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妖魔狩人 若三毛凛 if  第03話「妖木妃との対決!-前編-」


「ごちそうさま~。」
 朝食を終え、タンタンと階段を登り自分の部屋へ。
今日はゴールデンウィーク最終日。
凛は机に座ると、小さく息を漏らした。

昨日は色々あったわね。

 まさに予想もしない出来事ばかりだった。
森で見た『妖木妃』という名の中国妖怪と『金鵄』との戦い。
思わず飛び込んでしまったが為に、肉体的には一度死んだ…このわたし。
帰宅後に起きた、隣に住む美咲おばさんの妖怪化。
そして、妖魔狩人として、初めての妖怪との戦い。
わたしがこの手で射った矢が、村に害をなす妖怪を仕留めた。
まだこの手に、弦を引いた感触、矢を放った感触が残っている。
 妖怪とはいえ、わたしは一つの生命を奪ったのだ。

ふぅ…

 まだ、こんな事が続くのだろうか?
そう思うと、少し気が重い。

「ねぇ…金鵄、妖木妃はなぜこの村へ来たの? いったいこの村をどうするつもりなの?」
 机の本棚で羽繕いをしている、金色に輝く鳶の霊鳥…金鵄に話を振ってみる。
「まず一つ目の質問に対する答え。昨日も言ったと思うけど、ヤツはこの国を侵略しに来たんだ。
そこで、拠点として人目につかない、小さなこの村を選んだ。
もう一つの答えは、ヤツは人間を喰らう。基本的にこの村の人間はヤツの食料になると考えていい。
そして、何らかの資質のある人間を妖怪化して、自分の手下にする。」
「何らかの資質…?」
「そう、それは色々なケースがあるね。たとえば霊力が常人より優っているとか、何か深い欲望や怨念を抱いているとか…。」
「おばさんは、どうして妖怪にされたの?」
「あの美咲って女性は、わずかだが常人より霊力が高かった。おそらくそれを狙われたのだと思う。」
「霊力が…?知らなかった…。」
「まぁ、ヤツが付け入る隙があれば、どんな人間でも可能性はあるね。」
「もし…この村が、そして日本が、妖木妃に支配されたら・・・?」
「当然、利用できる人間は妖怪化し手下にされ、それ以外の人間は…」
「人間は…?」

「全て、食い尽くされる。」

「・・・・・・・・・。」
 思わず生唾を飲み込んだ。
現に美咲おばさんは妖怪になり、娘である優里お姉さんですら襲われた。
この村が、日本中が、そんな恐ろしい事になるの?

そうだ!

こうしてはいられない、早く村中の人達にこの事実を知らせ、対抗手段を整えなければ!

いや、ダメだ…。

きっと誰も信じてくれない。
幼い頃から霊感の強いわたしは、色々な体験を村の人達に話した。
でも、全て幻覚や幻聴で片付けられてきた。
今回も、きっと誰も聞く耳を持たないと思う。

やはり、わたしが村を守るしかないのね…。

「ねぇ金鵄、妖木妃はこの村のどの辺りに潜んでいるのかしら?」
「ハッキリとした居場所は特定できない。ヤツは妖力を消し、僕ら霊獣に居場所を突き止められないようにしているからね。
だけど……」
「?」
「ある程度なら仮説を立てられると思うよ。」
「本当!?」
「ああ、先程も言ったけど、ヤツはこの国を侵略しに来ている。だから自分に敵対する者をまず封じるはずだ。この僕を襲ったようにね。」
「敵対する…者?」
「うん、僕のような霊鳥や霊獣、更に日本妖怪。そして…」

「この国で神として奉られている存在!」

「神…?」
「そうさ、この国は多数神派だ。その地…その地に様々な神が存在する。動物や植物…色々な神が存在する。
僕もそういった意味では、神として扱われる事もある。」
「うん…?」
「ヤツにとって、たとえ微弱でもそういった存在は邪魔なんだ。だからまず、その地で神と崇められる者を封じる。」
「つまり…?」
「凛、この村に神社や祠はあるかい?」
「うーん…、祠はわからないけど、神社なら村はずれの森の近くに、小さな神社があるわ。」
「この村を守る神…、その神社を封じている可能性は高いね。」
幸い今日まで休日。探索する時間は十分にある。
「行ってみましょう。次の被害者が出る前に!」

あ…っ!?
そう言えば、今日なにか用事があったような…?
なんだっけ…?
しばらく考えたが、よく思い出せない。
きっと大した用事じゃなかったんだろう。

「お母さん、ちょっと出かけてくるからね。」
 凛は、そう告げると玄関から出て行った。
「はーい、いってらっしゃい。」
 母…【日和(ひより)】が台所から声を返す。

ジリリリリン~ッ

 凛が出かけて5分もしない頃、電話が鳴り出した。
台所から大急ぎで駆けつけ、電話に出る日和。
 電話先は、凛のクラスメート千佳の母親からであった。
「えっ…、千佳ちゃんですか? いえ、うちには来ておりませんが…。朝から姿が見えない? そうですか…。
はい…、はい…、ええ、もしうちへ来たら、すぐにお宅へご連絡させます。はい、失礼いたします。」


 出発してから自転車で約30分、もうそろそろ神社に着く頃。
「どうやら僕らの予想は当たったようだね、おそらくヤツはその神社にいるよ。」
「そんな事がわかるの?」
「生き物の気配が無いんだ。妖木妃が神社を占拠したため、その付近の生物達が皆逃げ出したんだと思う。」
 もし、神社に妖木妃がいれば戦闘になるかも知れない。
凛の心に緊張感が走った。

