。粒子分解するかの如く、消滅していくのが見えた。

「生憎だけど、妖怪の世界なんて今まで何度も見てきた。あなたこそ素直に立ち去ったほうが身のためよ。妖怪・蜘蛛女!」

 少女はそう言うと手の平をかざし、新たな光の矢を形成すると再び弓に備え付ける。

「あら、わたくしを知っているような口振りですわね? どこかでお茶でもしたかしら?」

「さっき、あなたがビルの間を飛び交っているのを見て確信したわ。 最近・・都市伝説になっている人喰い妖怪蜘蛛女。あなたのことでしょう?」

「蜘蛛女・・・ね?」

 その言葉に都は上から目線で少女を睨みつけると、

「その呼び方、好きくありませんわ。わたくしを呼ぶなら・・・姫。 そう、てんこぶ姫とお呼びなさいな」
 と不敵な笑みを浮かべた。

「てんこぶ・・姫?」

「わたくしも貴女の正体が見えてきましたわ。青白く光る・・霊力の矢。そして・・全身、黒い出で立ち」

 都はそう言って髪をかき上げ満面の笑みを浮かべると、一礼しながらこう告げた。


「初めまして。黒い妖魔狩人・・・若三毛凛!」

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 これに一番驚いたのは誰であろう・・・香苗であった!

「よ・・妖魔狩人って、女・・・? それも・・子どもなの!?」

 なにしろ香苗は今の今まで、妖魔狩人は『イケメン』で『マッチョ』な『若い男性』と思い込んでいたのだ。
 そのショックは計り知れない。

「凛っ! 大丈夫かい!?」
 更に声と共に空中から一羽の金色に輝く鳥が舞い降りてきた。

「大丈夫よ、金鵄!」
 少女・・・凛は、金鵄という名の鳥に言葉を返す。

「な・・なんで、鳥が喋っているの!?」

「えっ? ヌイグルミが言葉を話している!?」

 金鵄と香苗が驚いたのも、ほぼ同時であった。

「黒い妖魔狩人。貴女のことは柚子村の中国妖怪に何度か聞いていましたわ」
「中国妖怪の手下なの?」
「手下・・・? 冗談じゃありませんわ! わたくしは姫。あの者たちとは敵対しているわけではありませんが、わたくしを束縛できる間柄でもありませんの」

「ふーん・・・。それで最初の質問だけど、その女の子を解放してくれる?」

「お断りしたら・・・?」

「あなたを撃ちます!」

 一瞬、弦を引く凛の指先に、力が入った。

 ニヤッ!
 都の口端が、僅かに緩んだ。

 その瞬間、凛の目の前に広がる・・・霧のような白い靄。
 いや、それは靄ではなく、散りばめられた糸の屑。

 その隙をついて都はフェアウェイの手を引き、一目散に駈け出した!

「待ちなさい!!」

 すぐ後を追う・・凛。

「アンタ、フェアウェイと一緒にどこか・・その辺に隠れていてくださらない?」
 走りながら都は、香苗にそう話しかける。

「それはいいけど・・・って、悪人は蜘蛛女。アンタ一人だろ!? どうしてアタシたちまで一緒に逃げる必要があるんだ!?」
「ここまで来たら一蓮托生ですわ!」

 都はそう言うと、わざと凛の目につくように雑居ビルの壁を這い登っていった。

「凛、あっちだ!」

 それを見つけた金鵄が凛に呼びかける。
 頷いた凛は、周りにある塀やエアコンの室外機を足場に駆け上がるように後を追う。

 妖魔狩人である凛は、たしかに人並み外れた強力な霊力を持ち合わせている。
 だが、その肉体は極普通の中学校に通う女子生徒であって、超人的な体力を持っているわけでは無い。
 しかし、金鵄の羽毛で編み出した戦闘服を身につけることによって、通常の6倍近くの運動能力を引き出すことができる。
 その為、こういった超人的な動きも可能なのだ。


 4階建ての雑居ビルの屋上、都はそこで凛を待ち構えていた。

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シュッ!シュッ!

