2013.12.09 Mon
妖魔狩人 若三毛凛 if 第08話「対決 銅角 -前編-」
胡媚娘と獲猿による襲撃の翌日。
村には『神田川県警』と銘打たれた大勢の警官やパトロールカーが配備されていた。
それはそうであろう。
なにしろ昨日一日だけで十数人の村人と、警察官が殺されているのだ。
それだけに今日は、村内の学校も職場も臨時休みとし、大規模な捜査が行われている。
そんな警察官たちを横目に、紅色の瓢箪をぶら下げた大柄な男が一人、苦虫を噛み潰したような表情で眺めていた。
男は妖木妃一味の幹部である中国妖怪銅角。
彼は妖魔狩人を始末するために村へ降りてきたが、行動するにあたって、白陰から一つの注意を受けていた。
それは・・・・
「よいな? 絶対に騒ぎを起こすでないぞ。」
そもそも妖木妃一味は日本を侵略しに訪れ、秘密裏にこの由子村を拠点としようとしている。
しかし妖魔狩人の出現により計画は遅れ、様々な奇怪な事件で世間から目に付き始めてきている。
そこへ今回の殺人事件による、人間達の大規模操作。
これ以上騒ぎを大きくしてしまうと、一斉攻勢に出なければならなくなる。
妖木妃が休眠している現在、勝手な判断でそれはできない。
したがって、出来る限り秘密裏に行動をしなければならないのだ。
「チッ! 俺様は白陰と違って、こっそりチンタラ動くのは苦手なんだがな・・・。さて、どうしたものか?」
そう考えていると、古びた民家から小柄な人影が出てきたのが目に入った。
「ん……、あれは……?」
銅角は獲物を見つけたように、素早く人影に駆け寄った。
「これで荷物は全部持ち出したダ。住み慣れたいい家だったけど、白陰に見つかって殺されるよりはマシダ・・・」
そう人影は以前凛に敗れた最弱妖怪、猪豚蛇。
樫井の海辺でも凛に信じてもらえた事から、以後凛の回りをうろついている。
「妖魔狩人若三毛凛、あの子についていけば、もう惨めな生き方をしなくてもいいダヨ。それにいざとなったら守ってもらえるかもしれねぇダ!」
凛を慕っているわりには、都合のいい事を考えている猪豚蛇。そこへ・・・
「おい!!」
ドスの効いた声に振り返ると、一気に血の気が失せた。
「あ……あんたは、ど……銅角……さま……」
「お前、たしか猪豚蛇とかいう妖怪だったな。こんな所で何をしている?」
「あ……あの……べつに……」
「それと今、妖魔狩人がどうとか言っていたな。」
「い……いや……その……」
「ああ! 白陰から聞いたぜ! お前、妖魔狩人と戦って敗れたらしいな。なのに、なぜ無事なんだ!?」
「そ……それは……」
「なるほど、命を取られなかっただけでなく、俺たちを裏切って仲間にでもなったか……」
―こ……殺される……ダ……―
「そう怖がるんじゃねぇ、なんだったら見逃してやってもいいぜ!」
「えっ!?」
「ただし、幾つか俺様の問いに答えろ」
「は……はい……?」
「妖魔狩人について、性格……戦い方、知っている限り教えるんだ」
「は……はい……ダヨ」
戦闘能力はもちろん、気も弱い妖怪である猪豚蛇。
凛について知っている事を洗い浚い話した。
「なるほど、他人の命を見捨てる事ができない性格か、使えるな!」
銅角は何かを思いついたように
「おい、貴様は今から妖魔狩人の所へ行き、俺様が村人を人質に捕って待っていると伝えてこい。」
「人質を捕って……?」
「そうだ! あそこに見える建物がいい、二時間以内にあの場所へ来るように伝えるんだ!」
銅角はそう言って、小さな村の小学校を指差した。
今日は事件捜査と万一に備え、学校も全て休校になっている。そのため人の姿は見えない。
「いいな、必ず伝えろ! もし二時間以内に妖魔狩人が来なかったら、俺様が必ず貴様を殺す!」
「は……はい……」
そう言って猪豚蛇は、必死の形相で駆け出していった。
