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妖魔狩人 若三毛凛 if 公式外伝 02『凛、激怒する ―後編―』 作:MT様


「いいわ、外に出してあげる」
凛は笑顔で、人形に語りかけた。
「ごめんね、しまいっぱなしで、忘れちゃって…」
凛はしゃがみこんで、人形の頭をなでた。
「本当!? ありがとう!」
ぴょこんと、人形は凛に抱き着いた。
「あ、あれ… 力が抜ける…?」
凛はへたり込み、そのまま意識が抜けていった。
だんだん広くなる天井と、大きくなっていく人形を目にし、凛は気絶した。
とことこと、道を歩く姿があった。
ゴシックロリータの衣装に帽子で、田園風景には不釣り合いの、謎の少女だった。
ロングスカートをふらふらさせて、喜びながら歩いていた。
「凛の気配が消えるなんて…! どこいったの!?」
横を、別の少女が走っていった。いつもは凛々しいのだろうけれど、血相を変えて走り去っているようだった。
ぴょこんと、少女の持つカバンから、人形が顔を出した。
「まさか、人形になっちゃうなんて…」
人形は妖魔狩人の格好をして、妖魔狩人の顔と形を、しっかりと模っていた。
まだわずかながらに霊力が残っているおかげで、自分の意思で動くことができて、しゃべることができた。
しかし、霊力の大半は、カバンを持った少女に吸収されてしまい、今ではその少女の妖力へと変換されてしまっている。
強大な妖力を持っていても気が付かれないのは、それを発散していないからである。
もしも発散していたなら、今頃残りの妖魔狩人に袋叩きにされているか、はたまた妖怪にスカウトされているだろう。
少女は歩き、自然を、街を、人をじっくりと眺めた。
目に入るものすべてが新鮮で、美しいものだった。
小学校の前にたどり着いて、少女は面白そうなので、入っていった。
もう下校時間を過ぎて、生徒は全くいなかった。
「せんせー さようならー」
女の子が二人、ぺこりとして玄関から出て行った。
学校の水槽などの飼育をする委員会に入っており、当番だったのだ。
「あ、かわいい~!」
少女は手を開き、その女の子二人に向けた。
ぱっ
女の子二人が、消えてしまった。
地面には、その代りに人形が二つ落ちており、笑顔を見せていた。
「ちょっと! なにしてるのよ!?」
凛人形が怒ったものの、何の解決にもならなかった。
人形二つはふわふわと浮きながら、少女の手元へとやってきた。
「いやあ、かわいいから、つい…?」
人形二つを頬ずりすると、カバンへ突っ込んでしまった。
カバンから上半身を出した凛人形は、ぽこぽこ脇腹を叩いて訴え、さらに突っ込まれた人形を、カバンから落ちないようにと位置を変えていた。
校舎から、メガネの女性が出てきて、ゴシックロリータの不審者に気が付いた。
しかし、その不審者が、記憶にある子供そのものだったので、思わず駆け寄っていった。
「あら~ 凛さん! お久しぶりね~」
ぱっ
そんな女性も、もうすでにいなかった。
代わりにあった人形は、メガネのパーツが特徴的だった。
それはふわーっと、やってきて、頬ずりされた後に、カバンに突っ込まれた。
「先生… ごめんなさい…」
凛は、メガネの女性のことを、よく覚えていた。去年までお世話になった教師の一人だったのだ。
新たな人形3つは、霊力がないためにしゃべることも動くことも、なかった。代わりに少女の妖力が、少しずつ体内に残留していることを、今の凛人形は見抜けなかった。
その後、異変を察知した音楽教師が飛び出てきたものの、今ではよく似た人形が、カバンの中に入ることになる。
それからは、道行く人を見定めて、かわいいかどうかを確認していた。
かわいければ、姿を消して、かわいくなければ、そのままだった。
いたるところに妖力の痕跡を残したために、異変を察知した妖魔狩人の片割れがいたるところに駆け付けるものの、一向に発見できず、へとへとになっていた。
やがて夜になり、少女は元いた家に、凛の家にやってきた。
カバンは人形がいっぱい入っており、いろいろな格好をしていた。
詰め込まれたおかげで、身動きが取れなくなった凛人形は、カバンにしがみついているだけだった。まるでアクセサリーのようだった。
凛の部屋について、カバンを置き、凛人形を取った。
「本当はね、着せ替えたりして遊んであげたかったの… でもね、他にお洋服ないから、我慢する」
少女は少々物足りないながらに、それなりに満たされたようだった。
「楽しかったよ! ありがとう!」
少女は光を放ち、みるみると縮んでいった。それに対応するかのように、凛人形は大きくなっていった。
ぽとっ
人形が一体、落ちていた。それだけだった。
人形から抜けきった妖力は、凛の部屋から飛び出して、いたるところへと散って行った。
それに合わせて、人形たちはみな元の姿に戻っていった。
「ちょ、ちょっと! どうするのこれ!?」
凛の部屋は、数十人が雑魚寝しており、ぎゅうぎゅうになっていた。
その後、ようやくそろった妖魔狩人二人で、人間たちを街へと放流することとなった。
今回のことで、凛が周囲に張っていた霊力が、付喪神から発せられた妖力が、新たな悲劇と事件を生むことになることを、そして被害者を始め、街の人間たちに妖力が残留していたり、霊力が宿っていたりすることに気が付くようになるのは、また別のことなのだ。
凛は、棚の上に人形を飾り、今日も元気に登校していった。

