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自己満足の果てに・・・

オリジナルマンガや小説による、形状変化(食品化・平面化など)やソフトカニバリズムを主とした、創作サイトです。

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妖魔狩人 若三毛凛 if 第15話「姑獲鳥の子どもたち -前編-」

 優里と千佳の激しい戦いの末、千佳は人間の頃の心を取り戻し、新たに得た力で妖魔狩人の仲間入りをした。
 全て無事に済んだと喜んで帰宅した一行。
 若三毛家、凛の部屋で金鵄は一つの疑問を尋ねた。
「優里と千佳の戦い。攻撃が通用しない・・・すなわち、勝てる見込みのない千佳に、戦いを続行させたのは何故なんだい?」
 そう、獣人だった千佳の爪が通用しなかったあの時、勝敗は決まっていたはずだ。
 なのに凛は優里にも、千佳にも戦いを続行させた。
「千佳が、諦めないと言ったから・・・」
 凛は優しい微笑みで、そう答えた。
「千佳ってね、基本的にヘタレなの。 勉強も運動も・・・。殆ど面倒臭がって、あまりやり通そうとはしないんだけど……」
「凛の親友らしくは、ないなぁ……」
「でも、ここ一番って時。 特にわたしが虐められていた時とか、なにかあった時・・・。その時はね、何があっても最後まで諦めないの。たとえ…不可能とわかっていても」
「意外だ……」
「あの時の千佳の『諦めない』って言葉・・・。アレはそういう時の口調だった。だから・・・」
「だから・・・?」
「きっと、元の千佳に戻ってくれると信じた!」
 やはりそうだ! 凛の一番の力は、霊力でも……まして戦闘能力でもない。
 信じる心……。
 友や仲間、そして身の回りの人を信じる心だ。
 優里にしても、千佳にしても・・・・
 そして、以前……強敵銅角との戦いの時、力を貸してくれた中国妖怪『小白』にしても。
 凛が信じる事で、数々の困難を突破している。
 金鵄は改めて、凛という少女に驚かされるだけだった。


 あれから一週間、妖怪たちも姿を見せる事もなく、平穏な日々が続いていた。
 強いて変わった事と言えば・・・
「一週間もしたら、眼鏡無しの千佳にもだいぶ慣れてきたね」
 平穏な通学路。
 朝、学校へ向かう道で、偶然一緒になった凛と千佳。
「なんか妖怪と融合してから、五感が鋭くなったちゃよ! 特に視力は両目とも1.5……。 汗かいても曇ったりしないし、ホント助かるやん」
 トレードマークであった(?)赤いアンダーリムの眼鏡。
 今では外した姿が当たり前になっている。
 ちなみに、赤い燃えるような逆毛も、優里を苦しめた鋭い右手も・・・。
 戦いを終えてから、元の人間だったころの状態に戻っていた。
「家で試してみたけど、妖力を込めて『戦(や)ったろうか~っ!?』って気持ちになると、あの姿になるみたいやね」
 一週間前とは別人のように、ご機嫌の千佳である。
「そう言えば戦うで思い出したけど、高嶺……さん? ウチとの戦いで火傷したようだけど、あれからどうね?」
「うん、思ったよりは軽かったみたい。 どうやら霊力で保護されていたみたい」
「おおっ、それは良かった!」
「でも、完治するまで三週間はかかるって。 それまでお箸も握れない状態」
「そっか……、ホント悪いことしたっちゃ……」
「でも、千佳が仲間になってくれたから……って、喜んでくれたよ」
「ええ人やん~~! ウチ、マジで頑張らなあかんね! …ところで・・・」
「うん……?」
「凛って、浄化の能力・・・つまり癒やしの力があるわけやろ? それって、火傷や怪我を治したりとかできんと?」
「わたしの力は邪悪な妖力とかを消し去る力。治癒の能力は備わっていないの」
「そっか……、そんな力があると、戦いももっと楽やと思うんだけどなぁ~」
 千佳がそう呟いた、その時・・・
「何っ? 何っ!? 治癒……? もしかして、ゲームの話~~っ?」
 …と、ポニーテールをなびかせ、嬉しそうに入り込んできた人物がいた。
「田中先輩、おはようございます♪」
 凛が丁寧に挨拶する。
「おはよう若三毛さん! それと……え…あ……っ………誰…だっけ?」
 弓道部部長、田中心美はそう言って頭を掻いた。
「斎藤です、斎藤千佳。おはようございます!先輩」
 苦笑気味で挨拶する千佳。
「あっ、斎藤さんね~! 思い出した♪ 前、仮入部したことがあったよね?」
「ああ、凛が入部したって聞いて、どんな部か、行ったっちゃ……いや、です」
「どう? 今からでも入部しない?」
「すいません、ウチ……ああいう、スローモーな動きは苦手で!」
「千佳っ!?」
 千佳の返事に、慌てて凛が間に入る。
「すみません先輩、この子…悪気は無いんです!」
「別に気にしないよぉ~~♪」
 心美はケラケラ笑った。
「アタシさ、ネットゲしてるじゃん! 色んな人からタメ口で話しかけられるから、そういうの…気にしないのよ」
 本当に気さくな先輩だ。 凛は嬉しくなってきた。
 三人で話ながら歩いていると、校門の側で一人の少女が目に入った。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第15話(1)

