2007.11.11 Sun
STG17 天女戦士ミオ登場(1)
…ん、「マンガはどうした?」ですか?
今回は、本編としては二度目の小説形式で公開いたします。
(一回目は、結城さん作・レイカストーリー)
私自身が小説形式でみら!エンを公表するのは、本編では初めての試み。<外伝で、セイナの憧れを公表しましたがw
そんなわけですから、小説を書くという事に、慣れておりません。
ぶっちゃけ、かなり酷いかもしれません。
なのに、なぜ…そんな無謀な事をするのか?
正直、全てマンガで描きたいのですが、シリアスな話になると必然的に長くなり、どうしてもページ数(執筆時間)が追いつかないというのが現状です。
まぁ…この自己満足の果てに・・・というサイトも、実はまだ…開設してから一年も経っていない。
…ていう事は、ひとつの形に拘らず、色々試行錯誤する余地は充分にある。
そういう考えで、ある意味冒険ですが…このような公開方式も試してみようというのが本心です。
そして、今回は…かなりシリアスな物語になっております。
てか、ギャグは全然無いと言っても過言ではありません。
いつものような みら!エン を期待されている方には、ハッキリ言って裏切ってしまうかもしれません。
ですから、そういう みら!エン が見たくない方は、素直に素通りしていただくのも、一つの手です。
しかし、本編として扱っている以上、今まで…そして今後の みら!エン の物語に深く関わってくる内容であることも、お伝えしておきます。
なので、本当に みら!エン がお好きな方。
小説でも、シリアスでも構わない…。 みら!エン の世界感が好きなのだ。
そういう方のみ、この先へお進みください。
尚、当然イラスト(部分マンガ)は用意しております。
状態変化:女生徒・木化アリ
都心隣県にある、ありふれた集合住宅の一室。
極普通の若き夫婦が暮らしていた。
そのリビングで目も開けていられぬような眩い光と共に、一人の女性が現れた。
美しい草原のような緑色の髪。
気品に満ち溢れ、涼しげな瞳に穏やかな口元。
そして、その両手には…一人の赤子の姿が。
呆然と息を飲み込みながら、その姿を見つめる…若き夫婦、神楽夫妻。
神楽良平26歳。県警本部勤務が決まったばかりの地方公務員。
神楽亜里沙(アリサ)24歳。良平の妻で、近所のスーパーでパート職をしている。
「久しぶりですね、アリサさん。」
先に口を開いたのは、気品に満ち溢れた…緑色の髪の女性。
「あ…貴女様は、天界・・天女族の女王陛下様…!!
お…おひさしぶりでございます!」
アリサは我に返ると、その場に跪き、静かに言葉を返した。
「私が尋ねて来た理由はただ一つ。アリサさん貴方にお願いがあって参りました。」
女王と呼ばれた女性はそう言うと、両手で抱えた赤子をアリサに向かって差し出した。
「この娘の名前は巫緒(ミオ)。貴方達夫妻に、正しい心と勇気をもった子に育てていただきたいのです。」
アリサは差し出された赤子をゆっくり受け抱えると、愛くるしいその表情を眺め、微笑んだ。
「これは、天女族の恒例の仕来り、子預かりの義。
かしこまりました。次期女王後継者候補になれるよう…育てていきます。」
それから15年・・・・
ここは町並みから外れた小さな公園。
日もすっかり暮れ、所々外灯はあるが、数メートル先の景色さえもよく見えない。
そこへ一人の少女が駆け込んできた。
「ん…もぅ!! どこに逃げ込んだんだよーっ!?」
息を荒立てながら、あたりを見回す少女。
「ミオ、油断しちゃ…ダメだよぉ。相手は、この暗がりを利用して襲ってくるはずだから。」
そう言ったのは、少女の頭部の周りを飛び回る…小鳥のような小さな生き物。
よく見ると、人間の少女の姿に見えるが、腕の部分が翼になっており、そう…それは、ファンタジー物語に登場する、ハーピーと呼ばれるモンスターに良く似ている。
しかし、それにしては小鳥のように小さい。
「判っているよ…ニコ。キミこそ油断しないで、ヤツを見つけてよ!」
ミオと呼ばれた少女が答えた。
小柄でスレンダーな身体つき、栗色の短髪に少年のような面立ち、見た目には中学生のようにも見えるが、ブレザーにチェック柄のスカート。それは私立聖心女子高等学校の制服である。
ガサッ!!
