2014.02.11 Tue
妖魔狩人 若三毛凛 if 第10話「凛のために・・ -後編-」
「保証……できるのですか?」
「えっ!?」
「私が人形になれば、凛ちゃんやその他の女性たちが、元に戻れるという保証はあるのですか?」
「や…約束は、守るよ……」
「信用できませんね」
優里はそう言うと、薙刀を頭上高く振り上げた。
「妖怪である貴方の事、私を人形にした後……凛ちゃんたちも、そのまま持ち帰る可能性があります」
―ギクッ……!―
「それに、仮に一旦は戻したとしても、また多くの人々を人形に変えていく恐れがありますよね」
「そ…それは……」
「だったら、ここは凛ちゃんたちを犠牲にしてでも、貴方を討ち取った方が、村や多くの人々のため!」
優里の目に殺気が篭もる。
「覚悟してください!」
そう言って、薙刀を一気に振り下ろした!!
「わ……わ……わ……わかったぁぁぁぁぁっ!!」
再度、待ったをかける春人。
「今すぐ……今すぐ、あの子を元に戻す!!」
春人は大慌てでツタを伸ばし、人形の凛を包み込んだ。
薄い光がツタごと包み込む。
すると光は徐々に大きくなり、やがて人の形になると、そこには元の姿の凛が。
キョトンとして周りを確かめる凛。
「優里……お姉さん……?」
その言葉に優しく微笑む、優里。
たしかに元に戻っている。
「な…! な…! 元に戻しただろう! だから、助けてくれ!!」
春人は必死に懇願した。
「まだ他の女性たちが戻っていませんよ」
優里は強い視線で返す。
「わかった……、わかったよ……」
春人は更に数本のツタを伸ばすと、同じように三体の人形を包んだ。
そして髪を括った女子高生も、他の女子高生や女性も、元の姿に戻った。
「これで全部だ! なっ、約束は守っただろう? だから、助けてくれ」
優里は女性たちを確認すると
「たしかに。では私も貴方に手をだすのを止めます」
そう言って、薙刀を手放した。
「じゃ……じゃあ! 約束通り、君を人形にするよぉぉ!!!!」
春人は打って変わったようにツタを伸ばすと、優里の身体に巻き付けていく。
その時……
「凛ちゃん、今よっ!! 妖怪を撃ちなさい!!」
優里が叫んだ!
「は……はいっ!?」
一瞬呆然とした凛だが、直ぐ様我に返り、春人に向かって霊光矢を放った!
青白い閃光が一直線に飛び、春人の胸に突き刺さる。
「そ…そんな……、ずるく……ね…?」
呆然とした表情のまま、春人は青白い光の粒に包まれていく。
優里に巻き付いたツタも消え去り、春人は普通の人間の姿に戻っていく。
気を失って倒れている春人を確認すると、優里は凛の下に歩み寄る。
そして優しく凛の頭を撫でると
「ありがとう凛ちゃん、よくやってくれたわ」
と声を掛けた。
優里の言葉に頬を赤く染めた凛。そして
「い……いえ、わたしこそ、ありがとうございます……」
と照れながら、返した。
「ところで、彼女たちはどうする?」
気を失って倒れている三人の女性や春人を見て、金鵄が尋ねた。
「すぐに警察に連絡して、保護してもらいましょう。これから先は私達は関わらないほうがいいと思います」
優里のきっぱりした返事に、凛も頷いた。
「それと、あの妖怪化した青年の記憶は大丈夫なんだろうか?」
金鵄は更に付け加えるように尋ねる。
「うちの母もそうでしたけど、凛ちゃんの浄化の矢は、姿形を元に戻すだけでなく、妖力も……、そしてその間の記憶も消し去るみたいです。だから大丈夫でしょう」
「なるほど、改めて凛の霊力は凄いね・・・」
金鵄は感心したように呟いた。
「だから私は、凛ちゃんのその力に賭けたんです」
予想もしない優里の言葉に、金鵄は思い出したように尋ねた。
「そう言えば、優里は本気であの妖怪を討ち取る気だったのかい?」
金鵄の問いに静かに首を振ると
「あの場面、凛ちゃんならどんな結果を望むかな?…って考えたんです」
「凛……なら?」
「ええ、凛ちゃんならきっと、女性たちを全て元に戻し、尚且つ妖怪化した彼を人間に戻して、一人の犠牲も出さない。そんな結果を望むだろうって」
「は…はい……」
「丁度、あの妖怪の元の人を思い出して……。あの彼、私が前にいた高校の先輩だったんです。当時、2~3回私に付きまとった事があって……、その時ちょっと強めに注意した事がありました」
「そ…そうなのか!?」