 交互に振りかざす都の手の平から蜘蛛の糸が凛に降り掛かる。

 だが、凛の放つ霊力の矢・・・霊光矢は、その糸を瞬時に消し去ってしまう。
 それどころか、その威力は掠っただけで都の身体をも消し去りそうな力を秘めている。

― 驚きましたわ。 話には聞いていたけど、まさか・・ここまで強く高い霊力の持ち主だったなんて・・・。―

 改めて都は、凛が自分より強い相手だと気がついた。

「まったく・・・。 どうして今日はこんなに強敵ばかり出会うのかしら!? 朝のテレビ占いでは、何事もない穏やかな一日って言っていたのに・・・」

 そう呟き両手を地につけ四つん這いになると、蜘蛛そのものの素早い動きで凛に突進していった。

 地を這って向かって来る都に霊光矢を放つ凛。
 だが、あまりに狙いが低すぎる事と、予想以上の素早い動きに当てる事すらままならない。

 あっ!という間に、都は凛の足元近くまで這い寄って来た。

 即座に足元に照準を合わせる。

 だが、その瞬間、都の姿が視界から消えてしまった。


「き・・消えた・・・!?」


 慌てて辺りを見渡すが都の姿が見当たらない。

 それは、地面スレスレという低い視線の位置で急速接近し、視界を狭くさせた瞬間身を翻すことで、あたかも消えたかのように見せるという都の頭脳と本能の合わせ技。

 今まで凛が戦ってきた妖怪たちは、どちらかと言えば力技で強引に押してくるタイプが殆どであった。

 しかし、暗殺的でトリッキーな戦法が主である都のようなタイプは、過去戦った経験がないためまるで動きが掴めない。

 少しずつ後退しながら都の気配を探る凛。

 右から来るか? 左から来るか? それとも・・またも低い視点から来るか?

 全神経を周辺に張り巡らせながら、二歩・・三歩と後退していく。

コツン!

 後退していった凛の背に、固く冷たい感触が伝わった。

 太い鉄骨で組み立てられた架台、その上に大きなタンクが乗っている。
 それは高置水槽・・・、いわゆる貯水タンクというやつだ。

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 それにしても、てんこぶ姫・・・都は、いったい何処に消えたのだろうか?

 金鵄も空高く舞い上がり辺りを見渡す。

「あっ!?」

 金鵄の目に微かに動く物体が目に入った。

「凛っ!! 後ろだ・・・後ろの貯水タンクだ!!」

「えっ!?」

 凛は振り返りタンクを見上げた。

 そこには闇に紛れて、貯水タンクに逆さに張り付いている都の姿が!
 闇の中で真っ赤に光る二つの瞳が、獲物である凛を狙いを定めるように見下ろしている。


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 咄嗟に弓を構えるが、同時に都はタンクを蹴り凛に飛びかかった!

 二人は絡み合うように組み合い、二転・・三転と転げまわる。

カラン・・・

 弾みで、大切な武器・・弓を落としてしまった凛。

 動きが止まると、都が凛に馬乗りになっていた。

シャァァァァッ!!

 鎌状の牙を突き出し咆哮をあげ、しきりに凛の首筋に噛み付こうとする都!

「凛、絶対に噛まれるな! 蜘蛛妖怪に噛まれたら、あっと言う間に身体の中身を食いつくされる!!」

 妖怪の習性に詳しい金鵄の助言。
 ごめん。今は遊著にそんな言葉を聞いている暇は無い!!

 必死で都の額を押上げ、そうはさせずと抵抗する凛。

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「絶対に・・・やられるものか・・・・」

 凛は僅かな隙をつき、右手に霊力を集中させる。
 すると、一本の青白い光の矢・・霊光矢を形成させた。

 それを逆手に握り、都のこめかみを狙って一気に振りぬく!!