「上~っ!?」
ミオとニコ、二人が同時に真上を見上げる。
そこには、真っ黒な鳥とも…人間とも、どちらでも取れるようで…どちらでも無い、異様な物体が頭上を飛び回っていた。
体長は2メートル前後。全身黒い毛に覆われ、蛾のような巨大な羽を持ち、人間のような二本の足を備え、頭部が無く…胸と思われる部分に赤く光る一対の目らしきものがある。
「こ…こいつが、人々を木化させている、妖魔…!!」
ミオが頭上を見上げ、身構える。
―シィィィィィィィィィッ!!―
声とも羽音とも取れる異様な音が鳴り響くと、黒い妖魔の目らしき部分から赤い光線が放たれた。
すかさず横に跳び、光線をかわすミオ。
黒い妖魔は、次々に赤い光線を放つ。
「ミ…ミオ、あ…あれっ!!」
ニコが大慌てで指を指した。その先には偶然歩いていた一人の女生徒の姿。
「に…逃げてっ!!」
ミオが大声で叫んだが、その瞬間赤い光線が女生徒に命中した。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつ!!」
女生徒が悲鳴を上げる。
足首から下が、まるで樹の根のように地にめり込み、肌が…着ている服が…ザラザラとした木皮のようになり、髪はまるで葉のようだ。
「た…たすけ…」言い終える前に、その女生徒は木の姿をした人間。
いや、女生徒の姿をした木に変わっていた。
姿の変わった女生徒を目の前にし、悔しそうに歯軋りをするミオ。
「ミオ、危ないっ!!」
ニコの叫び声が聞こえる。
我に返り、横に跳んだミオだが、左腕に激痛が。
「うっ!!?」
ミオの左腕が、徐々に木皮になっていく…。
ミオは右手…手の平を左腕の肘の部分に当てた。
「ソニックエッジ!!」
-ソニックエッジ。風属性の魔法。
真空の刃を作り出し、あらゆるものを切り裂く事ができる。-
右手から…真空の刃が飛び出し、左腕はそのまま左肘からスパッっと切り落ちた。
切り落ちた左腕は、しばらくはピクピクと痙攣していたが、やがて完全に木化していった。
そうなのだ、黒い妖魔の光線を浴びると、たとえ身体の一部であろうと、そこから徐々に全身を木化させてしまうのだ。
その為、全身への木化を阻止する為には、光線を浴びた部分を切り落とし、進行を食い止めるしかない。
「ミ・・ミオ~~~っ!! 大丈夫!?」
ミオの失った左腕を見て、涙目になるニコ。
「だ…大丈夫…、木化された人たちに比べたら、コレくらい…」
強がってはいるものの、その額には玉のような汗が浮かんでいる。
―シィィィィィィィィィッ!!―
ミオ達の頭上で、あざ笑うように…黒い妖魔が飛び回る。
そんな妖魔を睨み付けると、ミオは右手を高々と上げ、大きく振り回した。
振り回す右腕の周りから、風の渦が巻き上がる。
「トルネード・ショット!!」
大きな風の渦が舞い上がると、一気に妖魔を飲み込んだ。
渦の中で懸命にもがき続ける妖魔であったが、まず大きな羽が引き千切られ、両足…全身と紙ふぶきのようにバラバラに千切られ、やがて消滅していった。
―ドサッ!!―
何かが倒れる音がした。
見ると、先ほど木化された女生徒が倒れている。
全身が少しずつ柔らかみを帯び、元の姿に戻っていくのがわかる。
「やったねーーーっ!!ミオっ♪」
ニコが大はしゃぎで、ミオの下に近寄る。
「妖魔を倒したから、これで木化された人々も全て、元に戻るよぉ♪」
嬉しそうに、ミオの頭上を飛び回るニコ。
だが…当のミオは、ジッと空を見上げたままだ。
「ねぇ…ニコ。あの妖魔はどうして…人々を木にしていったのかな?」
「うーん…、見たところ蛾が妖怪化したような妖魔だったから、もしかしたら…木々を切り倒す人間に復讐していたのかもねぇ?」
「だと…したら・・・」
「だとしたら…ボクには、アイツを殺す以外に…他に方法が無かったのかな?」
そう呟くミオの目は、微かに潤んでいた。
―女王様、ミオは本当に優しく…清らかで正しい心を身につけております。さすが…彼女の血を引いているだけのことはあります―
15年前・・・・・
「かしこまりました。次期女王後継者候補になれるよう育てていきます。」
そう答えたアリサに対し、女王は静かに首を振った。
「たしかに、この子も次期女王後継候補に挙げる権利はありますが、アリサさん…私が貴女に、いえ…貴女方夫妻にこの子をお願いするのには他に訳があります。」
「?」
「アリサさん、貴女は天女族であった頃…その能力を使い、影ながら人々を災厄から守っておりましたね。
そして、現在のご主人である良平氏も人間の身でありながら、人々を守る職務についている。
ソレを見込んで、この子…ミオに正義を守る心と、悪と戦う方法を教えてあげてほしいのです。」
「お言葉ですが女王様、天女族の力は元々戦うためにあるものでは無いはず。それに、どのような人生を選ぶか? それはその天女本人の意思で自由に決められるはずですが。」