「ええ、根は悪い人では無いと思うのですが、気が弱いところがありましたね。だから今回、脅しをかけてみたのです」
「それで、あんな強気な態度を!?」
「術を解かせて……予想以上に上手くいきました。あとは……」
「凛の浄化の矢で、元に戻す……と!」
「はい。この形が一番ベストな結果だと思いました」
優里はそう言ってニコリと微笑んだ。
話を聞いていた凛は、しきりに感心するばかり。
「ただ武術ができるだけではない。的確な状況判断、そしてそれを実行できる、強い精神力」
「改めて、優里さんの力を知りましたか?」
帰り道、金鵄はセコと二人で語り合っていた。
「麒麟が彼女に全ての力を譲ったのも、わかる気がする」
「麒麟様が優里さんの事を一番気に入った理由は、実は他にあるんです」
「それは?」
「彼女が力を譲り受ける日でした。優里さんは麒麟様に、こう告げたのです」
「この力を受け継ぐ目的は、日本を守る事では無い……と?」
麒麟は眉を潜めて、優里に尋ねた。
「はい、たしかに柚子村を……日本を、妖木妃の手から守る。それも大事ですが、私はこの力を、凛ちゃんのために・・。それを最優先に使わせて頂きたいと思っています」
「若三毛凛、金鵄と共に戦っている娘の事だな」
「私はあの子に返しきれない程の恩があります。もし…あの子がいなかったら、私はこの場にいなかったかもしれません」
「……」
「前の高校での私の行いが、学校や村にまで広まり転校を余儀なくされた時、私の心は完全に折れていました。
打って変わった村人の怪訝な目、腫れ物を触るように、必要以上に気を使う両親。
当時の私は、他人に対する不信感と自分に対する罪悪感でいっぱいでした。こんな思いをするなら、死んだほうがマシだ。そんな気にもなっていました」
「そんな……」セコが思わず呟いた。
「そんな時、唯一私に対する接し方を変えない子が、一人だけいました。
当時、小学生だった凛ちゃんです。
私はあの子に言いました。私と一緒にいると、他の人達から良い目で見られないよ…と。
するとあの子は……」
「小さい頃から、おかしな子と見られているから、別に平気です。それにそんなわたしを話を、優里お姉さんはいつも真剣に聞いてくれました。
だからわたしも、同じように優里お姉さんとお話します。
たとえ優里お姉さんが本当に悪い事をしたとしても、わたしは最後まで優里お姉さんを信じます」
「涙が出ました……。そして私は決意しました。
どんな事があっても、この子を自分の実の妹のように、守り抜いていく……と。
だから私は日本を守ることよりも、妖怪と戦う……あの子を守る事を優先したい」
「優里はそこまで凛のことを……」
セコの話を聞いて、金鵄は思わず言葉を漏らした。
「優里さんの言葉を聞いて、麒麟様はこう返されたんです」
「面白い娘だ。いいだろう、下手な正義感をかざされるより、そなたの信念の方が信じるに値する。それがしの力……、自由に使ってくれ」
「麒麟すら認めた高嶺優里……、これ以上に無い…凛の味方だ!」
金鵄は確かな喜びを感じていた。
その頃、凛の友人、千佳は自宅の自室で、悲しげな表情を浮かべていた。
「今日も凛に謝る事ができなかった……」
そう呟くと携帯の裏に貼ってある、凛とのプリクラ写真を眺める。
「ウチは半月前、明らかにこの手で凛を殺そうとしていた……。なんでこんな事、今まで忘れていたっちゃろう? 凛に謝って、真意を確かめたいっちゃ……」
正規ルート 第11話へつづく
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「本当に私を人形にできたら、凛ちゃんたちは元に戻すのですか?」
刃を向けたまま、優里は春人に確認をとる。
「も…もちろんだよ! 僕が一番欲しい人形は君だ! 君の人形に比べれば、他の人形なんて、なんの価値も無い!」
春人はしきりに頷きながら強調した。
「………………」
しばらく考える素振りをみせた優里だが、
「わかりました、私を人形にしなさい。ただし、絶対に約束は守ってください」
…と、諦めたように薙刀を投げ捨てた。
その瞬間、春人の口元が緩む。
一気に春人の腕からツタが伸び、優里の身体を包み込んだ。
為す術もなく、ツタに巻きつかれる優里。
「約束するよ! ただし、存分に弄んだ後にね~♪」
春人の下衆な言葉が耳に届いたか…否か?