「さて、一応人質を一~二匹捕まえておくか」
銅角はあたりを見渡すと、民家へ向かって歩き始めた。
その様子を少し離れた木の影から、一人の少女が見つめていた。
猪豚蛇から知らせを受けた凛は、金鵄と共に自転車で小学校へ向かっていた。
すると、その行き先に小さな人影が飛び出る。
慌てて自転車を止める凛、見ると人影は凛と同じ年頃の少女だ。
「あんたが、妖魔狩人なの?」
立ちふさがった少女は、お団子をつけたツインテール。雪のように白い肌。クリクリとした瞳に、真一文字に結んだ口元。そしてその服装は俗に言うチャイナ服である。
「そうだけど、あなたは……?」
「あたしの名は小白、中国から来た白兎の精」
小白と名乗った少女はそう言って右手を前に差し出した。
その手には、小刀が握られている。
「あたしは昨日あんたと戦った胡媚娘姉さんの妹弟子。姉さんより半日遅れでこの村に到着した」
「胡媚娘……? あの、大猿の妖怪を操っていた!?」
そう言うと凛は、弓を構え霊光矢を向けた。
「慌てないで! あたしはあんたと戦うためにここに来たんじゃない。」
「……?」
「あたしの狙いは銅角!」
―銅角!? たしか……封印されている麒麟の魂を解放する鍵を握っている幹部妖怪!―
半日遅れで村に到着した小白は、偶然胡媚娘が銅角に殺される所を目撃したらしい。
「姉さんはアイツに殺された、あたしは敵を討ちたいんだ。そのためにあんたに頼みがある」
「わたしに、頼み……?」
「あんたの血をあたしに分けて欲しい!」
突然現れ、血を分けて欲しいと頼んできた中国妖怪 小白。
凛は小白に、自分の血を分け与えるか?
①凛は小白を信じ、血を分け与える。
②凛は小白を疑い、血を分け与えない。
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『-後編-』へ続く。
そのまま、下のスレをご覧ください。
村には『神田川県警』と銘打たれた大勢の警官やパトロールカーが配備されていた。
それはそうであろう。
なにしろ昨日一日だけで十数人の村人と、警察官が殺されているのだ。
それだけに今日は、村内の学校も職場も臨時休みとし、大規模な捜査が行われている。
そんな警察官たちを横目に、紅色の瓢箪をぶら下げた大柄な男が一人、苦虫を噛み潰したような表情で眺めていた。
男は妖木妃一味の幹部である中国妖怪銅角。
彼は妖魔狩人を始末するために村へ降りてきたが、行動するにあたって、白陰から一つの注意を受けていた。
それは・・・・
「よいな? 絶対に騒ぎを起こすでないぞ。」
そもそも妖木妃一味は日本を侵略しに訪れ、秘密裏にこの由子村を拠点としようとしている。
しかし妖魔狩人の出現により計画は遅れ、様々な奇怪な事件で世間から目に付き始めてきている。
そこへ今回の殺人事件による、人間達の大規模操作。
これ以上騒ぎを大きくしてしまうと、一斉攻勢に出なければならなくなる。
妖木妃が休眠している現在、勝手な判断でそれはできない。
したがって、出来る限り秘密裏に行動をしなければならないのだ。
「チッ! 俺様は白陰と違って、こっそりチンタラ動くのは苦手なんだがな・・・。さて、どうしたものか?」
そう考えていると、古びた民家から小柄な人影が出てきたのが目に入った。
「ん……、あれは……?」
銅角は獲物を見つけたように、素早く人影に駆け寄った。
「これで荷物は全部持ち出したダ。住み慣れたいい家だったけど、白陰に見つかって殺されるよりはマシダ・・・」
そう人影は以前凛に敗れた最弱妖怪、猪豚蛇。
樫井の海辺でも凛に信じてもらえた事から、以後凛の回りをうろついている。
「妖魔狩人若三毛凛、あの子についていけば、もう惨めな生き方をしなくてもいいダヨ。それにいざとなったら守ってもらえるかもしれねぇダ!」