アリサは、静かに…それでいて、強い口調で返した。
「本来ならば、その通りです。
ですが…この子ミオには、生まれた時から、ある使命と遺志を受け継いできているのです。
そのためには、清く優しく正しい心と、悪に負けない強い心と技が必要なのです。」
女王のその言葉には、決して変えることのできない、何か強いものを感じさせる。
「詳しくは、この者からお聞きください。」
女王はそう言って、右手で空間に小さな穴を開けた。
その穴からは、小鳥のように小さい…ハーピーに良く似た生き物が姿を現した。
「この者は、ホビット・ハーピー族のニコ。」
「初めましてぇー、ニコと言いますぅ♪」
ニコはそう言って、ニッコリ微笑んだ。
「ニコは、今から約200数年前は人間の少女でしたが、このミオを守りたい一心で、長く生き永らえる…妖魔に生まれ変わりました。
戦闘能力はありませんが、この子に隠された秘密。そして…この子の使命も全て知っております。」
「えっと、この子…ミオが立派に育つように全力を注ぎますのでぇ、アリサさんもどうか力を貸してください。お願いいたしますぅ♪」
ニコは、そう言って深々と頭を下げた。
再び現在・・・・
「うぅぅぅぅ・・・・・・ふんにゃぁぁぁっ!!」
ミオは全身に気合を入れると共に、場に相応しくない掛け声を叫ぶ。
なんということか、切り落ちた左肘の部分から、ニョキニョキと肌色の枝のようなものが生えてくる。
そしてそれは、先端が細く五本の枝状に分かれると、少しずつ形を整え指となり…時間の経過と共に、失ったはずの左腕に変化していった。
風属性の魔法・・・・身体を再生させる能力。
このミオという少女は、察しのとおり…人間の少女ではない。
彼女は、天女族と呼ばれる…天界に住む一族の少女。
天女族という種族は、見た目は人間と殆ど変わらないが、大気を操る風属性の魔法を使う事ができ、更に驚くことに、身体の核となる部分が残っていれば、傷がついても…身体の殆どを失っても、再生し元に戻る事ができる。
「しかし何度見ても、気持ちいいもんじゃないよねぇ。」
ニコが眉間に皺をよせ、ミオの再生された左腕を眺めた。
「それはボクだって一緒だよ。いくら再生できるとはいえ…傷つけば当然痛いし、再生するときだって、筋肉や神経が突っ張るような感触と痛みが走るし、なにより…トカゲみたいで、気分的にも気持ちいいもんじゃないしねw」
ミオ本人も苦笑いしながら答える。
ミオは、幼い頃から自分が天女族だという事を教えられて育ってきた。
人間には無い能力。その能力を使ってやれる事。
そして、人として何が大事なのか? 正義とは…悪とは?
また、神楽夫妻からは本当の娘のように愛され、育てられ…「愛」というものも知った。
でも…ニコは、それだけでない…ミオの魅力に気づいていた。
それは、持って生まれた…真の優しさと勇気。
そして・・・・・・・・光。
その頃、街の中心部に怪しげな3人の女の姿があった。
「いひひひっ♪ 美味しそうな生娘の匂いが充満してるねー♪」
太めで、一見…一本のハムのような身体つきの女が、涎を垂らしながら呟いた。
「嫌ですわ、食べることしか興味のない輩は。
でも…たしかにこの街は、芸術意欲をそそる生娘が多そうですわね」
逆に細身で長身、まるで柳の木のようにヒョロとした女が、あたりを見渡しながら言う。
「そう言えばアンタは、人間界は初めて来たって言っていたよな。一体…何が目的なんだ?
食べる事か? それとも…物に変化させてコレクションすることか?」
太めのハムのような女が、もう一人の女に話しかけた。
「うん? たしかに自分自身で来るのは、初めてだわ。
まぁ…食べるにしても、コレクションにするにしても、アタシはどっちもいけるけどね。」
話しかけられた女は、そう答える。
鮮やかな緑の色の髪を真ん中から分けており、ふくよかなバストに、しっかり括れたウエスト。ボリュームのあるヒップから伸びる長い脚。
そして、その見事なプロポーションを引き立てる、美しい褐色の肌。
切れ長の目には、怪しく光る金色の瞳。
「大事なのは、アタシの心の奥底から、何かこう…奮い立たせるような、そんな魅力をもった娘がいれば・・の話だけどね。」
その女は、そう言うとニヤっと笑った。
つづく
| VSシグーネ編 | 21:54 | comments:8 | trackbacks:0 | TOP↑
見たときあまりのうまさに言葉も出なかったデュールです(ぉ
いやはや、シリアスでもすごくいけると思いますよ!
二人の過去のこともよく分かりましたし、今後ももっと楽しみになってきましたw
無理のないよう、がんばってください~
| デュール | 2007/11/12 00:58 | URL | ≫ EDIT