既に優里の身体は、体長30㎝程の人形に成り果てていた。
嬉しそうに優里を手に取る春人。
澄んだ瞳は、まるで絵に書いたようにピクリとも動かず、長く滑らかだった山吹色の髪も、潤んだ唇も、人工的に作られたように潤いを失っていた。
「ああ……いい、いいよ……。アイドルのように可愛いこの顔に、この戦闘服。この組み合わせは神だ! 神の芸術だよ!!」
春人はそう言って、人形化した優里に頬擦りをした。
―や…やめてよ、気持ち悪い……!―
なんと、人形化したはずの優里だが、意識だけはしっかり残っていた。
もちろん言葉を発する事はできない。しかし、一体どういった事か?
では、他の凛たちも?
―優里お姉さん……、ごめんなさい……―
成り行きを眺めていた凛の人形も、しっかり自我が残っている。
しかし、他の娘たちはその様子が無い。
どうやら、凛と優里……。
持ち合わせた高い霊力が、自意識まで人形化するのを、阻んだらしい。
だが、意識があるだけで、瞬き一つできるわけではない。
却って、生き地獄を味わうだけであった。
「それじゃ……持って帰って、じっくり堪能するとしよう♪」
先程放り投げた凛や女子高生の人形も拾い上げ、春人は家路を急いだ。
「春人、あんた……一週間近くもどこへ行っていたのよ!? お母さん、どれだけ心配したか!」
帰り着いた早々、母親が機関銃を乱射するように捲し立てる。
それはそうだろう、春人が家を出てから妖怪化し、優里に出会うまで、六日の日時を費やしている。
大学生とはいえ、それだけの日数を連絡無しに空けていれば、親は心配する。
だが、
「うるさい……、僕に指図するな!」
春人はひと睨みすると、母親をツタで包み、人形に変えてしまった。人形化した母親を摘み上げると、
「こんなババアの人形なんて、使い道が無いな・・・」
そう言ってゴミ箱に放り込んだ。
部屋に戻ると、優里、凛を含む人形化した娘五体を、机の上に並べた。
春人が最初に手に取ったのは、やはり優里だった。
「僕の作った人形の特徴、それは再現力の高さ! 見た目はもちろんだが、なんと匂いまで再現されている♪」
そう言って、指先で優里の髪を撫でながら、その香りを嗅ぐ。
くん…くん…
「いい匂い……、まるで花のような香りだ♪」
―お願い…、やめて……!―
優里の意識が、心の中で叫ぶ。
次に春人の指は、案の定スカートの端を摘んでいた。
スカートをまくり上げ、中を覗いてみる。
―ちょ…ちょっと…、やめなさい!!―
「あ……、この子も短パンみたいな物を履いているんだ?」
そのまま短パンを摘んでみる。
―こ…こら…っ!!―
「考えてみれば当たり前だよな。下着のまま…こんなミニスカ履いていたら、恥ずかしくてマトモに戦えるはずが無い」
そう呟きながら、短パンを引きずり下ろした。
―だめぇぇっ!!―
「いいな~、このスタイル!」
春人の手の中には、スカートを捲り上げ、短パンを膝元まで引き摺り下ろされた優里の姿。
そして、白い脚の付け根に着いた、可愛らしい布地が目に入る。
「白地に、可愛らしい文字やイラストが散りばめられた、いわゆるプリントショーツってやつ? 両脇に付いたリボンもまた可愛いぃぃぃ♪」
―だめ……、見ないで……―
「ちょっとだけ、匂いを・・・・♪」
春人は手にした優里を鼻先へ近づける。
くん……
―いやっ!いやっ!いやっ!いやっ!いやぁぁぁぁぁっ!!―
「焼いた…チーズのような…匂い……?」
驚きとも、疑問とも取れる言葉を漏らした。
―あ・・♯……〆∪…∴※……∽…っ…!―
同時に、あまりの羞恥で、優里の意識も一気に吹き飛んだようだ。
更に二度、三度と匂いを確かめる春人。少しずつ…少しずつ…、不思議な興奮が身体の内側から高まっていく!