 少女は携帯電話の画面を眺め、憂鬱な顔をしている。
「涼果・・・・?」
 心美が呟いた。
「先輩、知っているんですか?」
「うん、アタシと同じクラスの子」
 心美は、なぜか深刻そうな表情だ。
 両髪をおさげに結んだ、少し幼い顔立ちの少女……初芽涼果(はつめすずか)。
 彼女の見る携帯の画面には、「キモイ」「学校に来るな」といった文字が浮かんでいた。
 「涼果……」
 心美がそっと声を掛けると、涼果は悲しそうな目で振り返ったが、そのまま逃げるように校門の中へ走っていった。

 
 上履きに履き替え、教室に入った涼果。
 自分の席を見て、動きが固まる。
 机上には、「キモイ」「シネ」「ウザイ」等の落書き。
 椅子の上には、糊がベッタリと塗られてある。
 三年生になった頃は、普通に接してもらえたのに・・・・
 一ヶ月前から毎日こんな状態。 なぜ……!?
 次第に涙で机が滲んで見える。
 後から教室に入った心美も、そんな涼果を目にして、表情が固くなった。
 その時・・・
「おはよう、涼果!」
 四人の取り巻き(クラスメート)を引き連れるように、一人の少女が声を掛けた。
「どうしたの? 早く席に座りなさいよ!」
 少女はそう言って、顎で指図する。
 その言葉に涼果は悲しそうに少女を見つめると・・・
「ねぇ…琉奈、なんで毎日…こんなことをするの?」
 蚊の泣くような声で問い返した。
 日笠琉奈(ひかさりな)、 長く靭やかな黒髪で、170センチ台の長身。
 全体的に発育も良く大人びた表情といい、どう見ても中学生には見えず、高校二~三年生に間違えられる程の美少女である。
 それ程の美少女、本人もその美しさを自覚しており、今年から月に一度、丘福市に出向き、読者モデルの仕事も始めている。
 涼果の問いに琉奈は、
「ちょっと待って! なぜ私がやったと決め付けるの? 私がやった所を見たの?」
 と大声で言い返す。
「ねぇ…誰か見た? 私が涼果の机に糊を塗る所……誰か見た!?」
「いいや! 琉奈はずっとわたしたちと話をしていたよね~~♪」
 取り巻きの一人の少女、里美が琉奈に乗るように加わる。
「聞いた? 勝手な言いがかりをつけないでね!」
 琉奈はそう言って、涼果を睨みつける。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第15話(2)