ヒュンッ!!

 都の視線に入った霊光矢!

 防御技とか、敵の動きを読むとか、そんな思考によるものではない。

 本能。

 紛れも無く野生の妖怪の防衛本能が、瞬間的に都の身体をのけぞらせた。

 自分の目と鼻の先を青白い閃光が通り過ぎる。
 喰らっていたら、間違いなく・・即死だ。

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 だが、それだけでは終わらない。

 凛は十代前半の少女とはいえ、多くの妖怪と死闘を繰り広げてきた妖魔狩人。

 直ぐ様、腕を切り返すと、

ズブッッッ!! 

 霊光矢を都の太腿に突き刺した!!

「あ・・ぐぅ・・・っ!!」

 声にならない悲鳴を上げる都。

 すぐに凛の身体から飛び退き太腿に目をやる。

 太腿から青白い霊力の光が、ウィルスのように侵蝕しはじめている。
 全身に広がったら浄化され消滅してしまう・・・・!

 都は鋭い爪を立てると、

グザッッ!!

 自身の太腿に突き刺した!

「くっ!」

 そして、そのまま太腿の肉ごと刳り取るように霊光矢を強引に抜き取ったのだ。

「な・・なんてヤツだ・・・。これほどの執念は並みの妖怪じゃない・・・」
 都の凄まじい気迫に、逆に恐怖を感じた金鵄。

 しかし、形成は完全に逆転していた。
 弓を拾い正確に霊光矢の矢尻を都に定める、凛。

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「もう終わりよ・・てんこぶ姫。 大人しくあの女の子を引き渡してくれれば、今日のところは見逃すわ」
 凛の言葉に真っ赤な瞳で真っ直ぐ睨み返す都。

「冗談はおよしなさいな。 姫であるわたくしが、敵を恐れて手の平を返すとでも思ってるのかしら?」

 そう返したその時・・・・

「蜘蛛女ぁぁぁぁっ!!」

 雑居ビルの下、路地裏から香苗の叫び声が聞こえた!

「なにごとっ!?」

 都は脇目もふらず助走をつけると、ヒュンと・・屋上から飛び降りた。
 驚くことに、片足を負傷しているとは思えない程の素早い動きで、路地裏に駆け込んでいった。

「ま・・待ちなさいっ!」

 いくら運動能力が向上しているとはいえ、生身の人間である凛が4階建てビルの屋上から飛び降りることはできない。

 すぐに階段を駆け下り後を追う。

「しかし、今回の事件に都市伝説の人喰い蜘蛛女が絡んでいるとはね・・」
 まるで苦虫を噛み潰したような顔で金鵄が呟く。

「うん、たしかに予想外だった。でも・・・・」

「ん・・!?」

「あの・・てんこぶ姫。そこまで凶悪な妖怪なのかな・・・?」
 金鵄の耳に入るか、入らないかくらいの小さな声で、凛はそう呟いた。





第五章 最強の精霊へ続く。
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第四章 黒い妖魔狩人(オマケ)







もしも・・・









都が貼りまくった糸が、

たった1本でも放置されていたら?



 都は残る力を振り絞ぼり必死で体勢を立て直すと、左右に立ち並ぶビルを2往復・・3往復と飛び交った。

 そして、張り巡らせた糸で、大きな・・大きな『網』を仕掛けた。

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 それから、約2時間後・・・・









「その呼び方、好きくありませんわ。わたくしを呼ぶなら・・・姫。 そう、てんこぶ姫とお呼びなさいな」
 と不敵な笑みを浮かべた。

「てんこぶ・・姫?」

「わたくしも貴女の正体が見えてきましたわ。青白く光る・・霊力の矢。そして・・全身、黒い出で立ち」

 都はそう言って髪をかき上げ満面の笑みを浮かべると、一礼しながらこう告げた。


「初めまして。黒い妖魔狩人・・・若三毛凛!」




 丁度その頃。

 一~二時間程前、都とR-51が戦った飲食店に面した大通り。

 十数人の清掃業者が、警察からの依頼でビルの谷間に張られている巨大な蜘蛛の巣を取り除く作業を行っていた。
 もちろんそれは、都がR-51の突進を弾き返した、あの網状の蜘蛛の巣だ。

