2014.07.19 Sat
妖魔狩人 若三毛凛 if 公式外伝 02『凛、激怒する ―前編―』 作:MT様
「はあ…」
自室に帰ってきて、まず最初に出るのは、ため息だった。
普段は女子生徒として学校に通い、学業に精を出す。
しかし、もう一つの顔があるのだ。
妖魔狩人として、漆黒の衣装に身を包み、妖怪を退治する、それが彼女の、凛の日常だった。
毎日妖怪が出るということは、もちろんない。異変が起きるということも、事件が起きるということも、まずない。
しかし、それは気が付かない、明るみに出ないだけであって、実際には毎日、毎時間、毎秒起きているのだろう。近くでも、遠くでも。
凛はここの所、気が休まることがなかった。悪しき妖怪に加えて、今度は付喪神までもが、活性化してしまったのだ。彼女の周りには、異変だらけだった。
付喪神に関しては、彼女は少々トラウマになっていた。最初の最初に戦った付喪神が、凛にぬぐい難いトラウマを与えてしまったのだ。死傷者が出ず、無事に解決しただけでも儲けものかもしれないが、小さな胸の乙女の心に、結構なひびが入っていた。
もう何が起きてもいいようにと、凛は霊力を薄く、広範囲にまで張り巡らして、霊力の流れ、妖力の流れを感知しようとしていた。そのために、連日くたくたになっていた。
着替えようと、服に手をかけたところ、自分の部屋に違和感を覚え、きっとタンスをにらんだ。
いつもの制服から、別の衣装へと変わっていった。漆黒の衣装に弓を持つ、妖魔狩人としての凛だった。
弓を手に、恐る恐るタンスに近づき、思いっきりタンスを開けた。
「…あれ?」
タンスの中には、人形が一体、凛の荷物を足場にして、立っていた。
「お久しぶり!」
人形はにこにことしていた。凛は、その人形の顔を、衣装を見て、記憶を思い出していた。
かつて幼いころに、友達がプレゼントにと、くれたものだった。
「凛とそっくりちゃね♪」
当時は珍しかった、ゴシックロリータの衣装の人形は、凛にとっては物珍しいものだった。しかし、時がたち、整理のためにタンスに入れたまま、いずれ溜まった荷物に埋もれて、忘れ去られてしまっていた。
「あなた… 付喪神よね?」
弓を構えるのをやめて、凛は尋ねた。
「よくわかんない… でもね、私、あなたに会いたかったの!」
人形はぴょんと跳ねて、床へと降りた。見れば見るほど、懐かしい人形だった。
フリフリのついた帽子は、真っ赤な花のパーツが取れたので、ボンドで取り付けたのを、思い出していた。
「な、なんで私の部屋の、私の人形が、付喪神に…?」
凛は、考えていた。その原因を探ろうと、考えていた。
「ねえ、お願いがあるの…?」
人形が恐る恐る、顔をあげて、凛を見上げながら訪ねてきた。
「お外に出てみたいの… お願い!」
凛は悩んだ。この間のこともあったので、付喪神に対して及び腰になっていた。
だが、これではいつまでも解決しない。
凛は考えた。
①外に出す
②外に出さない
----------------------------------------------------------------
『-後編-』へ続く。
そのまま、下のスレをご覧ください。
自室に帰ってきて、まず最初に出るのは、ため息だった。
普段は女子生徒として学校に通い、学業に精を出す。
しかし、もう一つの顔があるのだ。
妖魔狩人として、漆黒の衣装に身を包み、妖怪を退治する、それが彼女の、凛の日常だった。
毎日妖怪が出るということは、もちろんない。異変が起きるということも、事件が起きるということも、まずない。
しかし、それは気が付かない、明るみに出ないだけであって、実際には毎日、毎時間、毎秒起きているのだろう。近くでも、遠くでも。
凛はここの所、気が休まることがなかった。悪しき妖怪に加えて、今度は付喪神までもが、活性化してしまったのだ。彼女の周りには、異変だらけだった。
付喪神に関しては、彼女は少々トラウマになっていた。最初の最初に戦った付喪神が、凛にぬぐい難いトラウマを与えてしまったのだ。死傷者が出ず、無事に解決しただけでも儲けものかもしれないが、小さな胸の乙女の心に、結構なひびが入っていた。
もう何が起きてもいいようにと、凛は霊力を薄く、広範囲にまで張り巡らして、霊力の流れ、妖力の流れを感知しようとしていた。そのために、連日くたくたになっていた。
着替えようと、服に手をかけたところ、自分の部屋に違和感を覚え、きっとタンスをにらんだ。
いつもの制服から、別の衣装へと変わっていった。漆黒の衣装に弓を持つ、妖魔狩人としての凛だった。
弓を手に、恐る恐るタンスに近づき、思いっきりタンスを開けた。
「…あれ?」
タンスの中には、人形が一体、凛の荷物を足場にして、立っていた。
「お久しぶり!」
人形はにこにことしていた。凛は、その人形の顔を、衣装を見て、記憶を思い出していた。
かつて幼いころに、友達がプレゼントにと、くれたものだった。
「凛とそっくりちゃね♪」
当時は珍しかった、ゴシックロリータの衣装の人形は、凛にとっては物珍しいものだった。しかし、時がたち、整理のためにタンスに入れたまま、いずれ溜まった荷物に埋もれて、忘れ去られてしまっていた。
「あなた… 付喪神よね?」
弓を構えるのをやめて、凛は尋ねた。
「よくわかんない… でもね、私、あなたに会いたかったの!」
人形はぴょんと跳ねて、床へと降りた。見れば見るほど、懐かしい人形だった。
フリフリのついた帽子は、真っ赤な花のパーツが取れたので、ボンドで取り付けたのを、思い出していた。
「な、なんで私の部屋の、私の人形が、付喪神に…?」
凛は、考えていた。その原因を探ろうと、考えていた。
「ねえ、お願いがあるの…?」
人形が恐る恐る、顔をあげて、凛を見上げながら訪ねてきた。
「お外に出てみたいの… お願い!」
凛は悩んだ。この間のこともあったので、付喪神に対して及び腰になっていた。
だが、これではいつまでも解決しない。
凛は考えた。
①外に出す
②外に出さない
----------------------------------------------------------------
『-後編-』へ続く。
そのまま、下のスレをご覧ください。
| 妖魔狩人 若三毛凛 if 外伝 | 12:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