「………………」
 何も言い返せない涼果・・・
「ちょっっと……」
 様子を見ていた心美が口を挟もうとした瞬間、
「ホラ、チャイムなったぞ! みんな席に着け!」
 と教壇から担任教師の声が聞こえた。
「は~い!」
 琉奈も、取り巻き連中も、打って変わったように席につく。
「おい、初芽も早く席に着かんか」
 椅子の前で黙って立っている涼果に、教師は注意を促した。
「あ…あの……」
 涼果が教師に言葉を返そうとすると、琉奈を始め、一斉に周りの視線が涼果に集まる。
 その視線は、明らかに脅迫めいた視線。
「いえ……なんでもありません……」
 涼果は黙って、椅子に腰掛ける。
 ヌチャっと、冷たいような、ヌルヌルしたような感触が尻に伝わる。
 結局、授業は何事もなかったようにそのまま進んだ。


「凛、どこに行くっちゃ?」
 休み時間、教室から出ていこうとする凛に、千佳が呼びかけた。
「ちょっと部活の事で、田中先輩の所に・・・」
「田中先輩……? ああ、朝のあの先輩ね~。 よっし、ウチも付いて行くっちゃ!」
「え……!? なんで…?」
 その問いに千佳は・・・
「ボディーガード!」
 と、自身の胸をポンと叩いた。
 わたし、殴り込みにいくわけじゃないんだけど・・・
 そうツッコミたい凛であったが、言うだけ無駄かな…?と思いながら、小さく溜息をついた。
 
 同じ頃、三年教室そばにある女子トイレの洗面台で、涼果がスカートにこびりついた糊を、ハンカチで拭きとっていた。
 すっかり乾いてパリパリになってはいるものの、普通の糊だったお陰で思ったより簡単に拭き取る事ができる。
 悲しいけど、それが唯一の救いのように、丁寧に拭き落としていく涼果。
 そこへ、またも琉奈とその一行が入ってきた。
「あら、学校で洗濯? 苦労が絶えないね……涼果」
 小馬鹿にしたように、冷ややかな笑いを見せる琉奈。
「ねぇ……琉奈、私達も手伝ってあげようか?」
 誰かが笑いながら、そう付け加えた。
「いいわね、それ! よし…みんな、涼果の洗濯を手伝ってあげましょう!」
 琉奈がそう合図を送ると、一斉に涼果のスカートを引きずり落としにかかる。
「や…やめてよ!!」
 抵抗する涼果。
「履いたままじゃ、スカート洗濯できないでしょ? いいから任せなよ!」
 ファスナーを開け、強引にスカートを膝下まで引きずり落とす。
 幸い、下には体育用の短パンを履いているから下着は見えないものの、それでも恥ずかしい事には変わりない。
「やだ! やめてって!!」
 必死に拒む、涼果。
 その声はトイレの外、廊下まで響き渡っているが、誰も止めに入ろうとしない。
 それどころか、中を覗いてクスクス笑っている者すらいる。
 その時・・・
「やめてあげてください!」
 凛とした声と共に、一人の少女が入ってきた。
 一斉に声の主に焦点を合わせる。
 どう見ても年下、サイドテールのその少女は・・・
「凛! どこに行ったかと思ったら、こんなところで何してるっちゃ?」
 後ろから、素っ頓狂な千佳の声が聞こえる。
「誰、あなた……? 関係ないでしょ?」
 琉奈は凛に向かって問いかけた。
「先輩、貴方のやっていることは、一種の暴力です。やめてあげてください!」
 凛は再度、琉奈達の行動を押しとどめた。
 そんな凛の態度が気に入らないかのように、取り巻き少女の一人、里美が間に入る。
「お前…一年生? いい子ぶっていると、アンタのスカートも洗濯しちゃうよ?」
 そう言って、凛のスカートに手を掛けた。
 だが、その手を更に上から掴み、妨げる人物がいた。
「凛のスカートに手を触れていいのは、世界中で唯一人・・・、ウチだけっちゃよ!」
 言わずとしれた、千佳である。
― 誰が決めた? そんな事・・・―
「アンタも一年生? あんまり出しゃばると、不幸な目に会うよ!?」
 里美はそう言って、千佳にガンをつける。
プチン!
「あ!?」
 千佳のコメカミ辺りで、何かが切れる音がした。 
「なぁ……先輩、不幸な目ってなんや? 教えてくれん?」
 ギラギラした目に、歯をむき出した挑発的な笑顔で、里美の顔を覗きこむ。