「それにしても、なんでこんな所にこんな馬鹿でかい蜘蛛の巣が張ってあるんだ?」

「…ってことは、こんなに馬鹿でかい蜘蛛が生息しているのかよ!?」

「いやいや。なんでも都市伝説にもなっている蜘蛛女が張ったらしい。目撃者もかなりいるらしいぞ!」

「どちらにしろ、こんなクソ暑い中こんな面倒くさい作業はしたくねぇーよ!」

 しっかり粘着している蜘蛛の糸を、特殊な薬品を使って剥がし取っていく。
 それは、根気と体力のいる作業であった。

「よしっ! 終わった!! 作業終了を警察に伝えてこい!」
 全ての糸を剥がし終えると、その後の処理を警察へ引き継いだ。

 警察はそれまで閉鎖していた大通りを開通させる。

 交通量の多い丘福市。
 道路閉鎖していた作業中、当然車両は通行できない。そのため2km区間ほど渋滞を起こしていた。

 開通と同時に次々に通りすぎる車両。

 その中に、待ちきれなかったように急発進していった、一台のタンクローリー車があった。


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「まったく。何があったか知らねぇが、予想外の遅れだぜ!」
 タンクローリー運転手、香川栄作[仮名](49)は遅れを取り戻すべく、いつもより30%増しでアクセルを踏み込んでいた。

 だが・・・

ガンッ!!!

 まるで見えない何かに車ごと引き止められたような衝撃を感じた。
 進むべく方向へ進めず、一気にハンドルを取られ、タンクローリーは勢い良く横転し横滑りをし始めた。
 前方を走る車を次々に弾き飛ばし、横滑りし続けるタンクローリー。

グアァァァァン!!

 ついには、4階建ての雑居ビルに衝突することで、やっとその動きを止めることができた。

 しかし、一体タンクローリーに何があったのだろう?


 それは、たった・・1本。


 清掃作業員は、たった・・1本の蜘蛛の糸を取り外し損ねていたのだ。

 ただでさえ蜘蛛の糸は、敵に悟られないように無色透明に近い。
 しかも、日が暮れ・・薄暗い中での作業。
 作業員たちは、たった1本の糸を見落としてしまった。

 その1本が車高の高いタンクローリの屋根に引っかかり、車の進行を遮り、事故に繋がってしまったのだ。
 そして、その衝突した雑居ビルの屋上では・・・・







「凛っ!! 後ろだ・・・後ろの貯水タンクだ!!」

「えっ!?」

 凛は振り返り、タンクを見上げた。

 そこには闇に紛れて貯水タンクに逆さに張り付いている都の姿が!
 闇の中で真っ赤に光る二つの瞳が、獲物である凛を狙いを定めるように見下ろしている。

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 咄嗟に弓を構えるが、同時に都はタンクを蹴り凛に飛びかかった!

ミシッ・・・!

 都が貯水タンクを足場に蹴り飛んだ瞬間、タンクを支えている鉄骨の架台に亀裂が入った事は、当然二人は気づいていなかった。

 二人は絡み合うように組み合い、二転・・三転と転げまわる。

 ・・・・と、その時!


グアァァァァン!!


 激しい振動が、雑居ビル全体を襲った!

「うぁぁぁ・・っ・!?」

「な・・なんです・・の!?」

 絡み合って転げまわっていた二人は、そのまま振動に逆らえず更に勢いづく!

「き・・きゃああああっ!?」

「目・・目が・・回りますわ・・!?」

 激しく回転したまま転がった先には、なぜかフェンスが外された箇所が!!

ポ~~~ンッ!

