2018.01.13 Sat
ターディグラダ・ガール 第七話「蛆姫とつむじ風 終章」
「あらあら……!? テオったら、美味しそうなお団子になってしまって~ぇ♪」
ミンスーたちの帰還早々、見事なみたらし団子になったテオを見て、レイカはそう言いながら、困ったような、それでいて楽しそうな。そんな表情をしていた。
「しかも~ぉ、誰か少しつまみ食いしてるわねぇ~っ!?」
レイカの鋭い問いに、ミンスーはアタフタと慌てふためいて、
「そ、それは……マゴットさんが! ワ、ワタクシは、止める間も無く……」
そう答えると、当のマゴットはまるで悪びれる様子もなく、
「はい、私めが少し頂きました。とっても美味しかったです!」
と答えた。
そんなマゴットを見てレイカは、クスクスッと笑い、
「まぁ、これからアタシたちが作る世界は、ある意味で弱肉強食~ぅ。弱い者が強い者の食べられるのは仕方ないことなんだけど~ぉ、でもテオはぁ…、今のアタシたちにとって貴重な戦力だからぁ、ここままにはしておけないよねぇ~っ!?」
と、悪戯っ子のような眼でマゴットを眺める。すると、
「ご心配なく。私め、四大元素魔法は殆ど使いこなせますので、この程度の治癒や回復ならば、水属性魔法を応用して使えば、二~三日で元通りに戻せます。もちろん、その間…彼女が動けない分の埋め合わせは、私めが責任持って行います。」
マゴットはそう言って、ペロッっと舌を出した。
「ま! マゴットさんならぁ~っその程度の穴、しっかり埋めてくれるだろうから心配はしていないけどぉ。それよりもぉ、アタシが気になっているのは例の件~っ! どうなったぁ~っ!?」
レイカはにこやかな笑顔でそう言っているが、目だけは突き刺すように鋭くなっている。
それに対してマゴット。こちらもレイカに負けず劣らずの笑顔で、
「そちらもご心配なく。もうそろそろ到着する頃だと思います。」
そう答えた。
すると、まるでその言葉を待っていたかのように、カツン!カツン!と、一定のリズムで足音が鳴り響きだした。
そして、その足音と共に一人の人影が姿を現した。
それは白いスーツ姿の男性で、ロマンスグレーの頭髪にかなりの重さの老いがしがみついている面影。
そう、誰が見ても晩年を迎えた高齢者としか言いようのない男性である。
「レイカさんは『魔界の……』って言われましたが、残念ながら魔界に該当する者はおりませんでした。そこで色々当たってみたところ、私めの部下を崇拝する『人間』の中で、丁度ピッタリ当てはまる人物がいたので、その者を呼んでみましたーっ!」
マゴットはそう言って簡単に経緯を説明する。
その言葉に続くように、現れた老人男性は重そうな口をゆっくりと開き始めた。
「久しぶりだな、茶和麗華。ワシの事は覚えておるかね?」
予想外の問い掛けに、レイカは一瞬キョトン!と目を丸くしたが、
「ええっと……、ごめんなさぁ~い! 全然知らないわぁーっ!!」
例のごとく、平常運行で答える。
「……そうだろうな。では、改めて自己紹介しよう。ワシの名は、尼元 日出世。お前が在籍していた『慶州大学』で講義を行っていた者じゃよ。」
「あらあら、そうだったのぉ? でも、その名前は聞いたことがあるような~ぁ!?」
相変わらず相手が目上であろうと、何であろうと、態度の変わらぬレイカ。そんなレイカを見て、さもお見通しと言わんばかりにニヤリと笑みを浮かべる老人。
そして彼は、こう締めくくった。
「大学ではワシの事を、皆……こう呼んでいたよ。『死神教授』……と!」
つづく
ミンスーたちの帰還早々、見事なみたらし団子になったテオを見て、レイカはそう言いながら、困ったような、それでいて楽しそうな。そんな表情をしていた。
「しかも~ぉ、誰か少しつまみ食いしてるわねぇ~っ!?」
レイカの鋭い問いに、ミンスーはアタフタと慌てふためいて、
「そ、それは……マゴットさんが! ワ、ワタクシは、止める間も無く……」
そう答えると、当のマゴットはまるで悪びれる様子もなく、
「はい、私めが少し頂きました。とっても美味しかったです!」
と答えた。
そんなマゴットを見てレイカは、クスクスッと笑い、
「まぁ、これからアタシたちが作る世界は、ある意味で弱肉強食~ぅ。弱い者が強い者の食べられるのは仕方ないことなんだけど~ぉ、でもテオはぁ…、今のアタシたちにとって貴重な戦力だからぁ、ここままにはしておけないよねぇ~っ!?」
と、悪戯っ子のような眼でマゴットを眺める。すると、
「ご心配なく。私め、四大元素魔法は殆ど使いこなせますので、この程度の治癒や回復ならば、水属性魔法を応用して使えば、二~三日で元通りに戻せます。もちろん、その間…彼女が動けない分の埋め合わせは、私めが責任持って行います。」
マゴットはそう言って、ペロッっと舌を出した。
「ま! マゴットさんならぁ~っその程度の穴、しっかり埋めてくれるだろうから心配はしていないけどぉ。それよりもぉ、アタシが気になっているのは例の件~っ! どうなったぁ~っ!?」
レイカはにこやかな笑顔でそう言っているが、目だけは突き刺すように鋭くなっている。
それに対してマゴット。こちらもレイカに負けず劣らずの笑顔で、
「そちらもご心配なく。もうそろそろ到着する頃だと思います。」
そう答えた。
すると、まるでその言葉を待っていたかのように、カツン!カツン!と、一定のリズムで足音が鳴り響きだした。
そして、その足音と共に一人の人影が姿を現した。
それは白いスーツ姿の男性で、ロマンスグレーの頭髪にかなりの重さの老いがしがみついている面影。
そう、誰が見ても晩年を迎えた高齢者としか言いようのない男性である。
「レイカさんは『魔界の……』って言われましたが、残念ながら魔界に該当する者はおりませんでした。そこで色々当たってみたところ、私めの部下を崇拝する『人間』の中で、丁度ピッタリ当てはまる人物がいたので、その者を呼んでみましたーっ!」
マゴットはそう言って簡単に経緯を説明する。
その言葉に続くように、現れた老人男性は重そうな口をゆっくりと開き始めた。
「久しぶりだな、茶和麗華。ワシの事は覚えておるかね?」
予想外の問い掛けに、レイカは一瞬キョトン!と目を丸くしたが、
「ええっと……、ごめんなさぁ~い! 全然知らないわぁーっ!!」
例のごとく、平常運行で答える。
「……そうだろうな。では、改めて自己紹介しよう。ワシの名は、尼元 日出世。お前が在籍していた『慶州大学』で講義を行っていた者じゃよ。」
「あらあら、そうだったのぉ? でも、その名前は聞いたことがあるような~ぁ!?」
相変わらず相手が目上であろうと、何であろうと、態度の変わらぬレイカ。そんなレイカを見て、さもお見通しと言わんばかりにニヤリと笑みを浮かべる老人。
そして彼は、こう締めくくった。
「大学ではワシの事を、皆……こう呼んでいたよ。『死神教授』……と!」
つづく
| ターディグラダ・ガール | 22:20 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑
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| | 2018/01/14 18:38 | | ≫ EDIT