Good End

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「ごめんなさい… あなただけで外に出すわけには…」
凛は、この付喪神を外に出すことで、どんなことになるのか、予想がつかなかった。
そこで昔使っていたカバンを出して、それの口を人形に向けた。
「これに入ってくれれば、私がお外に出してあげるわ それじゃダメ?」
凛は穏やかな口調で、刺激しないように、人形に話しかけたつもりだった。
「ダメ! 自分の足で歩きたいの! ずっと閉じ込められてたんだもん!」
人形は、凛へと飛び出し、その口にちゅっと、唇が触れた。
「きゃっ! な、なにを…」
凛は、みるみると縮んでいき、人形くらいの大きさになった。
霊力がすべて抜けきって、人形へと取り込まれてしまったのだ。今の凛は、ただの凛人形でしかない。
「(か、体が動かない…!?)」
凛人形を見下ろすのは、一人の少女だった。
ゴシックロリータに身を包み、帽子を目深にかぶってはいるものの、凛にそっくりだった。生き写しのようでもあるが、自然な笑顔は、当の本人にはできないだろう。
「やったわ! じゃあ、行ってくるね~!」
カバンを拾って、少女はうきうきと、部屋から出て行ってしまった。
凛人形は、取り残されてしまっていた。
「(そんな… どうしよう…)」
凛は、取り残されること、忘れ去られることを恐怖した。そして、人形のことを思い、ようやく自らの行いを恥じた。
「凛!? いる!?」
一人の少女が、思いっきり入ってきて、人形を踏んづけてしまった。
「(むぎゅっ!?)」
「い、いない…? どこいったの…?」
もう一人の妖魔狩人を探す少女もまた、妖魔狩人なのだ。が、普段の頭の固さゆえに、異変に対応できていなかった。
「これは… 人形? 凛にそっくりね…」
人形をひょいと持ち上げて、まじまじと眺めた。
が、それは適当に放り投げてしまった。
「こんな小汚いの、凛なわけないわね… 妖怪の挑発かしら? 舐めた真似してくれるわね…!」
ぎりっと奥歯を噛みしめ、少女は走って行ってしまった。
「(そ、そんな… 酷い…)」
凛人形は、怒りと悲しみがボーナスで付加された。
やがて夜になり、星が、月が見えた。
「ただいまー!」
カバンいっぱいに人形を持って、少女は帰ってきた。
いろいろな人を襲ったためか、行く前よりもずいぶん生き生きと、健康そうになっていた。
どさどさとこぼれる人形の中に、もう一人の妖魔狩人に似たものがあった。
「(ああ… 負けちゃったんだね…)」
凛人形は、少々残念に思ったものの、なんだか内心すっきりとしていた。
「じゃあ、お着替えターイム!」
少女は座り込み、人形の服をどんどん脱がしていった。
「(や、やめて… 恥ずかしい…)」
凛人形も、下着を残して服を奪われた。
人形になるのは二度目とはいえ、気持ちのいいものではなかった。
凛人形を持って、脱がした服を着せてはうっとりとし、また脱がせた。
お姉さんのものだったり、学校の先生のものだったりと、着せ替えは何度もされていた。
白い妖魔狩人の衣装を取ると、それを凛人形に着せていた。
胸などのサイズが合わないために、あんまり見栄えはよくなかった。長刀を持たせても、締まらなかった。
一方、もう片方には、凛人形が着ていた衣装を着せた。こちらもサイズが合わないために、ぴちぴちだった。
「ありがとう! 満足したよ!」
少女はそう言い残すと、体が発光し、みるみる縮んでいった。
ぽとっ
人形が床に落ちて、静かになった。
部屋は、人がいっぱいいて、みな気絶していた。ほとんど半裸だった。
空気中に妖力やらが発散してしまったために、これからもどんどんと、悪いことが起きることとなるのだ。
全てがなんとか収まった頃、ようやく日常に戻った時、凛はぷんぷんしており、しばらく話をしてくれなかった。
「どうせ私は、小汚いですよ~だ!」
付喪神に対するトラウマが、また増えた。

Bad End

| 妖魔狩人 若三毛凛 if 外伝 | 11:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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