妖魔狩人 若三毛凛 if 第15話(3)

「だ…だから、不幸な目だよ! たとえば、ミンナからシカトされるとか……、予期しない怪我をするとか……」
「へぇ~、不幸な目って、そんなんや? 凄いねぇ~! じゃあ・・先輩も不幸な目に合わんとええな。 たとえば……予期せぬ、『死っ!!』…とか」
 そう言う千佳の右手…爪先が、ピクリと動く。
「千佳っ!」
 明らかに、異様な殺気を千佳から感じ取った凛は、慌てて千佳を諌めた。
「里美も、一年生相手にムキにならないで!」
 琉奈も里美を引き止める。
 いつしか、トイレの周りには大勢の人集りができ、あまりの騒ぎに数分後には、教師まで駆けつける羽目になった。
 もっとも、教師が駆けつける頃には、当事者本人たちは、騒ぎに便乗してその場から立ち去っていたが。

 

「やっぱり、おかしい……」
 授業、部活を終え、自宅に戻った凛は自室に優里を招き、金鵄と三人で今日の出来事を話し始めた。
「千佳さんって、元々気が短い方なの?」
「ええ…まぁ、たしかに短気な方で、小学生の頃から男子と喧嘩するとか、よくありました。でも・・・・」
「明らかに様子が可怪しい……と?」
「はい、嫌悪感とか、その場限りの怒りとか、そういうのとは明らかに違う・・・本気の殺意のような」
 凛はそう言いながら、あの挑発的な笑顔、そして……嬉しそうに動いていた右手の様子を思い出した。
「よく自分が大きな力を持つと、気が大きくなって性格も変わるって話を聞くわよね?」
 そんな優里の言葉に・・
「いや、もしかしたら・・・妖怪の血のせいかも知れない」
 と、金鵄が呟いた。
「妖怪の血・・・のせい?」
「うん、千佳は妖怪火山猫と細胞レベルで融合したんだよね? …という事は、彼女の身体に流れるその血は、半分は妖怪の血。 本能と弱肉強食の中で生きるぬく血・・・」
「じゃあ、あの時の千佳は、半妖になったせいで本物の殺意があった・・・という事?」
「たぶんね。 普段は人間の知性や理性が身体を支配しているけど、もし本能や感情が理性を上回ったら、彼女の身体にも異変が起きるかもしれない」
「単純に強い仲間を得た・・・と、喜んでいるだけではいけないって事ね」
 優里は深刻な表情で呟いた。
「ねぇ…金鵄、千佳は元の人間に戻れないのかな?」
 悲しそうな目で凛が問いかける。
「これは僕の想像であり仮説だが、最初に千佳が妖怪化した時、凛の浄化で元の人間に戻りきれなかったのは、彼女の潜在意識に残る『想い』や『悔い』じゃないかな?」
「想いや……悔い……?」
「そう、彼女は妖怪と戦っている凛を、助けてあげたいという気持ちを、妖木妃につけ込まれ妖怪化した。 強い力を得たという意味では、妖怪化した事は彼女にとって本望だったのかもしれない。 だが、凛を助ける事なく浄化され、その力を失う・・・。その想いや悔いが、浄化を不完全なものにした」
「じゃあ……千佳があの時の記憶を思い出したのも、すべてわたしを守りたいという気持ちが残っていたから・・・?」
「うん。だから、今……半妖となって妖魔狩人の仲間入りしたのは、彼女にとってこの上ない喜びなのかもしれない。 その気持が強ければ強いほど・・・人間に戻るのは難しい」