 勢いよく屋上から放り出された二人。

「ちょ・・ちょ・・っ!?」

 都は必死で手の平から糸を噴出するが、凛と絡みあった状態で上手く狙いが定まらない。

「ぎゃぁぁぁっ!!」


バサッ!!


 な・・・なんとっ!?

 奇跡か、偶然か・・?

 二人は1階テナント店舗から張り出したテント生地の日除けに引っかかり、落下を食い止めることができた!

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「た・・たすかった・・・・」

 と思ったのも束の間。


ビリッ・・ビリッ・・・


 二人の体重を支えきれなかったテントは一気に引き裂かれ、またも二人は落下。

「ひぃぃぃっ!?」


バッシャァァァァン!!


 こ・・・こんどは・・・・
 たまたま置いてあった、タップリと水を張ったゴミ出し用に使うような大きなポリバケツ。

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 その中に二人は組み合ったまま、頭から突っ込んだ!!

ゴボッ・・ゴボっ・・

 いくら大きなポリバケツとはいえ、人二人が組み合ったまま頭から突っ込めば身動き一つ出来はしない。
 しかも、たっぷり水を張ってあったので、その容積は最大である。

 呼吸も出来ず、ジタバタと足だけを振り回す二人。

 二度ある事は三度ある!!

 奇跡や偶然も、重なる時は重なるのだ!

 戦いの最中、都が足蹴にした貯水タンク。
 相当古かったのか、その拍子に架台に小さな亀裂が入っていたが、タンクローリーの衝突による衝撃でその亀裂は大きく広がり・・・

ガタ・・ガタ・・・

 ついにへし折れ、貯水タンクは真っ逆さまに落下。

 そして、その落下先には横転したままのタンクローリーが・・・。


ガッ・・ツンゥゥゥゥ・・ン!!


 貯水タンクはタンクローリーのタンク部分を直撃。

 タンクが、タンクに・・・・

 もう~ワケが分からないが、破裂したタンクローリーのタンクから無色透明の液体が勢いよく吹き出した。

 しかも、その液体はまるで熱湯のように蒸気(?)を舞い上がらせている。

 タンクローリーの記載物表示には、な・な・・なんと・・!


『液体窒素』の文字が・・・。


 蒸気と共に吹き出した液体窒素はまるで激流の川のように流れ、凛と都が突き刺さったままのポリバケツを飲み込んだ。

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 一気に蒸気が二人を覆い隠す。

 先程までジタバタと振り回されていた二人の足は、やがて小刻みに震えだし・・。
 そして、ピタリとその動きを止めてしまった。














「一体、今日はなんなんだ!?」

 数十分後、まるで氷の世界のような街並みに、多くの処理班が作業にあたっていた。

 幸い、タンクローリー運転手、香川栄作[仮名](49)も軽傷で無事に救出され、雑居ビルの住民もその周辺の人々も大きな怪我も無く救い出された。


「お・・・おぃ、な・・なんだ、これっ!?」


 処理班の一人が、四本の足のような物体が突き出たポリバケツを発見した。


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「こ・・これって、人間の足か!?」

「まさか。なんでポリバケツに人間の足が・・? 人形の足じゃねぇーか!?」

 作業員たちはそう言いながらも、ガッチリ凍結されたポリバケツを電動ディスクサンダを使って慎重に剥がしにかかった。


パカッ! 


 卵が真っ二つに割れるようにポリバケツが取り除かれると・・

 そこには・・・・・




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 バケツの形をした氷の中で、抱き合ったまま凍結している二人の少女が!?

 言わすとしれた凛と都だ。 そして作業員たちに運びだされた二人だが・・・





 そのあと、更に偶然通りかかった一味の一人、ドレイトンに横取りされ。

 凛はかき氷に・・・・・。

 都はルイベにされて、食べられたとか・・・
 いない・・・とか・・?





                                                       
おわり。



| 妖魔狩人若三毛凛VSてんこぶ姫 | 22:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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