 神社の鳥居前に自転車を停め、凛は辺りの様子を伺った。
空気が重い。しかも澱んだ雰囲気すら感じられる。
 鳥居をくぐり抜け、ゆっくり先へ進む。
小さな神社だ、ほんの十数メートルも歩けば拝殿にたどり着く。
ここまで誰一人見当たらない。それどころか、金鵄の言うとおり、生き物の気配すら感じられない。
空気も冷たく、まるで真冬のようだ。
拝殿を前に、全神経を集中させる。

いる…

 たしかに、微かだが拝殿の中から邪悪な妖気を感じる。
慎重に拝殿の階段を登り始めると、
「そこにいるのは、誰じゃ?」
 中から、聞き覚えのある悍ましい声がした。

 直ぐ様、拝殿から離れる凛。同時にとてつもない邪悪な波動が立ち込める。
拝殿の奥から現れたのは、禍々しい大きな花の髪飾りを付けた、妖艶な美女。
今、ゆっくりと階段を下り、その姿をあらわにした。
「妖木妃!!」
 凛も、金鵄もその姿を忘れない。
「うん? お前はたしか金鵄。そうか…まだ生きておったのか。」
「たしかに僕はお前に殺されかけた。だが…そこにいる凛のお蔭で、生き延びられる事が出来た。」
「凛…? ほほぅ…そこの小娘が?」
 凛を見下ろすように視線を投げかける。
「なるほど、高い霊力を備えているようじゃのぅ。
で、いったいワシに何用じゃ? まさか戦いに来たというつもりか?」
 妖木妃はそう言って、不敵に笑った。

ブルッ…ブルッ…

体の内から、なんとも言いようのない震えが走る。
森の中で傍観していた時と違い、こうして相まみえてみると、その圧倒的な威圧感が身体を襲う。

「霊装!!」
 凛の全身が一瞬青白く輝く。
瞬く間に戦闘服(ゴスロリ服)を身に付け、手には弓を握っていた。
 戦闘準備をする事で、少しは威圧感に耐える事ができたが、それでも震えは止まらない。

「よ…妖木妃、わたしの質問に答えて! 貴女はこの村で何をするつもりなの?」
「そこにいる金鵄は知っておると思うが、よかろう…教えてやろう。
ワシはこの村を拠点にし、この国を我が物にする。
そしてこの国の人間どもは、妖怪となりワシの配下に収まるか、それとも中国妖怪どもの餌となるか? この二択しか残されないのだ。」
ククク… その笑みが、より一層妖木妃の冷酷さを物語る。

「できれば戦いたくは無かったけど・・・・」
 そう言うと、凛は弓を構えた。
蒼白い光の矢、霊光矢が具現化し妖木妃を狙う。
「貴女を倒さなければ、この村も…この国も地獄になる。」

妖魔狩人 若三毛凛 if 第三話(1)

「射ってみるがよい。」
 不敵な笑みを浮かべ、無防備に佇む妖木妃。
一瞬躊躇した凛だが、気を取り直し弓を射った。

蒼白い光の緒を引きながら、霊光矢は真っ直ぐ妖木妃の胸を目掛けて飛んでいく。
だが、妖木妃に当たる寸前に、まるで金粉が舞うように、霊光矢は消えていった。

!?

凛はすかさず、二発…三発と霊光矢を放つ。
しかし、一発目同様、妖木妃に当たる寸前で消え散ってしまうのだ。

「無駄じゃ。」
 妖木妃の口端が緩む。

「何故だ…、何故、凛の攻撃が当たらないんだ?」
 金鵄は、必死で原因を探ろうとする。
「凛、もう一度矢を射つんだ!」
「わかったわ!」
 金鵄の言葉に、凛は再度霊光矢を放った。
目を皿のようにして、矢を見張る金鵄。
 すると先程まで気がつかなかったが、妖木妃の周りに白い粉のような物が舞っているのが見える。
粉は妖木妃に矢が当たる寸前にまとわりつき、矢を食い尽くすように散らせていく。
「あの粉は…どこから?」
 金鵄は白い粉の出処を探す。
「花だ!あの花の髪飾りから出る粉が、妖木妃を守っている!!」
 金鵄の叫びに、凛は妖木妃の花飾りに目をやった。
たしかによく見ないと判らないが、妖木妃の花飾りから白い粉状の物が吹き出ている。
「よく見破ったな。その通り、ワシの髪飾りは生きており、その花粉はどんな攻撃も防御する。
物理攻撃も、そして…霊力による攻撃も、一切通じはせぬ。」

「それなら、まず花飾りを破壊する。」
 凛は花飾りに狙いを定め、矢を射った。だが…
「無駄じゃと言っておるだろう。」
 花飾りから吹き出す花粉が、霊光矢を蝕み散らしていった。
「金鵄、どうしたらいいの!?」
「ダメだ…、ヤツの言うとおり、僕らの攻撃は一切通用しない…」
「諦めがついたか? ならば、ワシの黒炎弾で焼き焦がれるがいい。」
 そう言う妖木妃の手のひらには、あの黒い炎の塊が。
「死ね。」
 妖木妃が黒炎弾と呼ばれる、炎の塊を放つ。

「きゃぁぁぁぁぁっ!!」
 その威力に吹き飛ばされる凛。

「ほぉ…、人間のくせに高い防御力を備えておるな。」
 妖木妃は更に黒炎弾を連発してきた。
弾幕のように飛び交う黒炎弾の中を数発喰らいながらも、必死でかわす凛と金鵄。
「凛、今の僕らではヤツに勝てない! ここは一旦撤退しよう!!」



どうする!?
①妖木妃をこのまま放っておけない! 凛は最後まで諦めなかった。
②うん、このままじゃ殺される。 凛と金鵄はその場から逃げ出した。

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『-後編-』へ続く。

そのまま、下のスレをご覧ください。

| 妖魔狩人 若三毛凛 if | 10:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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