「いい…、いいよぉぉぉぉ!!、これが……これが、あの優里ちゃんなんだぁっっっ!!」
その興奮は止まりそうにない。
「はぁ、はぁ、中は…? パンツの中は……?」
小さな布地を摘み上げる。
「いや、待て…落ち着け! まずは一旦落ち着こう……」
そう言い聞かせながら、布地から指を離した。
「時間はたっぷり有る! お楽しみは一番最後にしよう」
春人はそう言って、優里の人形を机の上に戻した。
「メインディッシュは一番最後だ。前菜を先に楽しまなきゃ……」
再度、言い聞かせるように手に取った人形は、
―や…っ、金鵄……お姉さん……たすけて……―
凛の人形だった。
「僕は、基本的にローティーンには興味は無いけど、でも……バトルコスチュームをしていると、なんかゾクゾク~ってくるね!」
手にした凛をクルクル回しながら、観察していく。
―目が…目が回る~ぅ……―
「昔と違って、今の着せ替え人形って、自由にポーズを変えられるのも、魅力の一つだよな!」
そう言って、凛の関節を捻り、手足の向きをアチコチに変えてみる。
―痛い…痛い…っ!!―
「そうだ、アイリアンのアクションフィギュアがあったよな! どうせなら子どもの頃のように、人形同士の戦闘ごっこでもしてみるか!」
春人は押入れから宇宙怪獣のような、アイリアンの人形を持ち出すと、それを使って凛人形を突いた。
「たしか、この子の名前は……凛?とか言っていたな。よし、魔法少女凛対宇宙怪獣アイリアン!」
互いの人形を両手で突つき合わせ、擬音を口にしながら遊び始める。
「アイリアンの鋭い爪が、凛の衣類を切り裂くぅぅぅぅ!!」
自分でナレーションをすると、直ぐ様凛の衣類を脱がし始めた。
―いや……だめっ……―
凛の心の言葉など聞こえるはずもなく、次々に衣類を脱がし、下着姿にさせた。
「いいね、いいね! あ、ちなみにパンツの中は?」
春人はついでのように、凛のショーツの中を覗きこんだ。
―いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!―
「やっぱり、ツルツルなんだ♪」
解っていたとばかりに鼻で笑う春人。
これ以上のない恥ずかしさ。
もし人形になっていなかったら、その顔は真っ赤に染まっていただろう。
「さて、続き…続き!」
再び人形を立たせ、
「アイリアンの鋭い牙が、凛の腕を食いちぎるぅぅぅぅ!!」
ガオオオオッ!!
きゃああああっ!!
ナレーションだけでなく、人形の声まで当てている。
スポッ!!
内容に合わせ、春人は凛の左腕を掴むと、肩の関節から引き抜いた!
―ぃああああっっっっっっっっつ!!―
凛が絶叫を上げる! もちろん、発声はされていない。
「絶体絶命の凛、更にアイリアンは脚も喰いちぎったぁぁぁぁぁっ!」
ガブガブガブッ!!
たすけてーっ(棒)
ズボッ!
同様に、股間の付け根から太腿ごと引き抜く!
―ぁ…が……ぁ……ぁ……―
もう、声にもならなかった。
くん……。
ふと、ツンとした匂いが春人の鼻をついた。
「気のせいかな、なんか…オシッコのような匂いが……?」
不思議そうに辺りを見回す。匂いの元になりそうなものは、部屋には無いが……
と、凛人形に目をやると……
「あれ? パンツが湿っている? さっき中を覗いた時は、なんとも無かったよな……?」
指先でショーツに触れてみる。ジメッとした感触が指先に伝わった。
そのまま指先を鼻へ持って行く。どうやら匂いの元はコレのようだ。
「ま…いいか! 続きを遊ぼう!」
この後、凛の人形は、残る手足も……、そして最後には首すら引き抜かれ、完全にバラバラにされた。
その様子を眺めていた優里は、指先一つ動かせず、ただ心の中で涙するだけだった。
そして、それはいずれ自分にも振りかかる恐怖として、怯えるだけであった。
BADEND
| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 13:06 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑
光沢のおかげで人形が普段(人間)よりも立体的な仕上がりになってたところに何故か吹きましたw
人形化したらやっぱり飾ったり、いろいろといじったりしますよね~♪
しかし、人間が死ぬようなことをしたら死んじゃうのであれば、下手に分解しちゃうと意識のないただの人形になってしまうで、もったいなくて分解や人形同士の合体なんてできないですね。
窒息の危険がある箱詰めや変態プレイも厳禁……
| yorotoru | 2014/02/12 10:11 | URL | ≫ EDIT