 同じ時刻、涼果は村外れに向かって歩いていた。
 本来なら今日は学校の近所にある、塾へ通う日。受験まであと半年近くしかない。
 だが、塾へ行けば、そこでも琉奈に出会う。
 元々琉奈を塾へ誘ったのも、涼果だった。
 涼果と琉奈は家が近所同士の幼なじみ。
 今では想像もつかないが、幼いころ涼果は活発な女の子で、琉奈は病気がちな大人しい女の子だった。
 そんな事もあり、あの頃は涼果が琉奈を引っ張って、色々な遊びに誘っていた。
 病気がちで同級生から虐められても、涼果が守っていた。
 だが、小学校に上がり高学年になって、琉奈は身体も丈夫になり、身長も学力も運動神経も・・・そして容姿も、全て涼果を上回った。
 中学校に上がると、琉奈は大人びた容姿で男子生徒から注目を浴び出した。
 学力も高くクラス委員長になり、運動力でも陸上部やバレー部から誘いも受けていた。
 でも琉奈は、何をするにも涼果を基準で考えた。
 一緒に部活をやろうと涼果を誘っても、涼果が無理そうだと答えると、自身も誘いを断っていた程だ。
 塾に通いたいけど、一人で通うのは心細いと涼果が言えば、琉奈も一緒に通うと言ってくれた。
 そう、二人は大の仲良しだったのだ。

 なのに一ヶ月前から、琉奈は変わった・・・・。
 敵意丸出しの眼差しで睨みつけ、手の平を返したように涼果を虐めの対象にした。
 理由を聞いても「ウザイ」「シネ」としか返ってこない。
~~~~~♪
 携帯からお気に入りの着信音が鳴り響く。
 見るとメールが来ており、そこにも見慣れた「早く逝け」「死んだ?」等の嫌がらせが。
「もう……辛い……」
 涼果は独り言を呟いた。
 何気なくそのまま携帯を弄っていると、都市伝説の書き込みが目に入った。
 最近、隣町……丘福市で話題になっている『蜘蛛女』の都市伝説。
 一部では、嫌がらせを受けた女性の、復讐を代行したという説が流れている。
「復讐代行する、蜘蛛女・・・。いいな……この村にも現れないかな?」
 そう呟いていると・・・
「なにか、悩み事かな?」
 いきなり背後から、声を掛けられた。
 そこには、色白で長身長髪の袴姿の男が立っていた。
「身共は、その先にある社で宮司をしている者。 なにやら、復讐とか、蜘蛛女がどうとか耳に入ったが、話を聞かせてもらえぬか?」
「い…いえ……、神主さんに聞いて頂くほどのことでも・・・」
 涼果がそう断ると、宮司・・いや、白陰は涼果の持つ携帯に目をやった。
「なるほど、最近有名な都市伝説のことだな? 実はその伝説と似たような話が、うちの社にも伝えられておる」
「えっ!? そうなんですか?」
「うむ。 元は普通の人間の女性だったのだが、ある事件より神に力を与えられ、大蜘蛛の力を得た・・・」
 白陰はそう言うと、懐から小さな袋を取り出し、中から二粒の小さな種を差し出した。
「この種は、我が社に伝わる神の種。 この種を飲むことで、神に選ばれた力を得ることができる。その蜘蛛女のようにな・・・」
 涼果は白陰の言葉に不信感を抱きながらも、二粒の種を受け取った。
「もし、汝が今の自分・・今の生活を変えたいと思うのであれば、ここでソレを飲みこむがいい」
 蛇のような冷たい眼差しに、氷のような笑み。明らかに怪しいのは目に見えている。
 だが、何もしなければ…何も変わらない。
 明日も、同じように琉奈の嫌がらせは続くだろう。それは死にたい程辛い。
 涼果は、そんな生活より死ぬことを選んだ方がマシとすら思っていた。
 ならば・・・・
 一気に二粒の種を飲み込んだ!
「いやぁぁぁぁぁぁっ!!」
 激しい痛みが全身を襲った!
 足から根が生え、両腕は枝の様に伸び始める。見る見るうちに涼果の身体は、一本の樹木と化していった。
 根本には、先程まで涼果が手にしていた携帯が落ちている。
 白陰はソレを拾うと、中身をチラリと見、懐に閉まった。

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 今回はいつもより、かなり長めになっております。ww
引き続き、下のスレ「中編」を御覧ください。

| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 17:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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