凛を慕っているわりには、都合のいい事を考えている猪豚蛇。そこへ・・・
「おい!!」
ドスの効いた声に振り返ると、一気に血の気が失せた。
「あ……あんたは、ど……銅角……さま……」
「お前、たしか猪豚蛇とかいう妖怪だったな。こんな所で何をしている?」
「あ……あの……べつに……」
「それと今、妖魔狩人がどうとか言っていたな。」
「い……いや……その……」
「ああ! 白陰から聞いたぜ! お前、妖魔狩人と戦って敗れたらしいな。なのに、なぜ無事なんだ!?」
「そ……それは……」
「なるほど、命を取られなかっただけでなく、俺たちを裏切って仲間にでもなったか……」
―こ……殺される……ダ……―
「そう怖がるんじゃねぇ、なんだったら見逃してやってもいいぜ!」
「えっ!?」
「ただし、幾つか俺様の問いに答えろ」
「は……はい……?」
「妖魔狩人について、性格……戦い方、知っている限り教えるんだ」
「は……はい……ダヨ」
戦闘能力はもちろん、気も弱い妖怪である猪豚蛇。
凛について知っている事を洗い浚い話した。
「なるほど、他人の命を見捨てる事ができない性格か、使えるな!」
銅角は何かを思いついたように
「おい、貴様は今から妖魔狩人の所へ行き、俺様が村人を人質に捕って待っていると伝えてこい。」
「人質を捕って……?」
「そうだ! あそこに見える建物がいい、二時間以内にあの場所へ来るように伝えるんだ!」
銅角はそう言って、小さな村の小学校を指差した。
今日は事件捜査と万一に備え、学校も全て休校になっている。そのため人の姿は見えない。
「いいな、必ず伝えろ! もし二時間以内に妖魔狩人が来なかったら、俺様が必ず貴様を殺す!」
「は……はい……」
そう言って猪豚蛇は、必死の形相で駆け出していった。
「さて、一応人質を一~二匹捕まえておくか」
銅角はあたりを見渡すと、民家へ向かって歩き始めた。
その様子を少し離れた木の影から、一人の少女が見つめていた。
猪豚蛇から知らせを受けた凛は、金鵄と共に自転車で小学校へ向かっていた。
すると、その行き先に小さな人影が飛び出る。
慌てて自転車を止める凛、見ると人影は凛と同じ年頃の少女だ。
「あんたが、妖魔狩人なの?」
立ちふさがった少女は、お団子をつけたツインテール。雪のように白い肌。クリクリとした瞳に、真一文字に結んだ口元。そしてその服装は俗に言うチャイナ服である。
「そうだけど、あなたは……?」
「あたしの名は小白、中国から来た白兎の精」
小白と名乗った少女はそう言って右手を前に差し出した。
その手には、小刀が握られている。
「あたしは昨日あんたと戦った胡媚娘姉さんの妹弟子。姉さんより半日遅れでこの村に到着した」
「胡媚娘……? あの、大猿の妖怪を操っていた!?」
そう言うと凛は、弓を構え霊光矢を向けた。
「慌てないで! あたしはあんたと戦うためにここに来たんじゃない。」
「……?」
「あたしの狙いは銅角!」
―銅角!? たしか……封印されている麒麟の魂を解放する鍵を握っている幹部妖怪!―
半日遅れで村に到着した小白は、偶然胡媚娘が銅角に殺される所を目撃したらしい。
「姉さんはアイツに殺された、あたしは敵を討ちたいんだ。そのためにあんたに頼みがある」
「わたしに、頼み……?」
「あんたの血をあたしに分けて欲しい!」
突然現れ、血を分けて欲しいと頼んできた中国妖怪 小白。
凛は小白に、自分の血を分け与えるか?
①凛は小白を信じ、血を分け与える。
②凛は小白を疑い、血を分け与えない。
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『-後編-』へ続く。
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